あの日と鬼ごっことかくれんぼ
初めまして。
新しいやつがレの世界にようこそ。
鬼ごっことかくれんぼ。
好きですか?
俺はいつも1本の糸を手繰り寄せていた。
上から降ってくる糸だ。
それを引っ張る。
俺は上に引っ張られる。
上に上に行く。
光が見えた。
手を伸ばそうとする。
ぷつん
あ、切れた。
今度は下にしたに落ちる。
どん
地面かもわからない暗い、漆黒の場所に背中を打ち付けられる。
いたい。また生き損なった。
蜘蛛の糸
聞いたことがあるだろう。
地獄から救ってくれると言うやつだ。
救ってくれたことなんて1度もないけど。
この糸が降ってくるのは年に一度?いや月に一度?
時間の感覚もない。今日が何年何月何日なのかも分からない。
それが分からなければ、何時何分なのかもわからない。
いつ死んだっけ。あれ、死んでたっけ。
勝手に地獄と決めつけていたんだろうか。
勝手に死んでると決め付けていいのだろうか。
何も無ければ誰もいない。
燈がなければ広がるのは暗闇だけ。
お腹もすかない、喉も渇かない。
なんでだろう。
人間ってのは不思議だな。あれ、人間だっけ?
でもちゃんと五本の指が着いた手足を持ってる。
手に付いた五本の指を握ったり伸ばしたりしてみる。
ちゃんと動く。人間だ、多分。
俺ってここから出たいのかな。
いや、出たいから蜘蛛の糸なんて引っ張ってるんだろうけど。
あれ。なんでこの糸、蜘蛛の糸だって名前知ってるんだろう。
ああ、分からなくなってきた。
寝よう。
横になった
地面みたいに硬いわけでもなく、あのふかふかの布団みたいに柔らかい訳でもない、ただの暗闇の中に包まれて目を閉じてみる。
そして思い出せる記憶を思い出してみる
「お母さん」
「お父さん」
そう呼んだ覚えがある。これは両親のこと。
「つぐみちゃん」
なんだろう、名前だけ知ってる。どこの子だろう。
「ねえねぇ」
肩を指でちょんちょんと触る少女がいる。
「一緒に遊ぼう」
と俺の腕を引っ張る。
横になった俺を起こそうとする
がこん
空き缶がゴミ箱の中に入った音がした
俺が腕を引っ張ってた女の子の顔を見ようとしたら、
消えた。
腕だけ残して消えた
腕からはやはり暗闇の中に包まれていた。
女の子の腕よりその先を探してみた。
消えているところに手を伸ばしても空を切る。
_よくよく考えたら怖いなこれ。
けど俺は女の子に引っ張られ続ける。
ぱっ
女の子が消えた。
今度は手までも消えた
「助けて」
「えっ」
飛び起きた。
「迎えに来て」
どこにも誰もいない。
のに、声が聞こえる。
寝惚けてるのかな。
起き上がってちょっと探してみることにした。
「つぐみちゃーん……」
その女の子の名前かも分からないのに、頭に残って離れない名前をとりあえず呼んでみる。
…
無音が流れる。時間だけが流れる。
時間なんて概念ここにはないんだろうけど。
もう一回寝て見ることにした。
なんとなく会えそうだった。
ここに来る前、俺は大変なことをしたような気がする。
事故でも起こしたのかな。
そうじゃなければ、人間だった俺の記憶も、時間も、場所も分からないのに都合がつく。
都合つけたいだけだけど。
上半身だけ起こした体をもう一度暗闇の中に預けてみた。
今度は目も閉じてみた。
さらに暗闇が深まる。
とぷん
女の子がいたような気がした。
そう簡単に見つかったらなんかだめなような気がするけど。
「あーそぼっ」
ぱっ
声が聞こえて目を開けた。
髪の毛が、女の子の髪の毛が目の前にあった。否、髪の毛しかなかった。
「えっ」
声が漏れた。
髪の毛がゆらゆら浮いていたから。
幽霊みたいだった。傍から見たら俺も、幽霊なのかな。
「あそんでくれないの?」
髪の毛が少し右に揺れた。
首をかたむけているのを連想した。
「あそぶよ、遊ぼうか。」
そうすると今度は腕が出てきて俺の手を握った
「何して遊ぶ?」
相変わらず手と髪以外は見えない。けど、楽しそうにしているのはわかる。
「何して遊びたい?」
ここにはなにもないのに。なんのあそびをはじめるんだろう。
「うーん、鬼ごっこ!」
「じゃあ鬼ごっこしよっか。」
「私ずっとここでひとりだったの。」
「そっか。」
ここにずっとひとり、ね。じゃあなんで俺は今までこの女の子に会わなかったのだろうか。
「あ、そうだ!✘✘くん、」
_
なぜか息を飲んだ。
自分の名前かもわからなかったはずなのに、自分の名前を呼ばれたと思った。
「✘✘くん?」
目がとび出そうだ。
五臓六腑が出てきそうだ。
冷や汗が出てきた、息が鳴る。
びちゃ
俺の冷や汗が暗闇の中に落ちたんじゃない。
頬を拭ったからわかる、まだ一滴も落ちてない。
髪の毛が揺れた、俺は女の子を見るために顔を上げた。
赤だった。
女の子のは赤く染ってた。
周りはいつの間にか黒じゃなくなってた。
あの日の景色によく似ていた。
何年前だ?
