・・・・・・あなたが体験する未来・・・・・・
初のホラーです。
怖くないかもです┏●
7月17日㈮
仕事が終わっての帰路。
僕はいつのも様にコンビニで買い物をする。
なんら変わった事の無い普通のコンビニ。
僕はルーティンになっているルートで商品を籠に入れる。
先ずは、雑誌コーナー。お気に入りの漫画の新刊を探す。
次はドリンク。僕はいつもの様にコーラとコーヒーを取る。
文具、お菓子のコーナー。子供へのお土産として、ポテトチップス・チョコレートを籠へ。
嫁さんに頼まれていた、子供の消しゴムを忘れずに。
そして惣菜のコーナー。僕は牛タンのおつまみを2袋取る。
レジの若い女性とは顔馴染みだった。
いつも「お疲れ様です。」「ありがとう。」
「お買い上げありがとうございました。」
「こちらこそ、ありがとう」
この会話をする。
いつもの様に、何も違わずに、平日は毎回・・・
7月20日㈪
今日は少し遅くなってしまった。
嫁さんにメールをした所、文句を言う事無く、
「いつも通りにね。子供達がお菓子を待ってるわよ。気をつけて帰ってきてね♡」
愛されている。僕はコンビニへ入る。
籠を持ち、雑誌コーナーを見ると惣菜コーナーになっていた。
(この土日で配置を変えたのか?コンビニでも、こんな事あるんだなぁ。)
あまり気にせずに元惣菜コーナーへと足を運んだ。
(こっちが雑誌コーナーになってる。どれどれ〜他の所は〜?)
僕はコンビニ内を見渡した。
面白い事に前の配置と全て反対だった。
(こんな面白い配置換えをするなんて、店長さんは遊び好きなんだろうなぁ。)
呑気な事を考えながら、僕はいつもと逆順にコンビニ内を歩いた。
惣菜・お菓子・ドリンク・雑誌・そしてレジへと。
レジの店員さんは、若い女性から白髪が混じった男性に変わっていた。
「いつもの女性じゃないんですね。初めて貴方の事、見ましたよ〜」 「・・・・・・ ・・・・・・」
会社で鍛えた営業スマイルが効かなかった。
僕は少し怪訝に思いながら家に帰った。
7月21日㈫
今日はいつも通りに終業できた。
僕はコンビニに行く。
昨日と同じ様に逆順でレジへ。
店員さんは昨日と同じ男性だ。
(昨日と同じ。今日からルーティンが変わるんだ。)
僕はそう思いながら、コンビニを出た。
すると、後ろから突然女性が僕を追い抜かし歩いて行った。
(コンビニに女性なんて居たかなぁ?)
「あっ!す、すみません!」
女性の不思議さに見とれていると、ハンカチを落とした。
僕は拾って声を上げたが、振り向きもしない。
(仕方ない・・・これも何かの縁だな。)
僕はそう思い、女性を走って追いかけた。
「あの〜!このハンカチ落としましたよ〜!」
僕の声は届かない所か、何故か追いつけない。
(足の速い女性だなぁ。アスリートにでもなれるくらいだ。)
僕は走り続けた。女性は歩いている。
(どう考えても、おかしいだろ・・・はぁはぁ・・・こっちは走っているんだぞ・・・!)
少しイライラしていた時、女性が駅に入るのが見えた。
(駅の中なら渡せるだろう・・・はぁ・・・何で仕事終わりなのに、疲れさせるんだよ・・・)
僕はイライラしていた。
声を上げても無視する女性に。走っても追いつけない女性に。無愛想な店員に。
僕は駅の階段を駆け登り、ホームへ出た。
すると、少し奥の方にハンカチを落とした女性が見えた。
(やっとだ・・・クソッ!何で僕が届けなきゃいけないんだ!)
