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掲示板の皆さま助けてください  作者: いそがばまわる
10.騒ぎ立てる、忍者
177/191

眺めるのも一興か

今年もお疲れさまでした。

 とりあえずよぐそとさんのことは置いておいて、イベントの話をしよう。


「交換アイテム結構な種類だよね」

「そうですね。ほら、村長が前々から欲しがっていた古代遺跡系のレア素材がありますよ。大量のカカオが必要になりますが」

「うわぁ……これ、アイテム全部回収するのに何時間ぐらいかかるんだろう」


 様々なアイテムが交換ショップに陳列されているが、レアなものや期間限定の品は交換レートが高めに設定されている。後は、ゴールドは無限に交換可能なのか。


「大丈夫? インフレしない?」

「高レベル向け装備になればなるほど強化にお金がかかるから妥当じゃろう」

「まあ、結局のところそこだよね」


 いくら大量のゴールドを持っていてもいつの間にか消費されていくからね。

 僕も装備一式を強化するのにいくら使ったことやら。


「村長の場合、一式が何セットもあるからニャ」

「ごもっともで」

「アリスもかなり消費したですよ……効果オプションやマーケットでのシールの取引など、ひたすら強力な装備を追い求めた結果です」

「目が据わっておるんじゃが」

「ガチ強化とかマジかニャ」


 僕は用途別に複数用意したが、アリスちゃんはどんな局面でも使える最強の防具を目指して強化していたようだ。もっとも、ネトゲでそれはある種危険だけれども。アプデの度により強い防具も更新されるから。

 もっとも、アリスちゃんの使っているブラックサンタシリーズはイベント限定のレアアイテムだから何かしらの派生強化先が設定されるかもしれないが。いや、むしろイベント限定だからこそ危険なのか? そのあたりは今後の更新次第か。


「うーんいろいろとあるなぁ……うん?」


 と、そこでメニュー画面に気になるバナーを見つけた。


「コラボイベント?」

「ああ、前にPVPイベントで運営が言っておったじゃろ。同じ運営で展開しているフルダイブ系のゴルフゲームとのコラボ企画」

「あー、そういえば。あれの告知か」


 両方を遊ぶことで、コラボアイテムをプレゼントするという話だった。

 こちらはさらに長期のイベントで、開催から2カ月の間続くとのこと。


「開催は少し先だけど……先にインストールしておいて、準備しておくか」

「村長やってみるんか?」

「うん。コラボアイテムの回収程度はね」

「今はバレンタインイベントの最中ですし、ログイン制限は合計1日6時間ですよ」

「元々フルに6時間ログインなんて稀だし、バレンタインイベントも長いから数日程度なら大丈夫でしょ」

「だといいけどニャ……のめり込んでBFOでカカオ集め忘れてマラソン開催とかするんだニャ」

「ひたすらダンジョン周回する村長が目に浮かびます」

「ヒドイいわれようなんだけど」

「あはは……正直否定できないです」

「アリスちゃんまで!?」


 苦笑いで嫁にまで見捨てられたの巻。

 チクショウと地面を叩くが、周りのみんなは我関せず交換ラインナップを再び見ながら何を回収するのか計画を立てているのだった。

 この悲しみをどこかのスレに書き込もう……そう思い、掲示板を開くと何やら面白そうなスレッドが。


 @@@


【妖怪】なんかやべーやつが空を舞っている【カカオ置いてけ】


1.名無しの剣士

 念願のVR機器を購入し、BFOを始めた初心者ワイ

 描画クオリティ凄いのに、同時接続者多くて大丈夫なんだなと驚いていたら、空に謎の影を見た

 目を向けると、くノ一の格好をした女の子が渡り鳥の群れを虐殺している現場だった

 体の震えが止まらねぇぜ……(´・ω・`)


