表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

119/592

3-12「取り引き」(6P)

 




「…………儀式?」

 『はい、握って?』と言わんばかりのソレに、エリックは小さく目をあけ問いかけた。







「……握手?」

「そそ、握手。良いから握って?」



 言われ、カウンターの向こう

 立ち上がり、手を差し出すミリアに、彼も立ち上がり





 その手を 握る。

 警戒も、無しに。







 

 ──古く、年季の入ったカウンターの上

 楽に握り合い 繋ぐ手のひら


 おびただしい布と・糸と

 トルソーに飾られたドレスが見守る中




 ミリアは、おもむろに

 すぅ──っと息を吸い込み


 瞼を閉じて








 ”紡ぐ”










          ”我” 






 彼女の 言葉

 変わる 空気






    ”ミリア・リリ・マキシマム“ 

    ”汝 エリック・マーティン”





 握る手のひら その中で

 ぽわんと生まれる 暖かな光


 



   ”我ら流るる 血の(もと)

    今 ここ 盟約の 契り交わさん” 





 唱える彼女の髪が浮く

 その力に 呼応するように





    我が力 汝となりて

    汝が力 我が身となりて

 

    共に 朽ち 果てる(とき)まで

    盟結(めいけつ)

 





 弾ける 

 消える 

 手の中の光

 


 『しゅぱんっ!』と、弾けたような音を残して

 浮いた彼女の髪も ふわりと淑やかに大人しくなる




「………………」


 目の前で繰り広げられた光景に

 エリックが言葉無く立ち尽くす中

 



「はーい、これでオッケー、儀式完了〜♡」 

 ミリアの満足気な声がビスティの中に響いた。



 その空気を変えた声色に、エリックは弾かれた様に目を上げると、



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