夏の始まり
内輪回
あと、感想でも散々言われているんですが、劇中でNPCにあっていない件については、話しかけることのできるタイプのことを指しています。
たしかにモンスターなどもNPCと言えばそうなんですが、ロポンギー君の認識では会話が出来ることが最低限です。
あと召喚獣はエフェクトに近いです。虚像みたいなものという扱い。力の塊でもいい。
たとえるならイナイレの化身みたいなイメージ。息遣い的なのはあるけど、決してしゃべらない。
今後職業【サモナー】の説明を入れることがあるので、そのあたりの説明はそこでします。
クーラーが欠かせない今日この頃。ログイン中も熱中症対策を怠らないようにしましょう。こまめな休憩と水分補給を忘れずに楽しく遊んでください。
本日よりボトムフラッシュオンラインはバージョン1.30へアップデートいたします。
簡単にではありますが、内容をご紹介いたします。
まず、今回の目玉である『水』のアップデートです。水中フィールドを追加いたします。海フィールドも移動できるようになりました。水棲系モンスターも大幅に増えております。
それに伴い、ヘルプに水中移動の項目が追加されています。プレイヤーの皆さまは、それぞれご確認の上で新たなフィールドに挑んでください。
また、レイドボスを正式実装いたします。各地のダンジョンやクエストを進めることで戦えるものや、イベント時などに配布するアイテムでプレイヤーの方の好きなタイミングで開催できるものなど、様々なものが存在します。
職業調整では、【サモナー】や【テイマー】などの使役系職業に調整が入りました。召喚獣などのAIが変更されています。該当職業以外での召喚獣召喚につきましても同様ですが、該当職業とは挙動が異なります。
当然ではありますが、該当職業の方がより強力です。ぜひ、ご自分で確認してみてください。
そして最後に、古代兵器の上方修正を行いました。リキャスト時間を短縮しましたので、手に入れた方は是非ご使用ください。
また、夏イベントに向けて追加データも入っています。
そう、夏イベントです!
7月20日から8月31日まで開催する、BFO初の長期イベント、【BFOサマーフェスティバル!】の開催が決定いたしました。
今回のイベントは2部構成となっております。前半【ビーチファイターズ】では水中フィールド等などに出現する水棲系モンスターを討伐することでポイントを稼ぐ、といった感じのイベントです。水着を着ることでイベントポイントにボーナスが入り、ポイントで様々なアイテムを交換していただけます。
また、ランキング報酬もございます。
後半は【BFO音頭で踊ろう!】を開催予定です。プレイヤーの方の交流や、ご神体へのお賽銭、イベント用アイテムの奉納で集めることのできるポイントで各種アイテムと交換できます。
こちらはランキングはなく、プレイヤー同士の交流などをメインとした企画となります。イベント後半の詳しい情報はまた後日お知らせいたします。
イベントの詳細等を含めた詳しい情報は、公式サイトからご確認ください。
以上、公式ブログからの抜粋。
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「というわけで、夏イベントの告知と大型アップデートが入ったわけだが……」
ヒルズ村メンバー緊急招集――いや、アプデが18時に終わってみんな即行ログインしたから全員集まっただけなんだけど――を行い、イベント後半をどうするかを話し合っている。
「まさか運営から妙な話が持ちかけられるとは……」
「他にプレイヤー側で持ち掛けられた人っているのかしらね?」
「ああ、何人かいるらしいよ」
運営からメールが届いているのを確認して、開いてみたら驚きの話が書いてあった。
イベントの告知は確認してきたが、【村長】などフィールドマスター系(一定以上の広さの土地を所有している職業)の職業になっているプレイヤーを対象に送信されたメールで、自分のエリアを縁日のフィールドとして使わないか? というお誘いである。
【村長】【町長】【市長】【領主】【地主】【大名】【頭領】が存在していることが確認されている。ただ、今いるのは【村長】、【地主】、【大名】なんだけどね。他のはクエストなど転職方法は判明しているけど、条件が厳しすぎて断念されているのだ。【領主】とかものすごい大金で砦を買わないといけないらしいからなぁ……むしろ一番簡単なのが【村長】だったりする。複数人前提だけど。
「教会が完成したばかりでタイムリーでござったな」
「奉納やプレイヤーのファストトラベルに使うんだし、あってよかったけど……」
縁日を開催してくれたプレイヤーには謝礼も出る上、充実度と来場したプレイヤー数に応じても色々と豪華景品を貰えるとのことだ。みんなには見せていないが、豪華景品の中に是が非でも手に入れたいものがあるので僕としては話を受けたいんだが……
