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掲示板の皆さま助けてください  作者: いそがばまわる
7.ぶらりと、サモナー
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厄介な人たち

 適当に遊ぶ日々の中、誕生日がやってきた。

 頼んでいた通り、新しいVRマシンを買ってもらえたのはいいのだが……それはまだ僕の手元にない。


「ゆっくん、お誕生日おめでとう」

「ありがとう……ただ、一つ聞きたいことがあるんだ」

「なにかしら?」

「なんで手にコントローラーを持っているのでしょうか?」


 テレビに接続されたのは何世代か前のゲーム機。テレビに表示されているタイトルは世界的に有名ないろいろな作品のキャラクターが登場する格闘ゲームだ。

 僕もシリーズはいくつか遊んだことがあるが……


「ゲーマー一家に生まれたのならば、ゆっくんも分かるはずよ。プレゼントが欲しければ、ママを討ち倒してからにしなさい!」

「素直に渡してくれませんかねお母様」

「だって息子との触れ合いが少ないんだもん!」

「だもんって……歳考えろよ」

「えっと、ママ今何歳だっけ?」

「オイ」

「冗談よー。まあ、息子との触れ合いが欲しいのは本当だから、さあ欲しいものを勝ち取るのよ!」

「……仕方がないかぁ」


 言い出したら聞かないもんな。

 さっさと片付けよう。でないと、もう一人の面倒なお方が降臨してしまう。


「というわけで勝負よ、ゆっくん!」

「じゃあキャラ選んでー」

「……聞き分けがいいのもそれはそれで寂しいわね」

「どうしろと」

「むぅ……それじゃあママはこの子を使うわね」


 選ばれたのはネクタイをしたゴリラでした。

 有名なのは、他プレイヤーを捕まえて一緒に落ちて自分は復帰する戦法。


「…………オイコラ」

「別にぃ、反則じゃないしぃ」

「こ、この人は……しゃーない。これで行くか」

「ぷふっ、小さいネズミさんでこのゴリラっちを倒せるかしらね!」

「はいじゃあ、スタート」


 3分後。


「……ぐすん」

「ゆーるーず」

「も、もう一回よ! 何かの間違いなんだから!」

「ええぇ……さっさとそのブツを引き渡してくれませんかね」

「三回勝負だもん!」

「何度やっても変わらないと思うんだけどなぁ」

「見てから回避余裕とかありえないんだからね! ママに勝てると思わない事ね!」

「勝っているんだよなぁ……」


 6分後。


「なんでー!?」

「いい加減諦めたら」

「悔しい悔しい悔しい!」

「頼むからいい加減ブツを渡してほしいんだけど……」

「ただいまー……何か楽しそうなことをしているね?」


 父帰宅。ああ……面倒なのが帰って来てしまった。

 案の定母さんが父さんに抱き着いて、うぇえんと大泣き(嘘泣き)する。


「ゆっくんがいじめるー!」

「ゆっくん! ママをいじめちゃ駄目じゃないか!」

「なんでそうなるのか……」

「だからママの仇はパパがとる!」

「パパ!」

「ははーん。さては事前に口裏合わせていたな」


 でなければ現場を見ただけですぐにコントローラーを握りしめてキャラを選ぼうとはしないハズだ。

 父さんが選んだのは、ぴっちりスーツに身を包んだ女性。


「――――パパ? 浮気?」

「ま、ママ? 違うんだ。単純に、このキャラが一番使いやすいだけで……」

「つまり使い込んでいるってことよね? 浮気? 一度、あなたを一番愛しているのが誰か体に教えた方がいい感じ?」

「あ、長くなりそうなんで先にプレゼント持って行ってますねー」

「ちょ、ゆっくん!? 助けて――」


 その後、母さんが父さんを引きずって寝室に連れて行った。何かがきしむ音と、野太い男性の声で悲鳴が聞こえてきたが僕のログには何も残っていない。

 しいて言うならば、来年には弟か妹が産まれるかもなぁ……


 @@@


 ログインしてヒルズ村にて。


「うぉおおおお!? 周りがいつも以上にくっきりと見える!」


 これが、新調したVRマシンの性能か!?

 いつもだって決して視界が悪かったわけではないのだ。でも、何というかクオリティが一段上がったというか……動きのレスポンスも心なしか上がっているように感じる。いや、このあたりはPCを新調した段階で結構上昇したからはっきりとは分かんないや。


「さて、この喜びを誰かに伝えたい――でも、やっぱり設定に手こずってフレンドが壊滅状態なんだよなぁ」


 ポポさんとニー子さんはインしているけど、それ以外のプレイヤーはログインしていない。明日も学校だから僕もそう長時間は遊べないんだけど……さて、どうしたものか。

 適当に見て回ってお茶を濁すのも何か違うし、何かダンジョンでも…………あ、いいことを思いついた。こんな時こそストッパーがいては出来ないことを。周りに迷惑をかけてしまうようなことを!

