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第2話 『異世界転生を司る女神の退屈な日常』を語る

今回は禿胡瓜さん作

『異世界転生を司る女神の退屈な日常』(連載中)百六十話まで

作品URL https://ncode.syosetu.com/n6072ef/ の紹介です。

 夢の図書館 クロスベル主任の事務室 ────


 私たち四人(私、マルちゃん、ベル、クリム)は、前回と同じ様に応接用のテーブルを囲んで同じように座っていた。


 今回もテーブルには、クリムが用意してくれたお茶会セットが広げられている。

 

「さて、二回目の勉強会を始めます。今回は、こちらの物語よ」


 私はテーブルに今回の題材の本を置く。

 

 ──────────────────────

 タイトル:異世界転生を司る女神の退屈な日常

 作  者:禿胡瓜

 ジャンル:ファンタジー【異世界転生】

 ──────────────────────


「前回と同じように、まず私から物語の概要説明をして、そして皆の意見の発表の順番で進めるわね」


 三人が頷くのを確認してから、私は物語の概要説明を始めることにした。

 

「この物語のジャンルは異世界転生モノのファンタジー。この図書館には多いジャンルね。このジャンルは主人公が異世界に転生するところから始まる事が多いのだけど、この作品の主人公は、その過程で出てくる女神様、そこがまず変わってる所かな」


 ベルとクリムの二人がちゃんと聞いているか確認してから、私は話の続きを進める。

 

「主人公は転生者を送り出すだけの退屈な日々を過ごしているのだけど、転生者に面白い(ユニーク)スキルを与えてみたり、娯楽を増やそうとしたり、わりと突飛な性格のキャラクターよ」


 物語の主人公の行動を思い出して少し顔が緩みそうになったけど立場があるので、きゅっと気を引き締めて軽く首を振る。


「物語構成も少し変わっていて、女神たちが暮らす天界編と、転生者が送り込まれた地上編が切り替わりながら進むの。特に三十五話辺りから物語が大きく分岐するわね」


 一呼吸置いてから概要説明を締めくくる。

 

「大まかな物語の概要はこんな感じかな。それじゃ二人とも何か意見はあるかしら?」


 私の問いに、クリムとベルの二人は順番に口を開く。


「クリム的には、ロマンス不足……圧倒的にロマンス不足です」

「前回の作品に比べて、アクションシーンが少なかったです」


 まったく……この子たちは相変わらずね。


 軽くため息をついて、諭すように二人を窘める。

 

「貴女たち、もっと違う視点を養いなさいと、いつも言ってるでしょ?」


 クリムは他に良かった要素がないか、少し悩んだ後に口を開いた。


「別の視点……あっ、主人公がちょっと抜けてる感じで、可愛らしかったです」

「確かに女の子は、ちょっと抜けてる感じぐらいが可愛いわよね」


 続いてベルが、何かを思いついたように話し始める。


「可愛いか~……そう言えば、女神たちってどんななんだろ? 僕のイメージだと、なんか薄い布をまとっている感じだけど……」


 ウニョウニョと手を動かし、イメージを伝えようとしている。

 

 あのひょうたんを表したような動きは……グラマーな女性をイメージしてるのかな? 薄い布ってことは、どうやらギリシャ神話などに出てくるキトンをイメージしているみたいね。


「あんな服、よっぽど美人じゃないと似合わないですよね~? ……あっ、ひょっとしたら主任なら似合うかも?」


 その言葉にキトンを纏った自分の姿を想像するが、すぐに首を振ってイメージを振り払い苦笑いを浮かべる。

 

「私は遠慮しておくわ。さすがに、あの服は恥ずかしいし……」


 私が拒否すると、クリムがじーっとベルの方を見つめて


「クリムは、ベルちゃんが似合うと思う!」

「僕が~? 僕にそんなの似合うわけ無いじゃん」


 ベルは首を振って否定するが、クリムはじーっとベルの一点を見つめて。


「あの感じの服って、ある程度ないと似合わなそうだし?」

「ん? ちょっ! どこ見てるのっ!?」

「この物語の主人公のボリュームに対抗できるの、ベルちゃんぐらいしか……こんな感じで?」


 クリムの視線に気が付き、身をよじって隠そうとするが、その双峰をより強調してしまっている。


挿絵(By みてみん)


「う~ん……ベルちゃん、また大きくなった?」


 クリムの首を傾げながらの問いに、ベルは耳まで真っ赤にしながら首を振って。


「み……見るなー!」


 二人がギャーギャーと騒ぎはじめたので、私は再びため息をつく。


 まったくこの子達は……仲が良いことはいいのだけど。



◇◇◆◇◇



 パンパン! っと手を叩いて、二人を静かにさせてから


「はいはい! ジャレ合うのはその辺にして、次は誰かな?」

「はいっ、僕です!」


 ベルが立ち上がりながら、元気一杯に手を上げる。


 話の流れで、つい見てしまったけど……弾んでいるわね。


「天界編はまったりしてたけど、地上編は戦闘シーンが多くて面白かったと思います」

「ベルは本当にアクションが好きね……でも地上編は、確かに戦闘シーンが多いかも? 逆に天界編は前半がヒューマンドラマ、後半はサスペンスって感じかしら?」


 チラッとマルちゃんを見ると、やっと出番! と目を輝かせながら


「わたくしは、天界の謎めいた事件の行方が気になるわね!」

「それは確かに気になっているけど、まだ何か異変が起こっている! ぐらいしか、わからない状態なのよね」


 同意が得られたのが嬉しかったのか、うんうんっと頷くたびに金のツインテールが激しく波打っていた。

 

「最後は私ね。そうね……私は、やっぱり個性的なキャラクターたちが魅力的だったかな。女神たちも転生者たちも、一癖も二癖もある特徴的なキャラが多かったし、それぞれが絡み合って面白かったし、続きがどうなるのか気になる感じが良かったかな」

「わたくしも、そう思うわ!」


 マルちゃんが、キラキラとまぶしい満面の笑みで同意してくれた。



◇◇◆◇◇



 その後しばらく物語談義が続き、テーブルからクッキーが無くなった頃。


「さて、そろそろまとめましょうか」

「は~い」


 ベルとクリムの二人は元気良く返事をする。


「えっと、この作品の魅力的なポイントは……」


 私はメモに箇条書きで書き上げていく。

 

 ────────────────────

 ・ファンタジー(異世界モノ)

 ・個性的なキャラクターたち

 ・地上編、天界編で二通りの楽しみ方

 ・地上編における戦闘の描写

 ────────────────────


「今回は、こんな感じかしら?」


 頷くベルとクリムの二人に、私は笑顔でメモを手渡す。

 

「今日は遅くなってしまったから、明日からまた頑張ってね」

「はいっ!」


 元気良く返事はしてくれたが、この二人はまた偏った物語を持ってきそうな予感がする。やっぱり根気よく教えていくしかないかな?


 こうして、二回目の勉強会は幕を閉じたのだった。

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