貰えるものは、基本的にはアバターアイテムとか、経験値バフとかそのあたりだけど。
「どうします? 僕は受けたいなって思いますけど」
「たのしそうですし、アリスは賛成です」
「他のプレイヤーもくるんでしょう? 豪華景品は魅力的だけど……悩むわね。欲しいアバターアイテムがあるのだけども」
「鉱山に簡単に入れるようになるからのう……いや、別にマーケットで稼ごうとしているわけでもないし、意図的に独占するつもりもないんじゃが」
アリスは賛成。みょーんさんとライオン丸さんは決めかねるって感じか。
「拙者たちは賛成でござるよ。村を和風に飾りたいでござる」
「まあ、前半の報酬も特にほしいものはないでござるからな。某たちは構わないでござるよ」
「私は大賛成! 浴衣を作って売りまくって、私好みの浴衣祭りよ!」
和風コンビは乗り気か。そしてディントンさんは何か燃えていた……そうか。縁日で何か売るって手もあるのか。
「問題は、マナーの悪いプレイヤーも当然来るということですね」
「めっちゃ色々さんの言う通り、そこのところはどうなの?」
「メール見た限り、運営側の警備も入るみたいだね。それに、このあたりで手に入るアイテムって極端だしなぁ……よく考えたら別に心配しなくても平気だったわ」
村の移住云々は僕に決定権があるし、勝手に住みつけない仕様だ。身内で固まっているようなものだし、僕の認証が必要なように設定してある。
島で手に入るアイテムも、森などは特に変わったものが出るわけではない。海は要調査だが……他の場所も含めて新しいものだらけだし、人は分散しているだろう。まあ、要調査だけど。
鉱山については、新規プレイヤーやそこまで育っていない人たちはそもそもダンジョンを突破できない。突破できるような人はそれなりのプレイ時間の人たちばかりだ。アリスの様な例外もいるけど、少数だし。
「となるとめぼしいアイテムは鉱山の中だけだし、【炭鉱夫】へのジョブチェンジって他に方法があるし、レア鉱石も別に独占したいわけじゃないしなぁ……むしろプレイヤー全体の底上げしてほしいんだよ。
ここの運営や開発を考えると絶対にヤバいレイドボス実装するから」
「あぁ……やるな」
そもそもレアな装備が強いとは限らないのだ。いまだに使い道のない【きらりんピッケル】みたいにね。いつになったら装備できるのか……
「あとは古代兵器だけど……別に取引できるアイテムでもないから別段持って行って構わないからね」
「それは確かに……むしろあの理不尽マップを味わってほしいわね」
「でござるなぁ」
「レベルカンストさせてから挑むような場所ですよね、あそこ」
アリスのプレイヤースキルをもってしても瞬殺されるのだ。というか、レベルがカンストしても無理では? そう思うぐらいに強すぎるのである。
「ワタシとしてはとりあえず実装したけど、レベルキャップが解放されないとまともに戦えないパターンだと思うんだけど、みんなはどう思う?」
「みょーんさんの言う通りだと思いますよ。実装できる範囲は積極的に実装しているみたいですし。水中は色々と処理などが大変だったので、時間がかかったのでしょうね」
「ということはシステム的には今が完全版なのか?」
「ネトゲで完全版、というのもおかしな話ですが」
この錬金術師、名前の割には色々とまともで助かる。主に暴走しがちな僕らのかじ取り役などで。
「話を戻しますが、承諾については……そうですね、別に独占しているわけでもないですし受けても構いませんか」
「よし、それじゃあ承諾ってことで」
これで前半イベントにも多少の変化が発生する――まだ前半も始まっていないのに、この話が来たのには理由がいくつかある。まず一つは運営側の準備もあるからだろう。
そしてもう一つ。前半イベントのポイント交換アイテムで、縁日用の飾りつけや屋台、やぐらとか色々なものが交換できるようになるからだ。村などのフィールド用設置アイテムなので対象のプレイヤーだけが交換できる仕様になっている。
僕らの場合、村長を含めた村民全員が交換可能なのだ。今回のアプデではそれもあって、村の倉庫が追加された。通常アイテム類は保管できないが、こういう村に設置するものを保管するためのものだ。
「基本方針は自分の欲しいもの優先でいいから。で、余裕があったら縁日用アイテムの確保。充実度はこのあたりのアイテム配置での判定だろうから、出来れば積極的に狙ってほしい」
「そうねぇ……色々と貰えるみたいだし、頑張ってみるわね――それはそれとして、ワタシはスクロール類で欲しいのがあるからそっちを優先するわ」
「まあ、適当にやるよ。錬金術師の上位職も探してみたいし」
「ワシはできる限り頑張るとするよ。豪華景品も欲しいからの」
「なかなかいいものもあるんじゃの…………報酬は後半の特別賞扱いみたいじゃが」