半分ヤケクソ。半分紳士な気持ちを胸に女性に近付いた。
「失礼しますが、コンビニの前でハンカチを落としましたよ?」
「あぁ・・・どうも・・・わたしのハンカチです・・・」
消え入りそうな声で言う女性に、腹が立った僕だが、ここは紳士に。
「それでは僕はこの辺で。」
そう言って駅を去ろうとした時、女性が、
「帰ってしまうの・・・?この駅から出るの・・・?」
今度はハッキリと聞こえる声で言われた。
(何言ってんだ?僕は帰るに決まってるだろう?)
イライラが募った僕は無視して、駅を出た。
7月22日㈬
今日はやけに仕事があった。
いつもより2時間も遅くなってしまった。
嫁さんにメールをしたが、返事が無い。
こんな事は結婚してから1度も無かった。
僕はコンビニへ行く。
(今日は遅くなったし、嫁さんの為にケーキとか甘い物を買おう。)
僕はルーティンから外れて、ケーキを最後に見ようとした。
だか、惣菜コーナーにケーキがあってルーティンを崩さずにコンビニを出る事ができた。
(僕は運がいいぞ!やっぱりルーティンは変えたらダメだよなぁ〜。)
気分良く歩く僕の後ろから女性が歩いて追い越して行った。
そしてハンカチを落とす。
(昨日の女性だ・・・またハンカチ落としてる・・・これもルーティンになったのかなぁ。)
面白半分でそう考えていた僕は、駅まで女性を追いかけてホームに出た。
(おかしい・・・昨日と同じ服に、同じ位置。)
女性は微動だにせず昨日と同じく立っている。
「あの〜・・・またハンカチ落としましたよ?」
「あぁ・・・どうも・・・わたしのハンカチです・・・」
また聞き取りにくい声だ。
僕はイライラしながらもホームを出ようとした。
「帰ってしまうの?この駅から出るの?」
いつの間にか僕の後ろに立っていた女性が声を上げた。
ビクッと肩を震わせ僕は振り返り、
「え、えぇ。か、かか帰りますよ・・・?」
驚きながら言うと女性が俯き、僕の肩を掴んで、
「帰れないわよ・・・あなたは、わたしと同じ・・・あなたも・・・・・・帰さないっ!!!」
声を大きくすると同時に顔を上げた女性。
その顔はコンビニ店員の男性だった。
「あなたは帰さない!!!あなたが居れば、わたしがっ!!!わたしの為に帰さないっ!!!」
僕はそこで気を失った・・・
目が覚めると病院のベッドだった。
そばには嫁さんと子供が居て、先生を呼んでくれた。
僕は線路を虚ろな表情で歩いている所を駅員さんに発見され、ホームへ登らされた。
何を聞いても話さないので、駅員さんは、警察の方を呼び僕を保護してもらおうとした。
警官さん達に連れられながら駅を出た瞬間、僕は急に暴れだし、
「帰らなきゃ!!!帰らなきゃ!!!わたしの物よ!!!わたしが彼を!!!」
と、叫んだ所で泡を吹きながら倒れたそうだ。
検査では異常なくスグに退院し、仕事に復帰した。
僕はコンビニへ行く。
店員は若い女性に戻り、配置も戻っていた。
僕が女性に白髪混じりの男性の事を聞くと、知らないし、ここ1週間はコンビニを閉めていた。
と言う。
僕がコンビニを出て少しすると、後ろから女性に追い越された。
そしてハンカチを落とした。
ヒヤッとした汗が背中を伝う中、僕はハンカチを避けて急ぎ足で家路に着いた。
玄関を潜る瞬間、肩に違和感があった。
そしてこんな声が・・・
「ここなのね・・・あなたは、わたしの物よ・・・わたしが帰るために、あなたは居るの・・・あの駅に帰るのよ・・・あなたも一緒にねっ!!!」
僕はルーティンなんて、もうしない。
僕はコンビニなんて、もう行かない。
ぼくは、ちゃんと帰る場所がある。
ボクガイナイト、カエレナイヒトガイル。
「ハハハハハハハハ!!!ボクカエッテキタヨ!!!ハハハハハハ!!!」
「あの〜この財布、コンビニの前で落としませんでした?」
「あぁ・・・どうも・・・ボクの財布です・・・」
どうでしたか?
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