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掲示板の皆さま助けてください  作者: いそがばまわる
5.迫りくる、アサシン
68/191

あの日進めたメインストーリーの内容を知らない

今回あとがきに告知があります。


桃子のくだりシーンが抜けていたので修正。

あと、感想をいただいて分かりにくいようでしたので、他にも修正入れました。

話自体は変わっていません。

 とりあえず掲示板の情報を参考にそれっぽい人を探す。

 いかにもトレージャーハンターって感じの見た目の人か……ベージュ色の探検家って感じの服装だろうか?


「お兄ちゃん、あの人ですかね?」

「あ、それっぽい」


 考えていた通り、探検家の服と言えばこんな感じって人がいる。

 浅黒い肌で、僕よりも頭一つ分背が高い。種族はヒューマンだろうけど……まあ、ストーリーには関係ないか。近づいて話しかけることに。


「やぁ! ワタシの名前はトドリケズ! 考古学者さ!」

「もしかしてスレにあった学者もこの人かな?」

「かもしれないですね」

「実は困ったことになってね。遺跡の調査中、盗賊団に襲われてしまい、重要な遺物を奪われてしまったんだ! 奴らのせいで、数々の遺跡に眠る貴重な資料が金儲けの道具に使われてしまう。これは由々しき事態なんだ!」

「あーはいはい。取り返してきてくださいってやつね」

「衛兵とかに頼めばいいのでは?」

「お金の問題かなぁ」

「君たちに頼みたいことと言うのは、その遺物を取り戻してきてほしいという事なんだ! 盗賊団のアジトはここから南、荒れ地の奥の森林だ」

「分かっているのなら、なんで自分で行かないですか? アリス、こういう時いつも思うですけど」

「そう言うものだから。それじゃあ、さっさと行こうか」

「遺物が戻って、調査が進めば古代人たちの持っていたテクノロジーが解明されることだろう。出土した古代兵器の修復も夢じゃないかもしれない!」

「すでに直している件について」

「それこそ言っちゃいけないヤツです」

「っていうか、もしかして話長いパターン?」

「語り始めたですけど……」


 もはやトドリケズの声はBGMにしか聞こえない。ストーリー気にならないわけじゃないけど、今はレベルアップクエストのほうが先なのだ。

 だから、この会話はスキップしちゃおう。


「えっと、たしか二回拍手して右手を左へ払うように動かすんだったな」

「え――いきなり目の前にウィンドウが出たです!?」

「はい、クエスト受けますよと」

「このゲームストーリースキップあったですか!?」

「うん。僕もつい最近知ったんだけどね。いやぁ、やっぱりヘルプは見ておくべきだね。っていうか、アリスちゃんは知らなかったの?」


 そういうシステム周り詳しかったけど。


「ゲームを始めたときは無かったですよ、こんなの……」

「じゃあ、アリスちゃんが始めた後で追加したのか。アプデ内容も全部チェックしているわけじゃないしどこかで見落としたんだな」

「っていうか、ストーリーは知らなくて大丈夫なんです?」

「クエストログから確認できるから大丈夫でしょ。なるほど、最近古代遺跡に眠るゴーレムが起動し始める事例が起きており、何かの前触れかもしれないと調査が本格化しているのか」

「すでに戦っているですね」

「今更新情報も無いんだよなぁ……よし、盗賊団パパっと倒そう。ストーリー最初の部分だからあっさり倒せるだろうし」

「ですね。ただ、移動が面倒です」

「……うん? もしかして、やれる?」

「どうしたですか? 自分のステータスを見て」

「いや…………ギルドに行って職業変えようかと思ったけど、僕は【海賊】のままのほうが移動、便利かも」

「どういうことで――なるほど、その組み合わせですか」


 アリスちゃんも僕のステータス、というかスキルを見て気が付いたみたいだ。

 この組み合わせ、意図的に用意したな。ありがたく使わせてもらおう。

 アリスちゃんは【サモナー】に変更し、僕はそのまま【海賊】で目的地まで向かう。街から出て、再びボートを取り出す。普段なら炎噴射だけで進むが、今回はまた違う手だ。


「まずはマーメイドさん召喚、そして『操船』スキルを使いますと」

「すいすい進むですね」

「たぶん馬の召喚獣なんかを使える人は似たようなこと出来るんだろうな」


 【海賊】には水系統の召喚獣が強化されるパッシブスキルがあるのだが、どうやら挙動自体少し変化するらしい。【サモナー】じゃないので2体以上の同時召喚はできないが、陸地に水を発生させて『操船』スキル使用可能状態にする支援をかけてくれるのだ。


「スピード上げたいから、お願いね」

「了解です。すいすい進むですから弱めでやりますです」

「お、良い感じ――うおっ!?」

「どうしたです?」

「いや、驚くってそれ」


 アリスちゃん……なんでイフリート召喚しているの?

