いやぁ、エルダーは強敵でしたね
ストーリークエストについてやるのが大分先になりそうなので言っておきますが、エルダーは単に古き者ってだけ。忘れた頃に設定を拾うかな。
見た目はアレなのはスタッフのノリ。
某神話に影響されている部分はあるけど、引用はしていない。
追記
著作権に触れるかもとの意見を頂きましたので、ちょこっと修正
「いやぁ、エルダーは強敵でしたね」
「まだ倒しておらんじゃろうがッ」
「現実逃避はやめてそろそろ目の前の敵に向き合いましょう」
ようやくHPバーも残り三分の一、というところまで頑張って減らした僕たちである。
というかコイツ、HPを減らしていくと行動パターンが変化するタイプの敵で、変化する都度に僕らがてんやわんやした結果、残りのアイテムヤバい。
「前潜った感じ、油断しなければ平気だと思っていたからポーションが足りなかった……」
「私も、油断してアイテムとゴールド預けていませんでした」
「アイテム整理ぐらいちゃんとせんか」
「そうです。レアドロしても持ち帰れなくなるですよ」
ごもっともである。でも、整理整頓って面倒じゃない?
それにたくさんアイテムがあった方が、デスペナで大事なものがなくなる心配も減らせる。
「落とすもの、ランダムだし。落とさないこともあるし」
「そうですよ――ゴールドと経験値は必ず落とすんですけどね」
現在、ゴールドを預け忘れてやべぇって顔のめっちゃ色々さんでした。
そんなわけでエルダー(海)のHPが三分の一になったことがトリガーで、パターン変化が行われているんだが……ちなみに、こうやってグダグダ会話していられる理由もそれである。
「まさか形態変化もするとは」
「行動パターンだけじゃなく、第二形態持ちとは……この私の目をもってしても見抜けなかった」
「それはアレじゃな。節穴じゃからじゃろうな」
「年長者は敬っていただきたい」
「だったらもうちょっと落ち着きを見せてほしいんじゃが……今の格好わかっとる? サメの着ぐるみじゃぞ」
「大人だって、大人だってたまにはハジケたいんですよ!!」
「お、おう……すまんかった」
そんなこんなで、ボスも形態変化が終わる。
今までの人型から、球体のような見た目へ。
「なんか、このロリコンどもめ! とか言い出しそうな見た目してるな」
「そうなったらターゲットは村長じゃな」
「それはあんまりじゃないだろうか」
「そうですよ……むしろそれはディントンさんに言うべきです」
「最近、あの人そういう視線隠さなくなっていますです。前と違った意味で近づきたくないんですが」
無駄話もそのあたりで。そろそろ奴が攻撃を仕掛けて来ようとしていた。中央は相変わらず空洞のような感じに、光る球が浮いている。眼球、というわけではないがそのあたりから視線を感じるのが気持ち悪い。
「そういやアイツがもっていた古代兵器っぽいのは?」
「球体になる時に中に入っていきおった」
「飛び出してくるかもしれないし、近づくのはやめて遠距離から狙おうか」
「了解です――『ジェット』!」
「なんでそこでキーワード言った!? 近づくなって!!」
「フリじゃなかったですか!?」
しまった。ふざけすぎてアリスちゃんがネタだと思ってしまったのか。
「リカバリー! リカバリーするぞ!」
「結局全員で特攻じゃないですかやーだー」
「言ってないでスタンでもなんでもいいから動きを封じるぞ。光の球の輝きがエライことになっておるんじゃが」
「絶対ゴン太ビーム撃ちますよこれ」
ギュンギュンというヤバい音を響かせながら光を吸収している。ダンジョン内は妙に明るかったんだけど、だんだん暗くなってきていた。
あーこれ、かなりヤバいやつだな。
「撃たせる前にやるのだぁ!」
「おうよ! 『スキルコンボ・ワン』発動じゃぁ!」
「私も、『爆殺殺法』! もってけ泥棒ですよ」
「喰らえ『爆殺殺法』! って色々さん、ワードかぶりですよ」
「…………アリスから近づいておいてアレですけど、何か嫌な予感がするですから、離れたところで蘇生準備しておくですね」
おのれ、色々さんめ。キーワード登録でスキルの連結が出来るこのゲーム、キーワードかぶりは恥ずかしいというのがわからんのか?