「体面もあるからね。話を受けなかったとしても、祭りを盛り上げるようなことをすれば特別賞が貰えるようにはするらしいよ」
一応もらえるもののリストも貰っている。
こういうの先に教えてもらっていいのか? とも思うが。
「へぇ……色々あるんですね――あ」
リストを眺めていたアリスは何かに気が付いたようだ。そういえばアリスにだけはぽろっとこぼしたことがあったな。できれば気が付かれたくないので目をそらしてしまったが……うん、あとで説明しよう。
「とりあえず皆さん、積極的にポイントを稼ぐということで良いんですね」
「そうだね。集まれるかは微妙だけど、それぞれポイントを稼ぐことには変わりないかな」
「ふふふ」
ディントンさん、怪しい笑いをしているけど……あ、そうか。前半イベントに積極参加ということは当然効率を上げるために防具固定されるのか。
「――さあ、完成しました新作水着ですよ!」
「嫌ァアアアア!? いい年した大人がはっちゃけた水着きせられるぅぅぅぅ!?」
「みょーんさん、そのイイ身体をもっと前面に押し出しましょう! ええ!」
「だったらアンタが先に着なさいよ――ってもう着ている!? しかも白スクってマニアックな…………」
「昨今の需要に合わせました」
「どこ調べよ」
「私調べです!」
もうそれは、自分の趣味ではないだろうか。この人、自分が人に見られるの嫌がっていなかったか? なんかどこかで頭のネジが外れたのか最近はノリノリなんだが……
そんな彼女らのやり取りを僕らはげんなりした表情で見つめていた。
「ベースはビキニじゃが、無駄に装飾の多い水着じゃの……魔女イメージなんじゃろうか」
「たぶん……っていうか、いつの間に完成させていたんだ」
「これ某たちも着替えさせられるんでござろうか」
「当然、そうなるでしょうね」
「お兄ちゃん、アリス似合っていますか?」
「ああうん。可愛いよ」
「えへへー」
アリスの水着は、ひらひらした感じの上半身に下半身はパレオだった。普段のカンフー服も裾の辺りがひらひらした動きをしていたし、そこからのイメージだろうか?
まあ、よく似合っていたけど。
「よぐそと殿、拙者はどうでござるか?」
「あーうん、似合っているでござるよ」
よぐそとさんが言いよどむのもわかる。アリスと並んだせいで、桃子さんの胸部が……その、言い難いのだが、推定小学生のアリスよりも寂しいというか、うん。
補足するが、アリスの件の部分も大きいわけではないが――フェアリーの時と比率は同じである。
そして、もう一つ……なんでフィットネス水着にしたんだ。
「忍者なんだから、動きやすい感じのが良いでしょ?」
「的確なタイミングで解説ありがとうございますディントンさん」
「そして、男性陣にもあるわよ」
うわぁい、うれしいなぁ……どうか変なものじゃありませんように。
とりあえず貰った装備を着てみるが、うん。良かったいつも通りだ。
「いつも通りの水着マフラー……形は前と同じか。デザインが違うだけと」
「あとはカラーリングね。それと【村長】に合わせた性能にしてみたわ。ベースは今更変えなくてもいいでしょ。ついでにライオン丸に作ってもらったスイムゴーグルもあるわ」
「アンタも絡んでいたのか」
「片手間で作ったがの……ダイヤ使って」
「オイコラ」
だから星5なのか。性能はそこまで高くないが……なんだよ【煌めきのゴーグル+2】って。
すでに強化済みじゃねぇか。
「というかライオン丸さんのその水着……なんでボーダー?」
「しかもこれ、性能クソいいんじゃよ」
笑うに笑えねぇよ。昔の水着って言われて真っ先に思い浮かべそうな感じのやつを着させられたライオン丸さんは、どこか遠い目をしていた。
そしてよぐそとさんだが……
「え、普通」
「普通じゃな」
「普通です」
「普通よね」
「普通で悪かったでござるな」
「ごめん。正直思いつかなかった……適当にTシャツ着ておいて」
「えぇ……それじゃあこれで」
「なんで【わびさびTシャツ】なんだよ、流行ってんのそれ」
ライオン丸さんもそうだけど、なんでインベントリに入れているんだそれ。
そして、あとはめっちゃ色々さんだが――だめだ、直視したら笑ってしまう。
「……」
「よく似合っているわ」
「すいません、チェンジで」
「なぜ!?」
いや、これはチェンジに決まっているだろう。
どう説明していいものやら……黒いラバー素材的な何か、というか水着なのコレ?
妖精が夏をアレする感じの水着……色々な意味で大丈夫なのか?
「せっかくの傑作が!? 頑張ったのよ!? 星5どころか私が作った装備の中でも最高傑作の性能なのよ!?」
「デザインがアウトですよ……」
結局この水着はお蔵入りとなり、めっちゃ色々さんは極めて無難な水着となったのである。
というわけで夏イベント編に入っていくわけですが――まあ、先に水場アップデートの続きカナ。




