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掲示板の皆さま助けてください  作者: いそがばまわる
9.新たな日常の、祈祷師
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番外編「これもまたウィンドウショッピング」

書籍版発売記念!

番外編というか、本編に入れられなかった内容をお出しする感じ。

 新年を迎えてからしばらく経ったある日の出来事。

 僕はアイテムモール(課金アイテムのカタログ画面)のウィンドウを展開して、文字通りウィンドウショッピングをしていた。


「それ、意味あっているのかの?」

「実際に買っているわけじゃなくてカタログ見ているわけだし、あっているんじゃないのかな?」

「いや、その場に座って画面スクロールしているだけじゃろ」


 隣でバットを素振りしているライオン丸さんにツッコミを入れられるが、ウィンドウを表示して更にカタログを眺める行為を合わせたダブルミーニングだと思うのだが……ダメなのか。

 まあ僕も適当なこと言っただけなので特に気にしてはいないけど。


「ところで何か面白いアイテムでもあったのかの?」

「うーん……あんまりないかなぁ。とりあえず、お年玉の一部を課金のために投入しておいたからそれで何か買おうかなーぐらいのつもりだったんだけどさ、倉庫とかインベントリ拡張以外に使いたいものがない」

「ペットの餌はどうした」

「そっちはクエスト進めたら貰えたから今回はいいかなって」

「? そんなクエストがあったかのう……」

「あるんだよ。フォフォとコッペン(マスコットキャラ)から受けられるクエストで、依頼をこなすとペット用の餌が貰えるんだ」

「……え、アイツらクエスト発注するんか!?」

「するんだよ……前にハラパ王国の広場でうりうり撫でていたらいきなりウィンドウが出てきてびっくりしたわ」

「っていうか村長、どういう流れでそんなことになったんじゃ」

「いや、適当に街を散策していたら広場の噴水で水浴びしている二匹を見つけてさ、飛び込んでつかまえて、それでこう――うりゃりゃりゃりゃって」

「毛が乱れそうな勢いじゃな。嬢ちゃんに見られていたら消し飛ばされておったぞ」

「はっはっは。怖いこと言わないで」


 アリスちゃん、結局マスコットキャラとか可愛い系のキャラクター苦手になったままなんだぞ。むしろ元々そっち系にはあまり興味ないから改善の兆しも無いんだぞ。ちょっと悲しい。

 そもそもその時はアリスちゃんもログインしていなかったし、毎度毎度一緒に遊んでいるわけでもないんだが。


「で、どんなクエストだったんじゃ?」

「護衛系だった。走っていく二匹についていって、草原を駆け抜けるんだけど……モンスターが大量発生するし、そのスピードが速いのなんの」

「目的地に到達するまで守り切ればいいと思うんじゃが?」

「いや、それがさぁ……敵を一定数倒さないと次のエリアに行かないでグルグルと同じルートを周回するんだよ」

「うわぁ……」

「一人じゃ無理だったから、その場で野良パーティー組んでさ、何度もリトライしてようやくクリアした……ただ、報酬がペット用の餌だったから割に合わねぇってみんなで叫んで、真っ白になって帰っていったけど」


 なお、出てくる敵のレベルは90だった。よくクリアできたなぁと思う。二度とやらない。ただ餌は大量にもらえたのでしばらくは餌に困らないのだが……もっとも、アリスちゃんがいるときにペットのミナト(ちっさいホワイトタイガー)を出したら目つきがモンスターになるので出せないが。

 次に餌が無くなる時には買うことになるか、他の餌入手クエストが見つかればそれをやるか。とりあえずは未定で。

 と、そんな時だ。なんとなく眺めていたアイテムモールに気になるアイテムを発見した。


「おお」

「どうしたんじゃ?」

「これ、良くないかな?」

「どれどれ」


 ちなみにウィンドウは他のプレイヤーにも可視化している。というか最近はよほどプライベートな時以外は基本的に可視化設定だ。自分の姿もスクショや動画に映るように設定してある。水着マフラー(この姿)が定着し過ぎて今更姿非表示するのもなぁって話だ。

