1.オカマとオナベは相容れない
勢いで書いたので少々雑いですが、よろしくお願いします。
昔々、あるところに争い合う二つの国がありました。
片方は、オカマメシー王国。
女装子が支配する王国です。
国のどこを歩いても貴婦人風のドレスに身を包みしなを作る男性が……あぅちっ! 男と言ったせいでどこやらか逞しい足にナレーションの頭が蹴飛ばされてしまいました。
失敬失敬、始めから。
国のどこを歩いても貴婦人風のドレスに身を包みしなを作るレディたちが見受けられます。
そのお美しさはまさに十人十色でございまして、ええ、剃ったはずのヒゲやすね毛が少々生えてらっしゃってついつい目を背けたくなるような方々から、ええっ自分ほんまに女ちゃうん、そこいらの女よりよっぽど可愛いわぁと褒め称えたくなるような方々など、様々です。
彼女たちの好物は眉目秀麗な男性と、釜で作った炊きたてのご飯です。ええ、本当に。お美しい殿方を見ると、ご飯何杯でもいけるわぁと言って、ついつい礼儀作法もなしにふっくら炊きたての釜飯を頬張るほどの始末です。
余談ですが、この国では有り余るほどに稲作がかなり盛んでして、国のどこを歩いても釜飯を炊いている人が見受けられます。種類も豊富で、世界中から釜飯目的に観光客が訪れるほどの釜飯大国です。
一見平和そうですが、しかしここでは生まれながらにしての女性の扱いは粗末なもので、女装子や男性の奴隷にされるか、傭兵団に無理矢理入隊させられ争いの前線に追いやられていました。
対する一方の国は、オナベー王国。
男装子が支配する王国です。
国のどこを歩いてもフロックコートに身を包み一つ一つの動作が本当に男らしくいらっしゃる女性……げふんげふん、ボーイズたちが見受けられます。
皆さん、とてもお美しく、惚れてまうやろと言いたくなるほどかっこいい方々ばかりなのですが、たまに身長が150センチメートルくらいしかない方も見られます。おそらく彼はショタッ子なのでしょう、男らしい仕草をしていても可愛らしさが残ってしまっています。
彼らの好物は、か弱くいじらしい乙女と、ほかほか身体が温まる鍋料理です。今にも泣きそうな乙女を見ると、か弱いバンビ、俺の胸で泣きなと、少々こっぱずかしい台詞を吐きながら傍らにある鍋の椀を啜り、このポン酢のしょっぱさは君の涙の味さ☆とか、思わず解説を求めたくなるようなことを言って、彼女たちと一緒に鍋料理を突いています。正直状況がカオスですが、そういうことみたいです。ナレーションにもわけが分かりません。
ちなみにこの国では野菜と香辛料生産が盛んなのですが、基本的に調理道具が包丁の他には鍋しかないため、収穫した特産品は鍋料理で楽しむのが殆どでした。しかし鍋料理だけと言っても侮りがたし。非常にバリエーションが豊富で、鍋料理と言えば世界一と言われるほどの鍋料理大国でした。
しかしここでは男性は優遇されません。彼らは男装子や女性たちに奴隷にされ虐げられ、こちらも争いの前線に追いやられていました。
オカマメシー王国とオナベー王国。
この二つの国は、それぞれの国境沿いにあるダイズー地方、キノコー地方、チクサン地方を巡って、まさに醤油でポン酢を洗う争いをしていたのです。
しかし、それぞれの国で虐げられてきた奴隷の男女を使った争いは次第に疲弊していき、どちらも前に進めぬというような、泥沼の戦いになっていったのでした。




