表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
掲示板の皆さま助けてください  作者: いそがばまわる
3.夏が来たよ、村長
25/191

古代遺跡チャレンジ(通算10回目くらい)

ゆっくりとイベントに向けて進行中。

 そもそも炭鉱ギルドまで行くのに、鉱山ダンジョンを突破する必要があるわけだが……まあ、ハッキリ言っておこう。サービス開始時から遊んでいる面々が突破できないわけが無いと。

 各々時間がある時にダンジョンにもぐり、炭鉱ギルドまで到達している。ヒルズ村の住人たちは全員【炭鉱夫】になっている、ということだ。まあ、誰一人として使っていないんだが……


「アリスもいつの間にかジョブチェンジしてたしなぁ」

「皆さんから色々と教わりながら作っていたら、いつのまにか変わっていたです」

「職業、【クラフター】ってどんな感じなの?」

「色々つくれます!」

「補足すると、製作スキル全般を扱える職業ね。ただし、器用貧乏というか……何でも作れるけど、本職以上の物は作れない感じ。ダンジョン内でも整備や製作スキルやら色々使えるからアイテム使って戦う人とかには便利って感じね」

「へぇ……でもアリスには向かないんじゃ」

「あー、村長はアレ見ておらんかったな」

「そういえばアリスちゃんが奥義習得したときにいなかったわね」

「え、奥義習得したの?」

「はい! とっても強いんです」


 ……クラフターだよね? なのに強いとはいったいどういうことなのか。

 ライオン丸さんとみょーんさんも目をそらすし……一体何を手に入れたんだこの子。

 気にはなるが、ひとまずは古代遺跡だ。そろそろ敵が出てくるポイントになる。油断すると一瞬でこっちが溶けるから慎重に進まなくてはいけない。


「そういえば、この先に他の古代兵器もあるのかしらね?」

「あるじゃろう。広大なダンジョンのようじゃし、下手したら階層ごとにボスがいるとかそういうレベルじゃよここ」

「マップもかなり広く表示されるんだよなぁ……真っ黒だけど」

「ワロス」

「笑っている場合じゃないですよ! 前、前から来てます!」


 一輪車の上に丸っこい上半身を載せた感じのゴーレムが走ってくる。モノアイなのが悪役感出ている。あいつらにも大分煮え湯を飲まされたんだよなぁ……


「でたわね! ホイールⅠ型!」

「Ⅱ型もあるんじゃろうか?」

「あるでしょ。じゃなきゃわざわざそんな名前つけないし」

「しゃべっている場合じゃない! さあ、戦闘開始よ」


 みょーんさんが氷系の魔法でゴーレムを撃ち抜いていく。凍らせて動きを鈍くするつもりなのだろう。ライオン丸さんもハンマーを構えて力を込めていた。

 とりあえず、僕の方も『マジックドリル』を起動して少し足をかがめる。


「槍スキル『アタックチャージ』。準備できたら突っ込みますんで、援護よろしく」

「ワシも『チャージインパクト』の構えに入っとる」

「アリスも出し惜しみせず、一気にいきますね」

「あと五秒待って。凍らせるわ――よし!」

「どりゃああ!」

「どっ、せい!」


 まず僕が突っ込んでいく。溜めた力を解放してダッシュし、敵に突撃するスキルだ。さらにドリルの効果で防御貫通するためかなりのダメージが見込めるだろう。

 ライオン丸さんのスキルもタメが長い代わりに防御貫通が付いていたはずだ。そしてアリスは……何かアイテムを持ったと思ったら、握りつぶした?


「これがクラフター奥義スキル『スクラップ砲』です!」

「製作したアイテムを消費してエネルギー砲をぶっ放すスキルよ! 二人とも避けて!」

「ちょっ!? 先に言ってくれぇえええ!?」

「あぶなっ」


 爛々とモノアイを輝かせていたゴーレムたちを、アリスの放ったビームが薙ぎ払っていく。アイツらのビームには煮え湯を飲まされていたのだが……まさかこちらもビームで対抗するとは。

 だけど、これがあれば結構先まで行けるのでは?