「しかも爆弾アイテムと投擲スキルの組み合わせって僕とほとんど同じ組み合わせじゃないですか」
「その組み合わせはどうしてもかぶるでしょうに」
「二人とも、くだらないことで言い争っている場合じゃないとおもうのじゃが」
「いえ、ここはハッキリさせておくべきです――どちらが真の爆殺戦法マスターか」
「ベヒーモスを爆殺した僕にかなうとでも?」
「結局自爆じゃないですかアレ」
「だったら、また決めてやるよこの爆弾岩でなぁ!」
「なんでまた持ってきているんじゃ!?」
「いつも持ち歩いているんだよ自決用によぉ!!」
「なんでじゃ!?」
「もう遅いと思いますけど、お兄ちゃんたちー! ビームが発射されますよー」
「「「え」」」
アリスちゃんがそう言うと、ゴン太ビームが発射された。奴は照準をこちらに合わせており、もうすでに避けようがない。
「蘇生旋律吹いて準備しておくので、心置きなくやられてくださいです」
「わ、私だけでも助かるのです!」
「させるかぁ! 爆弾岩発射ぁ!」
「やりやがったぞコイツ!?」
少しでもダメージを与えなければッ、与えなければならないのだ!
というか今更だけどこんなくだらない感じでやられるのはさすがに嫌なんだが。
ギリギリ間にあった爆弾岩のおかげで敵さんにもダメージを与えられたが、あっけなく僕らは蒸発した。なんかやられる時は一瞬でやられるパターン多いよね。
「――はい、蘇生です」
アリスちゃんのリコーダーがすぐに僕らを蘇生させる。というか、いつの間に蘇生スキルなんて覚えたんだろうか……助かったけど。
「正直すいませんでした」
「ごめん、なんか妙に混乱していた」
「あれかのう。SAN値下がり過ぎていたんじゃろうな」
「まったく。しっかりしてくださいです」
アリスちゃんにそう言われ、頭を下げる僕たちである。
正直、返す言葉もない。最初飛び出したアリスちゃんを助けようとしたはずなんだが……いつの間にか身内で争っていた。
「まさか、なかまわれさせるデバフを使う敵!?」
「そんなわけあるかい」
「幸いすぐにもう一発撃つわけじゃないようですね。少し黒ずんでいますし、チャンスでは?」
「デカいの撃った後反撃チャンスとかよくあるやつじゃな! よし、叩き込むぞ――って、色が戻っておるぞ」
「ああ、蘇生した分時間が過ぎているから」
というわけで、再び奴が光を吸収する。どうやらとりあえずこのパターンだけが続くようだ。
「とりあえず散るぞ。四方に散らばれば狙いも分散するだろう――ってなんで僕を狙うんだ!?」
「正直ダメージ一番稼いでいるのって村長じゃしなぁ」
「ですよね。おまけに爆弾岩で倍率ドン」
「アリスたちはお兄ちゃんとは反対方向でスタンバイしていますので――ってこっちに向いたです!?」
「ああ、密集していたらそっち優先なのか」
「オノーレ!?」
「散らばるぞ! やはり四方を囲むべきじゃ。そうすれば少なくとも狙いは村長に向く!」
「蘇生役がいなくなるのはマズイです。なのでアリスは離れていくです」
「発射してきますよ――狙いは村長です!」
「結局そうなるのかッ『マジックドリル』&『カウンターモード』!」
スコップを構えて、ドリルに変形させた剣先で防御する。更に盾スキルの『カウンターモード』を発揮した。ドリル自体、防御系スキルと組み合わせると投げ飛ばしカウンターが発生することが分かっている。更に、盾の吹き飛ばしカウンターと組み合わせるとどうなるか。
「答えはこれだぁああ!」
「ビームを跳ね返したです!?」
「そんな技があるなら早く使えばよかったのでは……」
「正直タイミングがシビアだし、下手するとあらぬ方向に飛んでいくから使いどころが難しくて」
「ワシらにも当たる可能性あったんかそれ」
MPも大幅に消費するから、連続じゃ使えないし。
ベヒーモスの時みたいに、『メガトンパンチ』でドリルを飛ばすよりは成功率は大分高いのだが。大体、40パーセントぐらいだろうか。
「というわけでMP回復しているからあとよろしく。なんならラストアタックボーナスとってもいいぞー」
「そうじゃ、それがあったの忘れておったわ」
「なにがでるのか、なにがでるのか」
