表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雨の世界の終わりまで  作者: 七つ目の子
第二章:美少女魔法使いを育てる
10/601

第十話:青は藍より出でて

「それじゃあマナの容量を知る事にしよう。俺は今までマナのことを知らなかったからいきなり無茶をさせてしまったが、無茶と努力は違うからな。効率的に行こう」

「具体的にどうすれば良いですか?」


 昨日の修行が無茶をしていたのは分かっていたらしい。レインは昨日よりは少しばかり楽そうな提案をする。


「1番得意な魔法は開花の魔法で間違いないか?」

「はい。多分この魔法だけならいつでも使えると思います」

「平和な魔法が得意で良かった。それなら最大規模の開花をマナが尽きるまで全力で使い続けろ。昨日の攻撃魔法以上の規模で少なくとも50回分以上、出来るな?」


 訂正。全然楽ではなかった。

「よし、それじゃあ歩きながらやろう」そんなことを言いながら本当に歩き出すレインについて行きながら、サニィはイメージする。

 しかし、昨日攻撃魔法以上の規模の開花となると、半径5m程。これを出来る限りやり続ける。1番得意とは言えこれを使い続けたことは無かった。一度自分の周囲を森にしてしまい、出られなくなって泣いたことがあるからだ。

 今回は歩きながらなので、常に移動している。よって森が出来ることはないが、歩きながらだとイメージの難易度も上がる。


「花、花、花、と。おっとっと」


 色とりどりの花を咲かせながら、たまに地面に躓いてしまうも、レインはすっと支えてくれる。

 喋らなければ凄く良いのに。

 ふとそんなことを思い、イメージが乱れると辺り一面にブルーグレーの花が咲く。レインの髪の色だ。

 それに気づいて頰を染めたサニィが次に咲かせたのは藍の花。レインの瞳。

 こうなってしまえば未熟な彼女はドツボにハマる。

 顔を真っ赤にしながらも特訓は続け、ひたすら道中を真っ青に染め上げる。


 そして、大体50回分程連続して使っただろうか。しかし、全くマナが枯渇する気配はない。

 すると今までずっと黙っていたレインがようやく口を開く。


「途中から心の乱れは見て取れるが、昨日の特訓は活かせたな。今からは少しばかり話しながら続けよう。訓練は継続だ」

「如何な時で、も、イメージをする、訓練、です、ね?」

「そうだ。まあ、お前が動揺する様なことは言わないから安心して良い」


 本当に変なことは言わないレインと楽しく会話を続けながら開花し続けるサニィの通る道は、新しい程に鮮やかな青色に染まっていく。


 その日は一日中南に向かいながら訓練を継続させたが、遂にマナの枯渇は訪れなかった。

 森の中を歩きながら、集中しながらの移動なので、その移動距離は18km程。

 まだ大木の森は抜けないが、彼女の通った道はマナの花で美しい青に輝いていた。


「最大出力を知る方が優先かもしれないな。お前のマナ量は現状では無限だ」


 そんなことを言うレインの表情も、サニィがこれまで見たこともない程に輝いていた。

 少なくとも、自分の可能性を改めて知ったサニィには、そんな風に見えていた。


 残り【1818→1817日】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