夏イベントが始まりました
いよいよ【BFOサマーフェスティバル!】の開催です。
プレイヤーの皆さまはガンガンモンスターを駆逐してポイントを稼いでください。【ビーチファイターズ】開催中の間は水着装備の着用によりイベントポイントを多く取得できます。
アバターを着用の場合は、アバターの効果が優先されますので、水着以外のアバターをご着用の際はご注意ください。防具が水着でも、アバターが水着でなければボーナスはありませんよ(笑)。
交換可能アイテムは様々なものをご用意しております。中には、【BFO音頭で踊ろう!】にて使用可能なアイテムもございます。また、交換可能アイテム【わだつみのしずく】は【ビーチファイターズ】後半にて使用可能になるアイテムです。詳しい効果は、使えるようになってからのお楽しみですよ。
交換可能アイテムの目玉は【古代のナイフ・壊】、起動中は必ずクリティカルが発生する古代兵器となっております。イベント交換素材で完全修復状態の【古代のナイフ・真】にすることもできます。
また、水着をお持ちでない方。イベント交換アイテムに水着もご用意しております。
釣りスキル、使うといいことがあるかもしれませんよ?
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というわけで、イベント開催である。再び公式ブログからの抜粋であった。
イベント開催までアイテムの整理やら、スキルの試し打ち、水中フィールドでの動きの確認など色々とやっていたんだけど……まあ、地味な絵面だった。最終的に各々が自分のやりたいようにやりましょう状態だったから会話もなくなっていたし。
この前攻略失敗したクエストも、水棲系モンスターが出てくるからポイント稼ぎに使えるかもと放置していたため、アリスちゃんとも別行動だったので数日ぶりに会っているところだ。
「それじゃあ、さっそくいきましょう」
「よくよく考えたら、なんでイベント前から水着だったんだろうな僕ら」
「せ、性能はいいですから」
そう。よく考えたらまだ水着着ていなくてもよかったんだ。なのにヒルズ村住人、全員水着着っぱなしだったのである。
そのあたり今更気になったのだが……いや、本当今更だから言う必要ないけど。
「とにかくクエストの続きに行きましょう」
「そうだなぁ」
「お? 二人は行く当てがあるのか?」
「うん。アクア王国の教会……大聖堂? で受けられるクエストだよ」
「そんなのありましたっけ?」
現在村に残っているのはライオン丸さんとめっちゃ色々さんの二人。
他のメンバーは狩りにいったのでいない。
めっちゃ色々さんはあっちこっちに出かけているからクエストを発生させていてもおかしくはないと思ったが……知らないのだろうか。
「村に教会建てたのでここからファストトラベルできますからね。わざわざアクア王国までいかないんですよ」
「名前的には水関連のダンジョンとかありそうじゃから、寄っていると思っておったが」
「僕もそう思っていたんだけど」
「それはそうなんですけどね、フレンドに誘われてイベントが始まるまでは地下墳墓に行っていましたし」
「ああ、例のネクロマンサーさん」
不人気エリアナンバーワンの【はじまりの墓場】周辺に住んでいるらしいんだが、詳しくは聞いていない。ただ、相当な変人らしいが。
「そもそも【ネクロマンサー】なんて職業を使っているのは彼くらいですけど。まあ、職業自体は私も解放しているんですがね……あれ、すごく使いにくいんですよ」
「同タイプの【サモナー】や【テイマー】を上回る面倒くささじゃからな」
「マジでか」
「会いたくないです」
アリスちゃんが心底嫌そうに言った。そういえば、おばけとかダメなんだったな。
「そんなことより、大司教のクエストですよ。ポイントは稼げそうですか?」
「そうじゃな、そこが重要じゃ」
「海底神殿ダンジョン。棲息モンスターは水棲系。まあまあ稼げるんじゃない?」
「ついでにクエストクリアの報酬ももらえれば、一石二鳥ですね」
「じゃな。それじゃあ、ワシらもクエスト受けてくるから待っていてくれ」
「じゃあ王国東の海岸で待っているから」
