3-12「取り引き」(6P)
「…………儀式?」
『はい、握って?』と言わんばかりのソレに、エリックは小さく目をあけ問いかけた。
「……握手?」
「そそ、握手。良いから握って?」
言われ、カウンターの向こう
立ち上がり、手を差し出すミリアに、彼も立ち上がり
その手を 握る。
警戒も、無しに。
──古く、年季の入ったカウンターの上
楽に握り合い 繋ぐ手のひら
おびただしい布と・糸と
トルソーに飾られたドレスが見守る中
ミリアは、おもむろに
すぅ──っと息を吸い込み
瞼を閉じて
”紡ぐ”
”我”
彼女の 言葉
変わる 空気
”ミリア・リリ・マキシマム“
”汝 エリック・マーティン”
握る手のひら その中で
ぽわんと生まれる 暖かな光
”我ら流るる 血の元に
今 ここ 盟約の 契り交わさん”
唱える彼女の髪が浮く
その力に 呼応するように
我が力 汝となりて
汝が力 我が身となりて
共に 朽ち 果てる刻まで
盟結!
弾ける
消える
手の中の光
『しゅぱんっ!』と、弾けたような音を残して
浮いた彼女の髪も ふわりと淑やかに大人しくなる
「………………」
目の前で繰り広げられた光景に
エリックが言葉無く立ち尽くす中
「はーい、これでオッケー、儀式完了〜♡」
ミリアの満足気な声がビスティの中に響いた。
その空気を変えた声色に、エリックは弾かれた様に目を上げると、