 なお、売られているアイテムをみてライオン丸さんは顔を青ざめさせた。


「お前……なんというものを」

「えー、いいと思うんだけどなぁ。このスーツ」


 BFO戦隊フラッシュファイブのコスチューム。いわゆる、装備の上に装着するタイプの見た目だけ変えるアイテムだ。


「まさかワシらを巻き込むつもりか!?」

「どうよ?」

「いや、ワシは遠慮しておく……」

「えー、いいと思うですけど」

「私ー、こういうの嫌いじゃないよー」

「たまには露出を少ニャく、体のラインがピッチリでるスーツも乙ニャものニャ」

「どこから出てきたかしまし三人娘!?」


 かしまし……ああ、姦しいか。

 アリスちゃん、ディントンさん、あるたんさんがぬるっとライオン丸さんの背後にあらわれてガシッと彼の体を捕まえた。それはもう、その場から動けないように。


「っていうか嬢ちゃんはともかく他のふたりは特撮とか見るタイプじゃないと思うんじゃが!?」

「別に見ていないわけじゃないけどー?」

「っていうか、ネトゲやっている層は案外見ている人多いと思うニャ」

「それもそうじゃけど」

「いや、なんでアリスはともかくとか言われたですか」


 ……なんでって言われてもねぇ…………前にめっちゃ色々さんとみょーんさんが子供の頃にしていた遊びの話題になった時に『あー、やったですねぇ……鏡の前で変身ベルトつけて、ポーズをとったり』とか言っていたじゃないか。あの時、もしかして男の子なのではとか疑ったんだけど…………BFOは少なくとも骨格の動きに合わせる都合上、性別は偽れないと気が付いてほっと一息ついたのは内緒である。

 ちなみに、違う性別の動きに変換することも出来なくはない。長時間違う性別の動きに慣れると現実の肉体にも影響が出る可能性があるとのことで、フルダイブ系ではどのゲームでも長時間異性キャラを使用できないように制限がかけられている。まあ、あくまで可能性であって、深刻な問題が発生するわけじゃないのだが……対策をとっていないとうるさい人たちもいるわけで、どこの世も同じような悩みは発生するものだ。


「ところで嬢ちゃん、お年玉は何に使う予定なんじゃ?」

「欲しい恐竜の化石の模型があるですけど、なかなかいいお値段なんです……どうしたものかって悩んでいるですよ」

「そのセリフにすべての事実があるじゃろ。っていうかなんじゃそれ」

「前にアリスちゃん、家族旅行に行っていた時があるじゃん。その時、恐竜博物館に行ったらしくて、それ以来恐竜の骨格標本の模型に目覚めたらしくて」

「……ホラーは苦手じゃったと思うが」

「単純に骨だけなら大丈夫ですよ?」

「ああ、そうかい」


 なんかもうどうでもよくなったのか、ライオン丸さんは話を打ち切った。なお、残りの女子二人からの一言。


「女子力たったの5だニャ……ゴミめ」

「お人形遊びとかしなかったのー? おままごととかー」

「おままごととか趣味じゃなかったですね……だいたい、8ビットなゲームをするかでした。あ、お人形遊びはしたですよ」


 ……僕は知っている。そのお人形遊びが、ソフビを使ったヒーローと怪獣の対決的なアレだって。

 もっとも、僕が言わなくてもアリスちゃんは自爆しているが。


「なんで村長は遠い目をしておるんじゃ?」

「いや、現実は無情だなって」


 アリスちゃんが小さかった頃の遊びから、普段の服装の話になって――なぜかアリスちゃんが尋問される流れになっているが……そこでぼろぼろと彼女の美的センスの問題点が次々とあらわになっていっているのが悲しいなんてこともないからね。目から心の汗が流れ出ているけど特に関係はないから。


「いや、現実を直視するんじゃ。嬢ちゃん、別に服装おかしなところなかったと思うんじゃけど」

「甘ロリ……はディントンさんの趣味だったけど、その後もチャイナドレスやメイド服、今じゃブラックサンタよ。ほぼほぼコスプレしかしていないのに服装センスもなにもあったもんじゃないと思うけど」

「――言われてみれば」


 初めて会ったときだって初期装備だからね。他の服装だってトライアスロンイベントの時のスポーツウェアだし、彼女が自分で一式コーディネートしたことって実のところほとんどないのだ。