「弱点はクールタイムが30分かかることと、威力がレア度に比例するせいでおいそれと使えないってことね。砲弾が足りない足りない」

「というわけで、次は撃てませんです」

「だから先に言ってと――あ」

「?」

「どうしたのよ、そんな絶望した表情で――」


 なんてことはない。ただ、上から人形型のゴーレム……いや、オートマタⅠ型が降ってきただけだ。女性陣二人の後ろの着地したそいつらは、鋭利なナイフで二人を切り裂き――あっという間に二人の姿は消えた。


「ロポンギーさん逃げるぞ!」

「蘇生させなくていいの!?」

「そんな暇ない! ええい、こんなところにいられるか! ここは村長に任せた! ワシは先に行く!」

「混ざってる! なんか色々混ざっている――前! ライオン丸さん前!」

「なんじゃ……オーマイガー」


 その姿は、獣のようだった。鬣のように顔の周りに太いコードが伸びており、四肢を動かして僕らに迫ってくる都度に嫌な金属音を響かせている。

 瞳は赤く輝き――いや、ライトだ。瞳があるべき場所に赤く輝くライトが設置されているんだ。

 輝くような銀色をした機械で出来たライオン……HPバーが多い当たり、ボスモンスターだよなぁ…………


「ら、ライオン対決とは好カードですね」

「…………あれかのう、逃げようとした罰じゃな。うん……えっと、話し合えばわかり合えると思うのじゃが――」


 一瞬、奴の腕がぶれたと思った次の瞬間。ライオン丸さんの姿が消えていた。いや、キラキラとした魂がその場に残されていた。そうか、一撃でやられたか。

 銀色のライオンは僕の方を見ると、ゆっくりと近づいてくる。オートマタ達もにじり寄ってくるし…………


「だけど、こいつを倒せばダンジョンクリアなんだよな、ボスモンスターなんだし――――」


 と、そこで視界の隅に通知が見えた。見慣れないなと思ったが……あまり使わなかった機能だからすっかり忘れていた。パーティーメンバーがやられた時とか、ログが出るようになっているんだったな。

 えっと……『ライオン丸』がFB(フィールドボス)『鋼の獅子王』にやられた。か……そっか、フィールドボスなのかコイツ。そうだよね、ダンジョンの奥地じゃないんだからここでダンジョンボスが出てくるわけないよね。


「い、痛くしないでね」


 直後、僕は何が起こったのか認識する間もなく奴の一撃で消えていた。

 気が付いたときには村に戻っており、先に戻っていたみょーんさんとアリスによって正座させられたライオン丸さんがいた……しばらく、古代遺跡はいいかな。そう、思った…………


 @@@


「古代遺跡は封印しよう。少なくとも今の僕らの手に余る」

「そうね。レベル30越えても一瞬で消えるってどういうことよアレ」

「怖いです……後ろからスパって、スパって」

「あのう……ワシが悪かったから許してください」


 魂の状態でもすぐに周りの様子がわかることを忘れていたのが悪い。僕の場合はパーティーメンバーが全員やられた状態になったから即時にここに戻ってきたが。

 こんなことで大丈夫なんだろうか……掲示板を眺めてみるが、面白いスレッドは今のところない。攻略の目途が立てば古代遺跡攻略実況とか言い出していたんだけど、当面の間は無理そうだな。

 色々見てみるが……今日のところはニッチなのしかないな。たとえば、釣った魚を自慢するスレ32…………何人いるんだ釣り人。


「部屋の模様替えでもしよう」

「なんかやる気がなくなったわね……ワタシもマーケットでスクロール探すわ」

「アリスも製作レベル上げてきますね」

「あれ? ワシは放置? ねぇ……ねぇってば!」


 ライオン丸さんの叫びをBGMに自室に入る。ちなみに村長宅であるが、各部屋を他のプレイヤーのホームに設定できる。建物自体は僕の所有なのだが。

 プレイヤーの所有できる建物は他にもいろいろあって、砦を所有することも可能なのだとか。ただ、アホみたいな金額が必要になる上、専用のクエストをこなさないといけないから誰も手を出していないって話だけど。