 船首には危ない水着のマーメイドがいて、後方にはムキムキマッチョの燃える変態が炎を噴射しているんだよ? なに、このスゴイ見た目。


「天国と地獄?」

「何を思って天国と表現したのか聞かせてほしいんですが」

「…………黙秘権を使用します」

「……そう、ですか。アリスもディントンさんに頼んで貝殻水着を用意してもらうです」

「ま、待つんだ! 君にはまだ早い!」

「まだ早いってどういう意味ですか!? たゆんたゆんが良いんですか!? くっ、桃子さんの気持ちが分かったです……」

「そういうわけでもないんだけど……しかし、ヒドイ言い草――ヒッ!?」

「どうしたです?」

「いや、何でもない……」


 気のせいだよな? 視界の隅に風呂敷で空を飛ぶ桃子さんが見えた気がしたんだけど……

 アリスちゃんの機嫌も悪くなったまま、荒れ地を抜けて、森へと進んでいく。いろいろと、面倒なことになったような…………大丈夫だよね?


 @@@


 桃子は憤慨した。

 レベルを上げることで手に入れた、この『モモンガの術』を試していたところ、ロポンギーとアリスの姿を捕えたので『聞き耳』スキルを使って普段は何話しているのかなぁと聞いて見たのだ。

 次のヒルズ村女子会の話題にしようと多少下世話な考えもあったが――そこで聞こえたのは、またも自分の胸のことを引き合いに出す話。


「アリス殿……覚えておくでござるよ」


 今は自分の用事を優先するが、あとで会ったときは問い詰めてやる。

 そう決意して、火山へと降り立つ。工業都市から南西の方角に存在しており、火山から南東にはロポンギー達が向かった森林が見える。


「あの森は……ストーリークエストを始めたところでござろうから、盗賊団との戦闘でござるな――たしか、ゴブリンか何かだったような……まあ、いいでござるか」


 火山灰の採取と、あとはこのあたりのモンスターの素材が必要だったな。クエストの内容を思い出し、一度思考から彼らのことを消した。

 その、瞬間だった。


「――なにやつッ」


 何かの気配を感じてクナイを投げる。飛ぶ斬撃が襲ってくるが、それにより攻撃がそれて別の方向へ飛んでいく。とっさにクナイを投げていなかったら首をとられていた。

 現在の桃子の装備は投擲武器のクナイと近接武器の短刀だ。クナイには毒の効果も付与されているので、うまくいけば毒状態に出来るが……当たったような音は聞こえたが、なぜかダメージを与えた様子はない。

 モンスターと敵対状態になった様子もないので、不審に思いクナイを投げつけた先を覗き込むと――その姿に、桃子は声を上げた。


「いや、ほんとうに何者でござるか!?」

「――――あ」


 見た目は黒い人影、そうとしか言いようがない。

 すぐさま逃げ出したので一瞬だけしか見えなかったが、桃子は自分を襲った犯人の姿をしっかりと認識した。


(最近噂のPKプレイヤー? 姿を見られることを警戒して引っ込んだようでござるが……)


 投擲スキルで爆弾をいくつか投げる。爆音が響き渡るが……姿を現わさない。

 どうやら、見られたと思ったことですぐに逃げ出したらしい。


「……どうやら、かなり臆病な性格のようでござるな。声はしゃがれていてよく分からなかったでござるが、あの姿は――さすがにその使い方は予想外でござった…………注意喚起はしておくでござるかな」


 @@@


【BFO】気になる噂話をたれ流せ!【スクープ】


716.名無しの忍者

 噂のPKと遭遇、撃退に成功でござる


717.名無しの剣士

 おお! ついにか


718.名無しの盗賊

 っていうか忍者でその口調……もしかして?

 それか成り済まし?


719.くノ一

 拙者でござるよ。なんならスクショ載せてもいいでござる

 とりあえず、先に情報をだすでござるな


720.名無しの騎士

 ありがてぇ。俺も前にやられたんだが、一瞬すぎて何が何だか分からなかったし


721.名無しの狩人

 はたしてどのような御仁なのか


722.名無しの力士

 だから、メカクレ系の可愛い女の子だって言っているだろ!


723.名無しの剣士

 議論が白熱し過ぎて力士が危ない道に行ってしまった……ここまで粘着質だと警告来るぞ


724.名無しの釣り人

 大丈夫、言うだけ言って実行はしていないから


725.くノ一

 何があったかは聞かないでござる

 PK、性別は不明。声と体格からおそらく男性かなというぐらい


726.名無しの力士

 美少女が良いよ……美少女に斬られたかったんだよ!


727.くノ一

 あとで斬ってやるから黙っていてほしいでござる。まだ話の途中


728.名無しの力士

 貧乳は好きだけど、ナイチチはいいです


729.くノ一

 ○す。一片のチリも残さず○す!


730.名無しの剣士

 静まりたまえ!


731.名無しの盗賊

 コラ力士! いい加減にしなさい!


732.名無しの力士

 ○○で○○○なら好きですが、あなたには興味をそそられないんですよ


733.くノ一

 ○○○○○○○○○○!!


734.名無しの騎士

 もはや何を言っているのかわからねぇ


735.名無しの剣士

 この力士、早く何とかしないと……悲劇が産まれすぎる


736.名無しの盗賊

 っていうか、情報が……情報が


737.名無しの力士

 ふはははは! 掲示板でならどのように強く言ったところで、報復の心配はないのだよ!


