第1話 連続無差別殺人事件
人生を生きていく中で、いろいろな感情に出会う。
とくに絶望という気持ちは、
時に人の人生を大きく変える。
しかし、大抵の人は絶望を隠しながら、
半ば忘れながら、生きている。
まさにこの俺、 奥谷 大空は絶望を受けている。
絶望には大きさがあると思うが、
俺にとってはこれはかなり大きいものだ。
そして、もうすぐ鳴る。あの救いの音が……
キーンコーン カーンコーン〜♪
放課後を知らせるチャイムが鳴った。
このチャイムを聞くと、どことなく安心して、
自由になった気分になる。
中学もそうだったが、最近高校に入ってから、
さらに強く思うようになった。
教科書をバカみたいにでかいカバンに詰める。
すると、晴樹が話しかけてきた。
晴樹「天空!帰ろうぜ!」
最近友達になった足立 晴樹だ。
中学校は同じだったのにお互い赤の他人だったようだが、今ではクラス1 仲のいい友達だ。
その後2人は自転車に乗り、学校の門を抜けた。
さらば我が校。
受験勉強をしている頃はこの高校に行きたい!と思って戦ってきたってのに、今では行くのがだるい。
門を抜けると牢獄から釈放された気分だった。
晴樹「なぁ、俺の話聞いてる?」
天空「ふぇ? あ、ごめん...」
晴樹「最近ぼーとしすぎだぞ。お前。さっきの話に戻るけど、怖いよな、昨日の事件」
天空「事件?....あー あの殺人事件?」
晴樹「たて続けによぉ...しかも、犯人は同じらしいぜ」
天空「まじか! もう4件やられてんのに、まだ捕まらないのかよ」
晴樹「怖いよな...しかも、だんだんお前の家の近くに来てね?」
天空「おい!そんなこと言うなよ!びびるだろ!」
晴樹「はは笑 まぁ気をつけといた方がいいぜ。何が起きるかわかんないし」
天空「お、おう...」
....会話がとぎれた...なんとなくだが、背筋にすぅと何か冷たいものが通った気がした。
連続無差別殺人事件。
ここ最近起きているこの事件は、住宅街に住む住人を襲う事件なのだが、犯人はわかっておらず、そして、なぜか犯人の侵入経路、犯行に使った道具、痕跡
その他諸々がまったくわからないとのことだ。
まさに、完璧な殺人と言うべきか…最近は街全体が警戒態勢に入っているが、まだまだな所もある。
その結果が近所で起きた昨日の事件だ。
そして、その事件にはもうひとつ特徴がある。
なぜか事件に巻き込まれたどの世帯も、必ず皆殺しせず、住民の1人以上は必ず生存させている。
まるで生き残った住民の絶望した顔を楽しむかのように…
晴樹と別れて、途中は1人で帰った。
俺の住む住宅街に入る。
今は俺の自転車の音しかしない。
空は明るいが、さっきから謎の恐怖が止まらない。
きっとさっきの事件を考えたせいで、俺のいつもの怖がりが発動したんだろう。
無意識に自転車は早くなり、家にあっという間に家に着いた。
やはり静かだ。自転車に急いで鍵をかけ、扉に手をかけた。
...落ちつけ..まだこんなに明るい....流石に犯人もこんな時間には犯行はしないはず―。
深呼吸して手に力を込めた。
ガダンッ!!
まるで拒否されたような嫌な音だ。
じゃなくて、ただ鍵が閉まっているだけだ。
しかし、車はある。どうやら珍しく父もいるようだ。不思議に思い、鍵をゆっくり開けた。
再び扉に手をかけ、力を込める。
ガチャリ
そう、この音だ。それと同時に妹と母と父の靴を見て、少し安心した。
しかし前を見るとリビングに繋がる真ん中だけガラス張りのドアがあるだが、ガラスの奥は真っ暗だった。
なにかあったのか...俺は勢いよくリビングに入った。
電気は消してある。誰も…いない...?
天空「みんな.....?」
そう呟いた時はもう遅かった。
パンッ!!
大きな音が…俺に向かって飛んできた。