2.名無しの重戦士

 ようこそ、トップランカーが廃人かアレな人ばかりと言われる混沌の世界へ


3.名無しの盗賊

 やめろw

 まともな人もいるだろうが、銀ギーさんとか


4.名無しの海賊

 その人もクリスマスに化けの皮が剥がれたんだよなぁ……


5.名無しの盾使い

 そういうお前もなー


6.名無しの僧侶

 村長もそっち側の住人でしょー


7.名無しの海賊

 スマンw オレ別人だからw

 クエスト進めたら転職できただけw


8.名無しのアサシン

 まぎらわ、しい


9.名無しの怪盗

 別に職業ぐらい自由に遊んでもいいんだれどもね。アクの強い人が有名になったせいで使いづらいレア職業が増えた……

 あ、自分もイチゴ大福さんとは別人です

 たぶん私は3人目だから


10.名無しの力士

 また懐かしいネタを……いや、実際3人目なんだろうけど

 2人目はヒルズ村のギャルっ子だっけ?


11.名無しの怪盗

 そう

 あと自分も空を舞うくノ一を目撃した。桃子さんだったw


12.名無しの魔法使い

 結局あの村の人でしたw


13.名無しの錬金術師

 プレイヤーが名前を付けた場所、良くも悪くも有名スポットになりましたからね

 ヒルズ村に、キャメロッ砦、あと有名店


14.名無しの1

 有名店?


15.名無しの盾使い

 あそこは有名ではないだろうが


16.名無しの忍者

 村と砦に比べれば知名度は大幅に下だね


17.名無しの錬金術師

 実際に『有名店』って名前なんだから仕方がないじゃないw

 誰よさびれた酒場の改名クエストクリアして『有名店』なんて名前つけたバカはw


18.名無しの花火師

 クリアしても酒場の名前を付けることが出来るってだけの超高難易度クエストだったんだよね

 何度挑んでもダメで、いつの間にか攻略されていた……なお、ソロ限定


19.名無しの鍛冶師

 クエストはクソクエスト四天王に入っていたな


20.名無しの1

 他の3つが気になるから教えてほしい(*‘ω‘ *)


21.名無しの盾使い

 >1は素質あるな


22.名無しの剣士

 何の素質かはあえて聞くまい


23.名無しのサムライ

 帝国の『皇帝のカツラを奪取せよ』

 エルフの森の『世界樹を駆け上れ』

 去年の夏イベント『クラーケンを倒せ』


24.名無しの海賊

 ハラパ王国のさびれた店を繁盛させろっていうクソ長いお使いクエスト

 砂漠で婚約者がなくした指輪を探してほしいってやつ

 夏イベントのクラーケン


25.名無しの探偵

 フォフォとコッペンのマスコット2匹と追いかけっこ(ワープで遠くの街に逃げるよ♡)

 墓地の最下層に落とされて、地上に頑張って戻ろう(ゾンビ大量発生中☆)

 クラーケン()


26.名無しの釣り人

 四天王なのに数をオーバーするんだよなぁ


27.名無しの魔法剣士

 四天王だし

 あと、クラーケンは結果的にクソ化しただけで適正人数ならクリアできるでしょうがw


28.名無しの錬金術師

 気持ちはわかる

 アレは当時参加したものにしかわからない苦しみだけれども


29.名無しの忍者

 目の前でね、巨大な触手がね、薙ぎ払ってくるの


30.名無しの重戦士

 今じゃあの当時に参加していたメンバーが少数派だものな


31.名無しの祈祷師

 増えたからね、ユーザー


32.名無しのアサシン

 クリスマス、商戦で、VR機器の、セールが、あったから


33.名無しの武闘家

 あとは有名な動画配信者が生放送でBFOを取り扱ったのも大きい

 やっぱり影響でかいわ


34.名無しの魔法剣士

 おいらもそれ見て始めた口だけど、離れたユーザーも多いよ

 フレンドがしばらくログインしていません状態や


35.名無しの盾使い

 それはしゃーない

 人には好みがある。ゲームなんて自分が楽しむために遊ぶものだし


36.名無しの力士

 で、何の話だったっけ?