忘れてた、いや、忘れたかったのかもしれない。
なんか、色々、一気に記憶が、蘇ってくる。
_キャパオーバーだ。
視界が、真っ赤だ。
目に血が入ったのだろうか、痛い。
反射的に目をつむった。
10/10 7:40
そう、デジタル時計に書いてあった。
「行ってきまーす」
家を飛び出た。学校に遅刻する。
「あっ!✘✘くん!」
あの子が後ろから追いかけてきた。
「お前もか!学校遅刻する!」
中学生、まだ純粋さが残っていた時期だ。
いつからこんなよくわかんない大人になったんだろうな。まだ大学生だけど。
学校に向かって、ただひたすら走る。
信号が赤になった。
2人で肩を並べて信号が青になるのを待っていた。
2人は何も喋らなかった。
信号が青になった。
2人はまた、走り始めた。
一言も発さず走った。
学校が見えた。1回目のチャイムがなった。
「まだ間に合う」
2回目のチャイムがなったらおしまいだ。遅刻だ。
あの子は、はぁはぁと息を立てながら走ってる。
あとちょっと。
あの子の手を握って走る。
その時、2人は聞こえてなかったんだ。
周りが煩くて、自分たちの呼吸の音と心臓の音が煩くて。
飲酒運転なのか、薬物を使用した運転手だったのかまだ子供だった俺には教えてくれなかったけど、よろよろといろんな所に、人にぶつかっていた車が、2人に近づいていたなんて分かってなかったんだ。
どかん
花火が打ち上がったような音が耳元で聞こえた。
俺が握ってたあの子の手が無かった。
車の下敷きになっていた。
わぁわぁ
周りがうるさかった。
あの子が赤く染っていた。
「助けて!」
周りの音がもっと大きくて、俺の声なんて誰にも届いてなかった。
すぐに救急車の音がした。
車の下敷きになっているあの子を引っ張り出そうと、あの子の服を引っ張っていた。
「僕!!」
すぐ声をかけられた。
あの子は直ぐ救出された。
真っ赤だった。どこからともなく血が出ていた。
頭から、足まで。
泣きわめいた。嗚咽が止まらなくなるほど泣いた。
もう、決して起こらない、もしもが頭の中で考えてしまう。
意味ないのに。
もう、会えないのに。
あの子のお母さん、目を腫らすほど泣いてたな。俺は何回も謝った。俺が謝っても意味なんてないし、「✘✘くんのせいじゃないのよ、」って逆に慰めてもらってたし。
俺はあの子から離れなかったな。
毎日あの子の仏壇に行って。
何回あの子の前で、涙を流したんだろう。
あの事件は、死亡人が2.3人ほどでて、その中にあの子も入ってて。あの子の名前を聞くたび、つらかった。暫くニュースは見れなかった。テレビ自体、みれなかった。
犯人は現場で捕まってた。
一緒に死んじゃえばよかったのに。なんて不吉なことを考えてた。
あいつが死んでその代わりにあの子を蘇らせてよ。
ずっとそればかり言ってた。
それか俺が変わりになればよかった。
「✘✘くん、思い出してくれた?」
髪の毛が揺れた。
「多分、忘れたように思ってて、実は一時も忘れたこと無かったのかもなぁ。
思い出して欲しかったの?」
「そうなのかも。」
「じゃあ俺が変わってあげるよ」
「え?」
ぱちん
私の目の前で破裂音がした。
脳に直接炭酸を流し込んだみたいに。
走ってた。中学生のあの頃みたいに。
「ゆう、くん。」
また鬼ごっこするの?
今度は貴方が死んじゃう番?
また迎えに行くね。
お久しぶりです。
サボってました。すいません。
amazarashiさんの歌詞から思いついた小説。
なんの曲だったかは忘れました。
ゆうくん(男の子)の名前が✘になっていたり、するのは多分よく読んでみればわかります。
わかんなかったら教えてください
やつがレ、スランプ状態です。