 あくまでも普通の格好なら特におかしなこともないのだが……気合入れておしゃれすると妙なことになる。

 今この場で装備アイテムを使ってコーディネートするのは面倒なのか、アイテムモールの試着機能でいろいろと試している女性陣。


「どうしてそうニャるんだニャ!?」

「え? イケてないですか?」

「いや、ショッキングピンクに水玉模様って……しかもその体のあちこちに配置した大きなリボンは何よ」

「かわいらしさの発露です!」

「ゴテゴテしていてもダサくなるだけよ!」

「!?」


 ディントンさん的にいつもの間延びした口調ではなく、マジ口調になるぐらいにはもの申したかったらしい。大真面目な顔をしていやがる。


「んゆー? ツインテールは可愛いけどぉ、うーん……狙いすぎー?」

「そうね。もっとこう……全体をまとめてみたほうがいいと思うわ」

「拙者としては、シンプルなワンピースとちょっとした小物でアクセントをつけるのもアリなんじゃないかと思うでござるが」


 いつのまにか女性陣全員集まっているし……そしてアリスちゃんを着せ替え人形にファッションショーが始まった。なお、試着モードにつき写真撮影はできない。なお、アリスちゃん本人も試着しているが、その隣に彼女の分身が出現していてそちらもマネキンのように着せ替えられる。

 自分のキャラクターを客観的に見ることが出来るという機能だね。初期のころはなかったと思うんだが……いつの間にか妙なところが便利になっているんだよな、このゲーム。


「細かく更新多いからの」

「把握するほうも大変なんだがね」

「別に把握したところでって感じっすけどね」

「女性陣もヒートアップしていますね。あ、そこ王手です」

「ま、まったでござる!」

「まったはなしです」


 そして男性陣もいつの間にか集まっているし――ってポポさんとマンドリルさんもなぜいるんだ。あと、めっちゃ色々さんとよぐそとさんは何で花札を? っていうかそんな機能あったのこのゲーム……


「女性陣にはらむらむさんもいるが?」

「あ、ホントだ……」

「ひとつ聞きたいんじゃが、めっちゃ色々さんたちはいつから花札を?」

「結構最初からやっていましたよ。今の今まで声を出さなかったから気が付かなかったでしょうが」


 マジか……全然気が付かなかった。

 とりあえず、男性陣のことは置いておいて女性陣の様子をみるが……アリスちゃんが再び自分でコーディネートした組み合わせを披露した。今度は落ち着いた和装イメージか。ただし、真っ赤な色がベースでドクロな模様が描かれている。


「ある意味アリかもしれないけど……」

「可愛い系の見た目のアリスちゃんには似合わニャいニャ」

「そもそも、根本的に、ファッションに、向かない」

「なんでですかー!?」


 ……頑張れ。こっち側から応援しているから。


「ところで村長、大真面目に自分の服装をコーディネートするとどんな感じになるんじゃ?」

「うーん……こんな感じでどうよ」


 カーゴパンツを起点にして、シンプル目なシャツ。肌の色が黒いから明るい色のほうがいいか? で、ネックレスを装着する。


「……普通じゃな、面白くない」

「ですね」

「案外、そういうセンスは平凡なんすね。裸マフラーのくせに」

「もっとインパクトが欲しい」

「ひどくね!?」


 なお、アリスちゃんのほうはなんだかんだコスプレが一番マシという結果に落ち着きました。


「ひどくないですか!?」


書籍版、サイン本のプレゼントキャンペーンなんかもやっていますので、よろしければ是非とも。


自分と、イラストレーターの落合雅先生のサイン入り本があたるキャンペーンでございます。


https://twitter.com/pashbooks/status/1324635551480180736


すまねぇ……リンクが上手くいかなかったからコピペでお願いいたしたい。

PASH!ブックスの公式ツイッターから探しても行けると思います。もしくは作者のツイッターから辿ってみてください。

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― 新着の感想 ―
[一言] 気付くと湧いて出てくるロポンギーとヒルズ村の村民たち・・・ 神出鬼没な村人たちの生息地か・・・
[一言] 花札に王手ってあったっけ? 将棋じゃないのか
[一言] コスプレは良いぞ!
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