「大司教、こっちの話ほとんど聞かないので気を付けてくださいです」
「そこのネコミミ、何か嫌なことでもあったのか?」
「うーん……行けばわかる」
いちいち歩いていくのも面倒だったのでファストトラベルで一気に大聖堂まで行ったわけだが……さっそく二人が捕まった。
「しかし困ったことになった……ああ、どこかに勇敢な若者はいないものか!」
「なんかいきなり目の前に大司教が!?」
「あー、クエスト受けさせるためにNPCがついてくるパターンのやつですか……」
「しかし困ったことになった……ああ、どこかに勇敢な若者はいないものか!」
「しかも受けるまでループするやつですね」
「え、これ受けます! って言わないとどうなるんじゃ?」
「言い続けますね……まあ、スルーしてNPCの初期位置から一定距離離れれば言わなくなりますが――」
「おお! 勇敢な若者よ! わが頼みを受けてくれるのか! ありがとう、ありがとう!」
「――なん、だと」
「なぜじゃ!? システムメッセージも入りおったぞ!?」
「さっき受けます! って言ったからです」
「それがアリスが嫌な顔した理由だ。あと、話を最後まで聞かないと大聖堂からは出られないからねー。僕ら、先にいっているよー」
「またあとでですー」
「なんじゃと!?」
僕とアリスちゃんは既に受注しているので普通に外に出て海岸まで向かう。後ろで見えない壁に拳をぶつけているライオン丸さんが印象的だったが……まあ、仕方がないことだよね。
「距離をとろうとすると顔を近づけてくるんじゃが!?」
「おとなしく聞いた方が良さそうですね」
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そんなわけで、5分後二人が海岸までやってきた。
「まさかもう一度聞かされないじゃろうな、とか言ったらもう一度説明しだすとは」
「不用意な発言、良くないです」
「アリスちゃんも不用意な発言したから受注したんだろうに」
「アリスのログには何も残っていないです」
「ははは……とにかく、サクッとクリアしましょう。二人は一度潜ったんですよね? 中はどんな感じだったんですか?」
「うーん、鉱山ダンジョンぐらいには狭かったな」
「中は普通に空気があるです。サハギンとか、マーライオンとかがいました」
「マーライオン、モンスター扱いなのか」
「このゲームのモンスター、割と適当なところありますから。実際の伝承とか結構無視していますよ。完全に見た目で選んでいますね」
めっちゃ色々さんの言う通り、その場のノリとフィーリングで決めた感じのする奴らが多い。伝承のセオリーとかは効かなかったりする。
「まあ、全部が全部そうとは限りませんけどね。デュラハンは水属性弱点ですし」
「ヴァンパイアはそこらへんどうなんじゃ?」
「吸血もしなければ流水も平気だよ。もちろん日光も」
ほら、今だって太陽が輝いているし。
……なんかいつもより輝いていない?
「ああ、【ビーチファイターズ】中は常に快晴かつ、昼の設定らしいですよ」
「普段は4時間サイクルじゃがな」
まあ単純に4時間でゲーム内の一日と覚えればいい。VRものの小説でよくある時間加速とか存在しないから、太陽がスーッと動いて夜になり、月もスーッと動いて朝が来る。まあ、ゲーム内でそういう感じで時間経過するゲームを遊んだことがある人にはわかるのではないだろうか。
で、イベント期間中は時間固定と……たしかに、メニュー開いたらゲーム内時間が12時で固定されている。
「時間でフラグ立つクエストとかどういう扱いだよ」
「救済ありますよ。低ポイントで手に入る【夜のとばり】というアイテムを使えばそういったゲーム内時間指定のフラグが発生している状態にできるアイテムが手に入ります。一回30分の使い捨てですけどね」
「へぇ」
「イベント期間外もほしいんじゃがそれ」
「残念ながら、イベント期間中しか使えません」
イベントそっちのけで、そういうの使う感じのプレイしている方もいそう。
「いるでしょうね」
「とにかく、ダンジョンに行きましょう!」
「そうじゃな。ところで今更なんじゃが…………色々さん、その恰好でいくのか?」
