「始まりの傭兵家業」
初の執筆活動です。ご指摘ご感想お待ちしております。
自分が生まれる遥か昔に母国は戦争を起こした。母国は小さい国家だった。しかし軍事に関してはやたらと強かったらしい。
強かったといっても昔の話だけれど、兵隊達は体が大きく恐ろしいほど結束力も強かったため、次々と他国を攻めては領土を増やすを繰り返した。結果として世界でも有数の軍事国家として栄えた。
けれど所詮は人間のやることに限界というものは存在した。ある時野生の動植物が突如変異し力を持ち結集した。変異の原因は未だ解決されてない。最初は人間より数が少なかったものが増えていき、遂には国家を作るほどに成長した。爆発的な増大に手を打つ暇はなかったほどに。
国を作るぐらいだから知性といったものも獲得しており、それは人間の学者を遥かに凌駕する動物もいた。もはや動物では既になく、<モンスター>して彼らは新たな進化を遂げたのだ。
そして力を持ち知性を持ち、さらに肉体として人間を超えたモンスターが考えることは一つしかない。弱肉強食は彼らが一番見に染みているのだから。
俺の母国は蹂躙された。大人と赤子のような戦力差は何をしても埋まるものではない。敗北するしか他にはなかった。屈強な兵士たちは豪傑のモンスターに蹴散らされ、硬い団結は不思議な技を使うものにに踏み潰された。
あとは考える必要はとくにないだろう。母国の党首はモンスターとなり、生態系は逆転してしまった。人間は食物連鎖の頂点を追い出されてしまった。
世界に散り散りになった人間達は次第に集まり、また国を作ったらしいけど、それは復讐のためではなく生き残るため。モンスターの国には抵抗するほどの力は最早残っていなかった。もちろんモンスターの国に残り生きていく人間もいた。恐ろしい種族に囲まれながら細々と生存を許される生活は餓えないだけマシだったのだろうか。
俺のご先祖はこういったモンスターの国で細々と生活していた人達だ。彼らはモンスターよりも力は弱く知能も劣る。そんな彼らが生き残るには工夫が必要だった。モンスターには無く人間には有るもの。それは経験。少し前に生まれたモンスターには積めない長年の知恵。原始より体格の勝る動物を狩ってきた経験。様々なそれをモンスターが吸収するまでの間、人間は生きることを許された。
必死で彼らは知恵を集めて献上した。長く永く生きるために。こうして代々を生き繋いでいくにつれて奇跡が起きた。モンスターが人間と交流して愛着をもった。賢いペットから仲の良い相棒へと進化した。奇跡のような光景はいつしか当たり前になり、俺の生きている現代まで続いたのだ。
モンスターの国の外にある人間国は逆だったらしく、長い年月に力を蓄え再び繁栄し反逆の機会をうかがっていた。戦争し勝ち頂点へと登り詰めるために。
まあ、難しい話はここまでにしよう。あまり頭を使うことは苦手だから。でも説明しないと俺の職業が分かりづらくなるから仕方ないんだ。
俺も今年で18歳になる。どこにでもいるかは知らないけれど両親がいない孤児だった。孤児院から色々とあって出ていき仕事をしている。一緒に出てきた女の子を養うために。
女の子を救うために今日も仕事に出る。嫌なことが多い仕事だけど他に才能がない。俺が嫌になるだけなら何も構わない。
そう、そんな俺の仕事は――傭兵だ。
さっきも話した通り世界にはモンスター国と人間国がある。人間国は反逆の狼煙を挙げ戦争の準備をしている。しかし中には急速的な開戦派もおり、個人的な私兵でモンスター国を攻める人間もいた。
当たり前だがモンスター国も黙ってやられるわけにはいかず、軍隊を編成して迎撃する。こうして進軍すれば人間の敗北は必然だけれど、ただ長年反逆の機会をうかがっていた人間ではない。モンスターにとってひどくやっかいな対策を打ってきた。
<魔法>を使う人間が現れたのだ。奇跡を起こすものが現れたのだ。圧倒的な体格を埋めるための希望にして最強の力。モンスターにも不思議な技を持つものはいるが、さらに奇天烈で不可解な魔法。人間のみに扱えるのが人間には優しい仕様となっている。
モンスターも数は多いけど、むやみやたらに減らしたくはないものだ。それに人間の使う魔法はかなりえげつない。正直見ていて引いてしまうほどだ。
だからこそ俺のような人間が役に立つ。骨まで溶けるような火の玉も、迫りくる石壁も俺には意味がない。そんな人間がいるなら使わないわけがない。そして俺は食い扶持を稼げるという風な一石二鳥関係が素晴らしいシステムだ。
これがなかなかいい金にな「ねえ、ブラウン!!」うおっ!!
「さっきから何をニヤニヤしながら本に向かってるの? エロ本なの?」
「あ、いや違う違う!! 日記だよ、日記。それにペンもってるじゃないか。変な勘繰りはやめてくれよ」
「あっそ。日記でも何でもいいから早く寝よ。明日も早いよ」
「わ、分かってるよ。せっかく一念発起して書き始めたのに……」
いい気分で書いてたのになあ。まあ続きは明日書こう。明日はひさしぶりの傭兵仕事だ。さあ精を出して働いて、ご飯と隣の女の子を養う金でも稼ぎますか。
あ、そういえば名乗るのを忘れてた。日記には必要だよなこういうの。いや、必要か?
まあいっか。俺はブラウン。短い名前だけどまあまあ気に入っている。隣で寝てる女の子はシュガー。フワフワのトゲトゲした女の子。
この日記、三日坊主で終わらなきゃいいなと思いながら終わりにしよう。ではまた今度。
疲れました。次があればよろしくお願いいたします