 今再びの深夜テンションで、僕の気分は高まっていた。


「ヒャッホー!」


 僕は走り出した。

 目指すはアクア王国、王城。

 前々から一度試してみたかったんだけど、僕の中の良心がとがめていたし、かなり意味のない行動だから普段は思いついてもやる気はなかったし、知り合いにでも見られたら何言われるかわからないし、でも今なら目的がある……ただ、バレるとみょーんさんあたりから怒られそうだし装備変えよう。あと、職業とかも。


「何がいいかなぁ……よし、釘バットにしよう。あとは装備はオーバーオールと…………あ、ポンチョがある。上半身はこれでいいや。頭も顔がわからないようにしたいし――【UMAマスク】でいいか」


 倉庫から装備品を適当に見繕い、ギルドで職業を【花火師】に変更する。たくさん爆弾を作ったおかげであっさりと転職できていたんだけど……今まで使う機会がなかったものだ。

 これで、爆弾の威力を底上げできる。さらに装備品で爆発物の威力も増加可能。夢が広がる。

 ちなみに【UMAマスク】は馬のマスクである。そのままだね。


「フハハハハ!」


 というわけで、アクア王国に侵入し街中を爆走する。気をつけなくてはいけないのは、名前表示をオンにしているプレイヤーがいると僕の正体が即バレることだ。

 だからこそ、素早く駆け抜けて突破しなくてはいけない。


「なんだ!?」

「馬!? え、何アレ!?」

「なんか新たな変態が!?」


 聞こえてくる声は今のところ僕がロポンギーであるということを認識したものではない。

 ……ふと思ったが、そもそもロポンギーって名前って知られているのだろうか? 最近村長さんとしか呼ばれていないし、忘れられている疑惑があるし……気にしないでおこう。

 大切なのは、今この場で僕が僕だとバレないことなのだから。


「とうっ!」

「跳んだ!?」

「なんなんだ、アレ……」

「なんか変な人がいるよー!」

「しっ、見ちゃいけません!」

「……親子ロールプレイとは新しいな」


 なんか気になる単語が聞こえたんだけど、見たいけど――断腸の思いでまっすぐ進む。今の僕は目的を達成するまでは止まらない修羅なのだ。

 街を駆け巡って、王城に到着した。正門でメインメニューからあらかじめ準備しておいた設定を適用し、タイマーをセットする。そして中へ突入した。

 ここにも少人数ながらプレイヤーがいるからみんなぎょっとした顔をしている。ちなみにNPCは平然としていた。AIの悲しき限界である。


「なんだあの変態!?」

「え、何々!?」

「ヒヒーン!」

「ちょ、腹筋がよじれる」

「あの人何するつもりなんだろう……」


 釘バットを構えて王様の顔面にめがけて飛び込む!

 だが、あえなく衛兵に防がれてしまった。まあ、王様への襲撃はあくまで前段階だから別に攻撃がヒットしなくても問題は無いか。


「なんで!?」

「あのアホなんであんなことしているんだろう……」

「っていうか誰なのか?」

「動き回っていて名前表示が見えにくい……」


 この暴挙で衛兵たちが僕を取り押さえようと迫ってくる。そうそう、これを待っていたんだ。

 とりあえず城の中へと走っていき、衛兵が迫ってくるのを確認して爆弾を落としておく。

 爆発音が聞こえるが……やはりダメージは無しか。カルマ値を上げすぎるのもよくないんだろうけど、試してみたくなったことは全力で試したいのでこのまま続行する。それに、爆撃のほうが攻撃範囲広いから衛兵が追加でやってきそうだし――あ、やっぱり増えた。


「うおおおお!!」

「馬さんがあっちに逃げていったぞ!」

「何者なんだ馬さん……」

「あまり近づきすぎると爆撃に巻き込まれるぞ!」

「ヒャッハーズの一員かなぁ」


 ギャラリーが増えてきたけど、そんなことは関係ないとばかりに爆弾をまき散らす。図らずもこれのおかげで他プレイヤーが近づいてこない。プレイヤーネームも判別しづらいことだろう。