「ええ、何か問題でも?」
「…………いや、別に」
そういえば、この人の夏防具……サメの着ぐるみだったね。イベント始まるまでは水辺以外の場所に行っていたから他の格好していたけど、水辺ならそれを着てくるよね。
正直触れたくなかったんだけどなぁ……そのあたり。
「水辺なら、能力マシマシですよ」
「海底神殿って、水辺ですかね」
「たぶん、水辺……かな」
まあダメだったらダメで他の装備を着てもらえるだろう。
全員で水中に潜っていくが、ダンジョンまでは特に敵も出てこないので1分ほどで海底神殿に到達する。そんなに簡単なら大司教自ら行けるのではとも思わなくはないが、まあゲームだし。言わない方がいいこともあるよね。
「というわけであっさりと到着です」
「本当にあっさりしておったの。海流でスムーズに進めたが……圧力とかないのか?」
「ないみたいですね。普通に呼吸も出来ましたし。ただ、体がふわふわしたあの感覚だけはちょっと苦手ですが」
「そうですか? アリスは別に気にならなかったですが」
「……そりゃ、普段から飛び回っているんじゃから慣れておるじゃろう」
たしかに。
「とりあえず、色々さんは水辺判定、入っていますか?」
「オーケーです」
「結局着ぐるみのままか」
「職業、大丈夫ですか? アリスたちは前回、舐めプでひどい目に遭いましたから……」
「…………武闘家だと舐めプになる方がおかしいんだけどね」
「だからこそ、今回は本気の職業にしてきました」
「狭い場所でビーム砲は厳しくない?」
「? 【演奏家】はそんな攻撃できませんけど?」
「なぜにそれ!?」
「まーたニッチなものを……色々さん、【演奏家】ってどういう職業じゃったっけ」
「たしか、素のステータスが高いですね。特に筋力値」
アカン。
「なおかつ、演奏によるバフ効果が入ります。スキル構成は【踊り子】に近いですが、あちらがステータスが低いのに対し【演奏家】はバフスキルを成功させるのに必要な時間が長い分、自分で殴れるステータスをしています」
「ほー。で、楽器は何をつかうんじゃ?」
「これです!」
そう言ってアリスが取り出したのは……リコーダー?
「使い慣れたのが一番です」
たしかに使い慣れていそうな年齢だが……いや、使うっけ?
「リコーダーって使い慣れるっけ?」
「ワシ、もう吹き方わすれたわ(笑)」
「私もですね(笑)」
「流石に僕はまだだけど……」
「毎日、お家で吹いています!」
「そ、そうか」
「……家で吹くものじゃったろうか」
「そのあたり詳しく聞かない方が良さそうですね」
「それじゃあ、とりあえずバフかけますねー」
「しかし、【村長】のバフもかかっていることじゃし、結構ステータスあがるの」
「一つ一つの倍率はすくないですがね」
「そんなものだろうけどね」
5レベルぐらい上の相手なら普通に戦えるぐらいだな。10とか上だったら無理だろうけど。流石に厳しすぎる。
とりあえず、バフの効果が切れる前に先に進もう。歩きながらでもリコーダーは吹けるからと、アリスはリコーダーで演奏しながら歩いている。
「なんか歌いたくなるな、これ」
「小学校の遠足を思い出しますねー」
「そんなに昔のことじゃないんじゃが、懐かしいの」
ふと、よく見るとアリスの装備というか……武器がバトルブーツだけになっていた。見たことないのだけど、新調したのか?
「あのブーツ、どうしたの?」
「ああ。この前ワシが作った奴じゃな。グローブと同じで炎魔法のMP軽減付きのやつじゃ。ただ、魔法攻撃力強化じゃなくて物理攻撃力強化のステータスじゃが」
「確かに、戦闘スタイルを考えるならそっちか。でもなんでグローブは付けていないんだ?」
「ああ、それは簡単ですよ」
色々さんがそう言ったとき、サハギンが一体だけ出現した。
まだ入り口付近だし、適当に魔法でも打ち込めば倒せるだろうとスコップを構えた時だった。
アリスがリコーダーをサハギンに向けて、強く息を吹いたかと思ったら――なんか、炎の矢が飛び出したんだが。
「楽器も武器として装備できるからです」
「暗器みたいになっているんだけど!?」