37.名無しの重戦士

 アレだな。渡り鳥を虐殺している某くノ一


38.名無しの漁師

 たぶん、カカオのドロップ効率が良いから空中で渡り鳥型のモンスターを狩っているんだろうけど


39.名無しの騎士

 たぶんも何も、それ以外の理由だったらむしろ怖いわ


40.名無しの盾使い

 結論:そういう風景だと思いましょう


41.名無しの1

 わかりました! 考えていても理解できないということが!


42.名無しの盗賊

 w


43.名無しの遊び人

 潔いw


44.名無しの1

 ただ、カカオはたくさん集めるといいというのはわかったので、とりあえず森に向かおうと思います!


45.名無しの盗賊

 うん?


46.名無しの魔法使い

 なぜ?


47.名無しの1

 え、だって木を揺らせば落ちてきますよ


48.名無しの魔導士

 ? え、まって……マジだ!? 木を揺らすとカカオ落ちてきてインベントリに入る!?


49.名無しの盾使い

 ホントだw よく気が付いたなこんな仕様……


50.名無しの盗賊

 嘘だろw


51.名無しの釣り人

 あ、でもひとつの木につき1個なのか……効率悪くない?


52.名無しの1

 大丈夫だ、エルフの森ならたくさんの木がある……全力で駆け抜ければ、高効率で手に入る。それに、1日で復活するからひたすら木を揺らせばたくさんのカカオが手に入る


53.名無しの遊び人

 あ、うん……頑張って


54.名無しの魔導士

 その後、彼の姿を見たものはいなかった


55.名無しの魔法使い

 やめて差し上げてw


 @@@


 ……桃子さん、何やってんの?

 フレンドリストを見ると、いつの間にかログインしているし。レポートはどうしたレポートは。


「…………あえて呼びつけて、今のよぐそとさんと対面させるか?」

「村長がまた外道モードになっておるぞ」

「いつものことですよ」

「それはそれで駄目だと思うニャ」

「あはは……あれ? あそこにいるのって、アドベン茶さんです?」

「隣には茶プリンさんもいますね」


 あ、ホントだ。

 村の入り口でこそこそとあたりを気にしながら入ろうとしているが……なお、ヒルズ村は別に他のプレイヤーが立ち入れないというわけでもないので、時たま他のプレイヤーも歩いている。僕らは普段村の広場でたむろっているが、各施設を村民以外のプレイヤーが利用している光景も珍しくはない。

 なので彼らが村に入ろうとしていること自体はおかしなことではないのだが……明らかに挙動不審である。


「……よし、誰にも見られていないな」

「俺のインビシブルスキルにかかれば朝飯前よ」

「いや、バレバレだから」

「「!?」」

「なんでそんなに驚いた顔してんだ!? こっちが驚きだよ!?」

「そもそも潜伏系スキルって……モンスター相手にのみ有効だった気がするです」

「いえ、インビシブルは例外でして、透明化のスキルなんですよ。効果時間は短い上に物音は消えないので動物系のモンスターなどには普通にバレるのであまり意味はないのですが、PVPでその有用性が認められました。もっとも、習得が面倒なので使い手が少ないんですが」

