3-11「ぼ?????????」(3P)
「あ、そっか忘れてたの〜……じゃあしかた
────ないって言うとでも思った!?
嘘うそ嘘ウソ、ぜぇーッたい嘘! 流石にそんなの騙されないんだからっ!」
言いながら“ぐわ!“っと変わる表情。
まるでハリケーンのように高速で頭を振り、次にエリックに向かって疑惑の顔を向け言い放つ!
「……ってか今まで言う場面いっぱいあったよね!?
忘れてたなんてそんなウソ……
って、
────あっ!?
この前キミが何回も名前を言ったのはソレ!?
ならナンデその時ッ、
なんっっっっっっっ!
………………────あぁッ!」
「………………」
何か。
感情を言葉にできないもどかしさを全力で表す彼女。
に、黙って目を向ける、エルヴィス・ディン・オリオン閣下(本人)。
先ほどまでの『カオス』とはまた違うカオスが店を支配する中
ミリアの
そののたうち回り方に
スパイの男は
(────まあ、予想はついていたけど)
極力すまし顔で呟いた。
あの1人劇場といい
はじめに会った時の切り替え方といい『まあなんとなく』。
『こうなるだろうな』とは思っていた。
”恐らく面白いぐらい驚き慌てふためくだろう“と。
それは予想どおりだった。
目の前で ぐるんぐるん、まわるまわる。
火を見るよりも明らかな『彼女の内部葛藤』。
自分は黙って見ているだけだが、その様子は、下手な歌劇をみるより面白く。
(…………”見ていて飽きない”って、こういうことを言うのか?)
むくむくと起こる『楽しい』は心の奥底に、ミリアを静観する。
「────いやいやいやいや?
いやいや、待って、じゃあなに!?
盟主さま関係者に愚痴筒抜け!?
まって! さすがに待って!」
(────やっと?
…………筒抜けというより、直なんだけど)
────ふッ、……んっ、こほこほっ
呟きごまかし咳払い。
「ちょ、ちょっとおちつこう!?
おちつこ────自分!
はい! 切り替えて!
はい! きりかえー!!」
────くすっ、
……ん、こほこほっ
口元を その掌で覆いつつ
こほんとひとつ 咳で 逃がす。