3-11「ぼ?????????」(5P)
「…………ま、ミリア? いや、」
「あのね聞いてお兄さん、別にわたし、盟主様をけなすつもりはちっとも無く! ちっともないです! マジで信じて、ちがう、違うの!」
「…………ミリア。
……いや、ミリアさん」
「盟主さまにいろいろ言ったけど! 名前も知らなかったけど! は、反乱起こそうとか思ってないし! 移住だって、そういうのじゃないし! そういう目的じゃないし!」
「…………うん」
「『可愛い服が着たかった』!
『ローブが嫌だった』だけなの!
だからビスティーだけは助けてくれないっ?
ねえ、オーナーは関係ないから!
わたしの意見だから!」
「────待って。聞いて。
落ち着いて。
………………大丈夫だから」
完全に涙目。
ふるふると首を振る彼女に、エリックはゆっくりと首を振り、意図せず真剣に言葉をかけていた。
(…………嘘だろ…………っ)
予想外だ。
ほんの少し意地悪のつもりだったのだが、まさかここまで狼狽えるとは。
確かに『盟主の関係者』というのはパワーワードではあるのだが、彼女は他国の出身だ。この国の人間のようには効かないだろう、と思っていた。
しかし、現実はこうだ。
(…………何を想像したんだ?
”俺”、ものすごく怖い人間だと思われてないか?)
と思うと同時に
(…………しまった)
純粋に、後悔の念が湧き出る。
この反応には、さすがのエリックの胸も痛む。
別に、怖がらせたかったわけじゃない。
ほんの少し、意地悪をしてみただけなのに。
────と、同時に、
(……ここで萎縮されても、困るんだ)
という『先の懸念』と
(……君には、そのままで居てもらわないと)
それは、声には出さずに呟いて。
エリックは意識的に『ぐっ……』と眉を下げた。
──カバーせねばなるまい。