「?」
「どうしたんじゃ? 軽快なリズムでそんなこと口ずさんで」
「そうか…………通じないのか」
い、色々さん。ぼ、僕は知っていますから。
ただ、それ口ずさむなら職業は【遊び人】にしておくべきではないだろうか。アレ、サイコロとか使って出目でスキル効果が決まるし。
「どうだー削りきれそうか――あ、なんかバチバチいっているぞ」
「またパターン変化です!」
「いい加減にしてほしいんじゃが!?」
「面倒なボスですよねコイツ……こんなのが他に何種類もいるんですか。正直また戦うのは嫌なのですが」
そりゃ(海)ってついているんだし、他にもいるんだろうな。
他にはどんなところにいるんだろうか。
「死に戻ってまた攻略するのも嫌だし、とっとと決着つけるぞ!」
「よっしゃぁ! ――硬くなっていやがるぞ」
「バフをかけるです!」
再びアリスちゃんが演奏を始める。ただ、速すぎて音楽に聞こえないが。
MPポーションも飲み終わったし、再びドリルを発動させる。
「いい加減決着つけるぞ!」
「これ終わったら帰ってやすむぞー!」
ホントそれ。流石に疲れた。
ドリルを構えて突撃する直前、色々さんが宝石を掲げると、攻撃力上昇のバフがかかった。どうやら、バフアイテムを使ったらしい。
「突撃ー!」
「チャージからの、一撃じゃ!」
僕が槍スキルによる突撃で奴を攻撃し、その直後にライオン丸さんがハンマーを叩き込む。
それにより、ボスのHPは一気に削れた。
「よっしゃぁ! 終わったぁ!」
「疲れた…………さすがにもうやりたくないんじゃが」
「ですね」
「ようやくですか。とりあえず、奥に小部屋があるみたいですし、クエストアイテム回収しちゃおうです」
「それもそうだな…………そういえば、ドロップアイテムは?」
僕のところには古代兵器のパーツなど。あとはアクセサリーの類か……MP上昇効果があるし、装備しちゃおう。
なお、パーティーのアイテム配分だが、ドロップしたものは自分のものという形である。別段報告とかもしなくていいのだが、話のタネに。
ラストアタックもとったもん勝ち。
「釣り竿が出ましたです」
「私は…………スキルスクロールですね。『チャージビーム』ですか」
「それ、最後に使っていたやつか」
「誰か欲しいですか?」
「僕は別にいらないかな」
「ワシも」
「アリスも間に合っています」
「それじゃあそのまま私が。タメが必要でも火力の高い遠距離攻撃があるのは便利ですからね」
「いいのう。ドロップの方は素材ばかりじゃ……ラストアタックボーナス、古代兵器だったんじゃが」
「あっさり手に入るんだなそれ」
もしかして、古代兵器って入手自体は簡単なのかもしれない。おそらく修復が大変なんだろうが。
「名前は?」
「【古代のアックス・壊】じゃな」
「斧だったのかそれ……」
「修復しないことにはどんな性能なのかわかりませんけどね」
「じゃなぁ……伐採スキルは使ったことあるが、適用されるんじゃろうかコレ」
「無理でしょうね」
「古代兵器は通常スキル使えないぞ」
「あ、あはは……」
「現状意味なしか」
「そ、そういえばボスも水棲系ですから、ポイント入っていますよね」
妙な空気を変えようと、アリスちゃんがそう言って来た。
そうだな。たしかに(海)だもんな。
「あんだけ苦労したんだからポイント少ないじゃ済まされない――あ」
「どうしたんです?」
「なんか、ヤバいくらいにポイント入っていた」
「…………ホントじゃな」
「このポイント数なら周回効率かなりいいのでは?」
「ですよね……」
「あーうん。とりあえずダンジョン攻略も終わったし、まずはクエスト報告を終わらせよう。というわけで、掲示板のみんなもさよならで」
「そういえば音声入力入れっぱなしでしたね」
「じゃなぁ」
「…………人、たくさん来そうです」
「効率良いって言っちゃったしな」
「まあ、アクア王国まで来るのが面倒じゃし、それほど多くはないじゃろうが話を聞きつけてやってくる連中はいるじゃろうな」
「…………クエスト報告して、村に戻って準備終わらせたらさっさと戻ってくるぞ」
「「「了解!」」」
この後、めっちゃ周回した。