 衛兵がかなりの数やってきた……よし、そろそろ城の正門へ走っていくか。

 何事だと驚くプレイヤーたちが遠目から僕の姿を確認しているが――何をするか全くわからないだろう。僕もはた目から見たら絶対に理解できない自信がある。


「うおおおお!!」

「正門に戻ってきたぞ!」

「なんなんだあの馬……」

「っていうか爆撃の威力ヤバいだろ」

「ヤバい威力の爆撃と、変な行動…………あっ」


 100人近い衛兵に追いかけられながら、正門から出る直前ぐらいに振り向く。時間は無い。もたもたしていたら衛兵に捕まってアウトだ。

 視界の隅の時間表示……よし、ベストタイミング。パシャリと、シャッター音があたりに響き渡たった。


「……え、誰かスクショ撮ってた?」

「いや、茫然とし過ぎていて忘れていたけど……」

「俺も」

「まって、なんか馬さんがメニュー見て満足げに頷いて――」

「良い感じだ。タイトルは『UMA捕獲作戦』でいこう」

「「「スクショ撮るためだったのかよ!?」」」


 その後、その場で満足げに頷いていたことであっけなく衛兵に取り押さえられ、スパッとやられたのでした。

 目的は果たしたし、寝るか。


 @@@


【謎の】新たなる変態【UMA】


1.名無しの盗賊

 深夜のアクア王国に突如として出現した馬面についてのスレです

 正直よくわかんない存在だけど情報を求む


2.名無しの剣士

 情報って言ってもわずか数分の出来事だし、語ることも無いんだよなぁ


3.名無しの魔法剣士

 そもそも何の話かよくわからない


4.名無しの忍者

 俺らもよくわかってないんだよなぁ


5.名無しのアサシン

 突如として現れたUMAマスクをかぶったプレイヤー

 ポンチョを着ていて、武器は釘バットと爆弾

 王様を襲撃したと思ったら、大量の衛兵が出現するように暴れまわり、そのまま逃走。最後には逃げる自分と追いかける衛兵という一枚を撮影して衛兵にぶった斬られた。


6.名無しのサムライ

 アクア王国周辺にいるプレイヤーで広範囲爆撃できるプレイヤーなんて限られていると思うけど


7.名無しの剣士

 探偵さん、今村長がログインしているかわからないか?


8.名無しの盗賊

 そんな都合よく探偵さんが出てくるとでも……


9.名無しの探偵

 呼んだかね?


10.名無しの盗賊

 あっさりとw


11.名無しの探偵

 村長だが、今はログアウトしているね


12.名無しの剣士

 あれ? じゃあ別人だったのか……ヒャッハーズの誰かとか?


13.名無しの釣り人

 ヒャハーズでもそんな暴挙しねぇよ

 っていうか釘バットってあったのかw


14.名無しの探偵

 種別は棍棒だね。一部の剣スキルとハンマースキルが使える

 棍棒はそこそこ火力があって取り回しがしやすい、初心者おすすめの武器だ


15.名無しの戦士

 棍棒にはお世話になった


16.名無しの狩人

 結局UMAは何者なんだ

 絶対に村長さんだと思ったんだけどなぁ


17.名無しの魔法使い

 そりゃ未確認生物だろ。UMAなんだから


18.名無しの魔導士

 そりゃそうだけどw


19.名無しの盗賊

 結局UMAは何がしたかったのか


20.名無しの剣士

 スクショ撮りたかったんだろ。コンテストあるし、フリー部門で面白いの撮りたかっただけなんだろうな


21.名無しの盗賊

 だからってやり過ぎでは? リアルだと怒られるぞ

 あのUMAはそれわかってんの?


22.名無しの狩人

 ゲームにリアルを持ち込むなよ……


23.名無しの魔法剣士

 プレイヤーで被害受けた人もいないんだし、目くじら立てる必要もなくない?


24.名無しの盗賊

 だって、あんなことされたら俺が大賞とれないだろうが!


25.名無しの剣士

 素直w あと、申し訳ないけどそういうこと言い出す時点で大賞は無理だと思うw


26.名無しの釣り人

 しかし、結局UMAの正体って誰だったのか……


27.名無しの剣士

 そもそもプレイヤー名分かっても有名な人じゃないかもしれないしなぁ


28.名無しの魔法使い

 いつかまた会える日を楽しみにしよう


厄介な人たち(ロポンギー含む)


新形態、UMAフォームはいつかまた使うと思います。正体隠したい時とか。


ちなみに、VRマシンを誕生日プレゼントに貰う話の初出は6章。

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― 新着の感想 ―
[良い点] この一家は楽しすぎるだろうwww 深夜テンションってこわいネw [気になる点] あれ?でも賞を獲った作品は公開しないの? で、投稿したプレイヤー名も公開しないの?それとも投稿名は別? そ…
[一言] >「ヤバい威力の爆撃と、変な行動…………あっ」 あっ(察し) 少なくともこの人と探偵さんはほぼ確信しているな……w
[気になる点] 探偵さんの『今は』ログアウトしてるっていってるから正体わかってるでしょこれ(^◇^;)
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