「貰ったガチャチケ(バグ報告のお詫びの品)のおかげで家具も充実しているなぁ……無秩序だけど」


 招き猫に観葉植物。どこの部族の仮面だよと言いたくなるものや、ゲームのキービジュアルのポスター。極めつけは日本一高い電波塔の置物……世界観ガン無視である。

 こう、手に入ったものをとりあえず置きましたって感じの部屋だ。


「…………無秩序」


 わかってはいるんだ。わかってはいるんだが……わざわざテーマに沿って家具をそろえるのもなぁ。そういうゲームならいいんだが、他の目的があるだけにハウジングに精を出すってのもなんかアレだし。まあ、嫌いではないから模様替えするんですけどね。

 とりあえず仮面はいらないな。あとでマーケットに出品しておこう。もしくは村の守り神みたいな感じで中央の広場に飾るか。


「他に家具は無かったかなぁ……あれ? ガチャチケが一枚残っている?」


 ひとまず仮面をインベントリにしまったわけだが、そこでガチャチケが一枚残っているのを見つけた。でもお詫びに貰った奴は使い切ったし……ああ、そういえば別件で貰ったのがあったな。


「ユーザー数50万人突破記念のやつか」


 少し前にBFOのユーザー数が50万人を突破した記念で色々なプレゼントが配布されたんだった。目新しいものがなかったからすっかり忘れていたけど、そういえばまだ使っていなかったな。

 もしかしたら、何か家具が出るかもしれないし――よし、回すか。

 ガチャチケを発動すると目の前にガチャの筐体が出現する。ちなみに、見た目は昔あったというガムの出てくる丸い奴みたいな感じだ。


「ガチャっとな」


 ダイアルを回すと……なんか光っているな。これは、レアアイテムか――!?


 @@@


【和の心】釣った魚を自慢するスレ32【雅な気持ち】


345.太公望

 つまり、心静かに糸を垂らし、魚との真剣勝負の果てに大物は釣れるのですよ

 道具じゃ、ないんですよ


346.名無しの村長

 サメ釣れたー

 ガチャ回したら【太公望の釣り竿】とか出てきたから使ってみたけど、ロクに釣りスキル持ってなくてもバンバン釣れるわ

 今もチョウチンアンコウがかかった。釣れる釣れる


347.太公望

 それ俺っちが欲しかったやつぅううう!?


348.名無しの釣り人

 悪は成敗された


349.名無しの釣り人

 実際上から目線凄かったからなぁ、太公望

 いや、太公望の釣り竿持っていないならその名前返上するべきでは?


350.太公望

 太公望は俺っちだけで充分――っていうか村長って炭鉱夫さんだろうが! アンタしかいねぇよその職業!!


351.名無しの釣り人

 村長ってなんだよと思ったらw 炭鉱夫さんなのかよw


352.名無しの釣り人

 なんだその職業w


353.名無しの釣り人

 本当だw 炭鉱夫さんスレ見てきたら村長になったって報告しているw

 あっさりし過ぎていてスルーしてたわ


354.名無しの釣り人

 最近静かだったと思ったら……村づくりに忙しいだけだったのね


355.太公望

 このままじゃ俺っちの気が収まらねぇ……釣り勝負だ!


356.名無しの釣り人

 …………反応ないですね


357.名無しの釣り人

 1レスだけして去って行ったのか


358.太公望

 このままじゃおさまらないから村に乗り込んでくる


359.名無しの釣り人

 大丈夫か炭鉱夫さん


360.名無しの釣り人

 まあ、深く考えず爆弾投下した彼も悪いし


361.名無しの釣り人

 でも【太公望の釣り竿】持っている人他にもいるんでしょ?


362.名無しの釣り人

 うん。むしろなんで太公望さんが持っていないのか


363.名無しの釣り人

 さぁ? 興味ないね


364.名無しの釣り人

 あ、話は変わるんだけど大型アップデートで水中フィールドが追加されるっていうじゃん、当然釣り場も増えるんだよな


365.名無しの釣り人

 増えるでしょうね。楽しみです


366.名無しの釣り人

 釣り人の奥義スキルも使い道が増えてくれるといいんだけど……


夏イベントの情報をちらちらと出すスタイル。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 道具じゃ、ないんですよ ↑この読点の溜め煽りが良い味出してますね。
[良い点] さらっと1レスだけ自慢していくの好き
[一言] お前も今日から村民だ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