「へぇ」


 なるほど【盗賊】のアドベン茶さんなら習得しているだろうし、それを使って他のプレイヤーに見られないように村に入って来たわけか。


「もっとも、先日の安全エリアに関するアップデートで裏技も使えなくなりましたが」

「裏技?」

「アレじゃろ。今までも安全エリア内ではごく一部のスキルしか使えなかったが、安全エリア外からスキル効果を発動させたまま入ることが出来たってやつじゃろ」

「ええ。遠距離攻撃もヒットする設定になっていまして、インビシブルなんかも安全エリア外から発動させれば透明なまま入れたんです」

「それ、悪いことに使えそうだなぁ」

「だから出来なくなったんですよ」


 アプデで今まで出来たことが出来なくなる。まあ、それもあるあるだな。

 なので昔、アリスちゃんが使ったジェット移動によるディントンさんたちの脱獄補助みたいなことも出来なくなっている。


「もっと自由に空を飛びたいです――まさか、村の上空に入った瞬間に墜落するとは」

「大丈夫なの、それ」

「幸いノーダメージでした!」

「運営側もプレイヤーが飛び回ってる(文字通り)ことは承知していますからね。安全エリアでは落下ダメージも外してあるのでしょう」

「まあ、高レベルになると経験値の減り具合もバカにならないし、いいんだけどね」

「ですね――で、そちらのおふたりは何をしに?」

「ぐっ……見逃してはくれないか」

「さすがにコソ泥みたいな動きされていたらねぇ」

「で、何をしたかったんじゃ?」

「…………ちょっと、カカオの交換に」

「穴場を探していて、かといって他のプレイヤーに見られるのは恥ずかしくて」

「なんじゃその理由……」

「お前たちにはわからないんだ――推しからチョコを貰う、それを見られる思春期男子の気持ちが!」


 いや、そんなアイドルからのチョコ手渡しみたいなイベントだっけこれ?


「アレじゃろ。あのNPCに群がっていた連中と同じ感じの手合いじゃろ。ただ、他の人に見られるのも構わないほど吹っ切れていないだけで」

「ああ……アドベン茶さんは長老さんとして――」

「長老ではない! リリア様と呼べ!」

「――うわぁ」


 そこまで吹っ切っているなら普通に貰えばいいのに。


「な、なぜそんな面倒な人を見る目で!?」

「実際面倒じゃからの」

「別に気にしていないですから、どうぞあちらに担当NPCいますので」

「え、普通にスルーされたらされたでなんかショック……」

「なんかもういいや……で、茶プリンもか? お前も若干ロリコンの気があったよな」

「いや、俺のはロリコンじゃなくて純真な子がタイプなだけだ。そういうタイプの子はロリに多いってだけでロリコンではない。そこにたわわなものが付いていれば、なおよし! なのでミリアーナさんとアイリス姫のチョコを求めてきた」

「うん、欲望に正直なことで」


 お前もなんでそこまでハッキリ言えるのにインビシブルかけてもらった? っていうか他のプレイヤーにも付与できるんだ、それ。


「……実は、前にキャメロッ砦でアドベン茶さんとBFOのヒロインは誰か、という談義をしてな」

「まずその出だしから意味不明だよ。え、何なの? キャメロッ砦ってどういうところなの?」

「紳士の社交場だ。みんながそれぞれ、己の胸の内をさらけ出す」

「要は性癖の暴露大会会場じゃな」

「ある意味凄惨な光景ですから軽い気持ちで近寄らないほうがいいですよ」


 うん、やめておく。あと、そういう方向なら面倒なので別にいいです。


「あの『†世界破壊者†』さんの会合なのに!?」

「誰だよそれ!?」

「あー、一部じゃ有名じゃぞ。ネタ装備の申し子として」

「手ごわかったです……冷凍マグロさばきが見事で」

「アリスちゃん?」

「サブ武器のなべつかみも脅威だったです……次は、アリスでも勝てるかどうか」

「アリスちゃん!?」


 え、何? その強敵と書いて友と呼ぶみたいな相手に対する態度。アレはいい試合だったぜって表情をしているんだけど。え、どういうこと?

 置いてけぼりのまま話題が†世界破壊者†さんのことになり、何やら盛り上がる様子を見せていく……ええぇ、疎外感。

 というか、またこんな感じで僕は放置ですかそうですか…………なんか、静かにフェードアウトしてもいなくなったことに気が付かれないんじゃ……インビシブルもステルスも使っていないのに。


「――」


 悲しみのまま、ちょっとここではないどこかへと旅立つことにした。

 べ、別に置いてけぼりが寂しかったとかそんなんじゃないんだからね!


 @@@

来年もまたよろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
[一言] 懐かしいな、†世界破壊者†さん…
[一言] また村の連中が、木を揺らすためのバグっぽい破壊活動とかを思い付く光景を想像したw
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