738.名無しの剣士

 それは匿名性があればだろうが


739.名無しの騎士

 力士なんてお前しかいないんだからすぐに特定できるだろうが


740.名無しの魔法使い

 今のうちに土下座の準備をしておいたら?


741.名無しの力士

 何を恐れる必要があるというのか

 俺に死角はないのだよ――え、まって、なんで貴女が後ろにいるの?

 ちょ、すいませんした、まじすいませんした、ちょ、その長いもので俺をどうする――アッー!?


742.くノ一

 成敗完了


743.名無しの剣士

 悪は討たれたw


744.名無しの魔法使い

 っていうかPKの情報を教えに来た人がPKになってどうするんだよw

 経験値減少とペナルティ喰らうのに


745.くノ一

 その程度、くれてやる

 恐怖を与えればしばらく黙っているでござろう


746.名無しの盗賊

 覚悟が決まっていやがる……っていうか、どうやって見つけ出したの?


747.くノ一

 探偵さんに頼んで居場所見つけてもらったでござる

 さすが早いでござるな


748.名無しの釣り人

 あの人の情報網どうなってんだ……?


749.名無しの剣士

 で、肝心のPKの情報は? あ、貴女様のことじゃなくてね


750.くノ一

 いまや拙者も立派なPKでござる

 噂のPKはちらりと見ただけでござったが、全身が真っ黒でござった


751.名無しの剣士

 真っ黒? 黒子みたいな見た目の装備とか?


752.名無しの盗賊

 それこそ真っ当な忍者装備とか


753.名無しの魔法使い

 何かの魔法……いや、聞いたことないな


754.くノ一

 もっとシンプルなヤツでござるよ

 ほら、犯人は黒い人影なんでござるよ


755.名無しの剣士

 うん? 黒い人影?


756.名無しの狩人

 あー、そういうことか

 だから黒い影しか見えないのか


757.名無しの魔法使い

 どういうこと?


758.名無しの騎士

 なるほど、確かにそれなら姿を見られても誰だかわからないな

 にしてもなんて間抜けなやり方を……


759.名無しの魔法使い

 まだわかっていないのは僕だけでしょうか?


760.名無しの盗賊

 わかっていない人、話は簡単だよ

 ハラスメント行動によって発生する、犯人バグを使用したんだ

 あれ使うと、全身真っ黒の人影になるから


761.名無しの剣士

 犯人バグだな。いまはバグじゃなくて、一定のハラスメント行動を起こしたプレイヤーへのペナルティだけど

 名前のほうはどうやったのかはわかりそうなの?


762.くノ一

 探偵さんが、名前欄の空白はコピペを持ってくるやり方の応用だろうと言っていたでござる

 結局、犯人の名前が分かったわけではないでござるし、噂のPKプレイヤーと同一人物じゃないかもしれないでござるが、全身黒タイツみたいな見た目のプレイヤーに注意すればいいと分かっただけでも収穫ではないでござろうか


763.名無しの盗賊

 いや、そんな目立つ見た目のプレイヤー、誰も近づかねぇよ

 結局不意打ちしてくるんだから今までと何ら変わりねぇ……


764.名無しの狩人

 結局目的不明だしね。まあ、犯人状態になっているならカルマ値の関係で街に入るのも困難だし、街中なら気にしなくても大丈夫そうだね


765.名無しの魔法剣士

 話を変えて悪いんだけど、炎のムキムキマッチョモンスターが出現したって噂があるんだけど、知っている人いる?


766.名無しの盗賊

 なにそれw


767.名無しの剣士

 ああ、さっきチラッと見た

 大陸中央近くの森から、工業都市まで炎を噴射して進んでいるムキムキマッチョの上半身がいた

 怖かったから近づかなかったけど


768.くノ一

 ああ、それうちの村のネコミミ(村長の嫁)の使う召喚獣でござるな

 取得したとき居合わせておったから知っているでござる

 今日も移動に使っているのを見かけたのでござるし、位置もあっているでござるから間違いないでござるよ


769.名無しの魔法使い

 あっさり解決したw


770.名無しの魔法剣士

 なんだ、モンスターじゃなかったのか


771.名無しの盗賊

 まーた変な遊び方しているのか


772.名無しの剣士

 (ジェット移動、俺らもお世話になっているんだけどね)


773.名無しの魔法使い

 (それな)


今回の話に出ていたストーリーの敵はレベル一桁の時に戦うような相手ですので、苦戦するわけもないのでカット。

改めて考えるとシュールだな、自分を攻撃した相手を見てみると犯人シルエットそのものだったって。





「掲示板の皆さま助けてください」

書籍化決定いたしました!

主婦と生活社様、PASH!ブックスにて発売予定です。

秋から冬ごろには発売すると思います。

あまり多く言うとアレなんですが、加筆修正や新規エピソードが入ったりなど少し変わっているハズですので、是非ともよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[一言] 書籍化おめでとうございます!これからも頑張って下さい
[一言] 書籍化おめでとうございます!!
[良い点] 書籍化おめでとうございます!(ノ≧∀≦)ノ
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