(3)光の祭典~神子様たちの華麗な協奏曲②~
7月1日、早朝の神事が終了後、引き続いて行われたのは、『神子の就任式』と呼ばれるちょっと変わった神事?だ。
おはようございます。ヒカリ=フレクシア=イマミヤといいます。
今日から始まった龍皇教最大の神事『光の祭典』。初日の早朝、1回目の神事の後に行われている『神子の就任式』。
ぶっちゃけて言うと、私の弟子である12人の神子(メーリアとテレサ、アメリアは除く)が、各町に置かれている戸籍(私の場合は、テラフォーリアに流れ着いてから初めて住民登録したカラン)が、『コロラド王国籍』から『神籍』に変更される式典です。
『何人たりとも神子を縛ることはできない』という建前のもと、私たちの持つ戸籍すらも、どこかの国に属していてはいけないのです。そのため、神々に連なる戸籍として『神籍』というものがあり、神子になると『神籍』に籍を移さないといけないのです。
式典は滞りなく進んでいきます。
「それではこれより、新たに加わった12人の神子の籍を、『神籍』に変更する式典に移ります。」
司会進行役の神官が、式典を進めていきます。
「光の戦女神『ブリュンフィルド』に認められし神子となったアイリーン=ブリュンフィルド=ペンタフェンス様及び、そのご家族様。前へ。」
アイリーンとその家族が、神像の前に進みます。アイリーンは、光の戦女神の神子の衣装(真っ白なアーマードレス)を身に纏っています。
神像の前に置かれている台を挟んで、神像側に私と光の大神官様がいます。
神像の前の台には、コロラド王国が発行したアイリーンの戸籍謄本の原本と、『神籍』に登録するための真っ白な紙と石板が置かれています。
「初めに、旧名アイリーン=ペンタフェンスの戸籍を抹消します。」
私は、こう宣言してから、アイリーンの戸籍謄本を聖水に浸します。すると、当本に書かれていたアイリーンの名前が綺麗に消えてなくなりました。
「これで、アイリーン=ペンタフェンスという人物は、この世から抹消されました。続いて、旧名アイリーン=ペンタフェンスを『神籍』に登録します。
アイリーンよ。この石板に魔力を込めよ。さすればそなたは、光の戦女神『ブリュンフィルド』の神子、アイリーン=ブリュンフィルド=ペンタフェンスとなるだろう。」
「はい。」
アイリーンは、私の言ったとおりに、石板に魔力を込めます。すると、石板が白く光り輝き、横の置かれている真っ白な紙に次のように文字が浮かび上がってきました。
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神籍登録証明書
【眷属神の名前】光の戦女神『ブリュンフィルド』
【神子の名前】アイリーン=ブリュンフィルド=ペンタフェンス
【登録代行者名】光の神子ヒカリ=フレクシア=イマミヤ
【登録年月日】17448年7月1日
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「これで、正式にアイリーンは、光の戦女神『ブリュンフィルド』の神子になりました。これより先は、神子として恥じることのないように精進してください。」
「はい。私、アイリーン=ブリュンフィルド=ペンタフェンスは、光の戦女神『ブリュンフィルド』の神子の名に恥じぬよう謹んで精進いたします。」
「この紙は記念に取っておいてください。」
私はそう言うと、『神籍登録証明書』と書かれた紙をアイリーンに手渡しました。
アイリーンが家族とともに元の場所に戻ると、次の人が呼ばれます。
「創造神『アレキサンロリア』に認められし神子となったアスカ=アレキス=サイジョウ様及び、そのご家族様。前へ。」
アスカには、私がアイリーンと同様のことをします。大神官様が、アスカの戸籍謄本を台の上に置きます。
光の眷属はこの2人で終了なので、次にタケシと闇の大神官が台の前に立ち、闇の眷属に移ります。
こうして、それぞれの6大龍神の神子が、眷属神の神子に神籍を作っていきました。
神子の就任式の無事に終わり、1時間ほどの休憩を挟んで、午前の神事に入りました。午前・午後の各1回ずつ行われる神事は、1人でも多くの参拝客を裁くため、カランにある6つの大神殿で行われます。つまり、各大神殿で属性ごとに分かれて神事を執り行っていくのです。
大変だと思いますが頑張ってください。
初日の神事もすべて滞りなく終了した夜。
光の大神殿に付随して建てられている、『光の神子の屋敷』と呼ばれる建物の大広間で、神子とその身内だけを集めたささやかなパーティーが開かれました。神子となり、新しく始める人生をみうとだけでお祝いしようという建前で開かれているパーティーです。
私たち神子24人は、神事で身に纏っていた神子の衣装ではなく、学園の制服を着ています。今日のところは、身内だけのパーティーということもあり、このような場で着る正装の中でも一番下の分類である学園の制服を着ることに皆で決めました。ぶっちゃけ言うと、サトミさんを除いて、全員魔術学園の学生だしね。
さらに言えば、神子の中には平民出身の子もおり、そんなものにお金をかけれる経済状況でもない、という理由もあります。
まあ、8日後に控える私の結婚式では、こちらが用意したドレス(私が着るドレスを仕立ててくれているあのお店に発注してあります)を着てもらいますが。もちろん、結婚式用とパーティー用、あとパレード用の3着ご用意しております。素材やデザインは、全てお店に一任してあるので、どんなドレスが出来上がるのかは、当日のなるまでわかりません。私が着ることになるウエディングドレスとやパーティードレスもそうです。
このドレスの費用は、私が着るドレス以外は、全て私のポケットマネーから出ています。豪華なドレスの10着や20着程度用立てするくらいは、何でもないほどの資産がありますので。
もちろんサトミさんだけは、パーティードレスを着ていますよ。
今この場所には、神子とそのご家族が勢ぞろいしているわけですが、その顔ぶれと言ったらすごいの一言です。
アメリアとメーリアは、この国の第1王女と第2王女(今日の式典で、王籍から神籍に籍が変わったため、現在は王女という肩書ではない)だったので、当然ここにいるのは王族の方々です。テレサの実家だったところは、ナリスタリア州を預かるセンダレス公爵家です。ちなみに、カランに籍を置いていた私、リョウコ、マナミ、コトリ、コウタ、ケンジ、タケシの7人の、身元引受人になってくれていた家でもあります。あと、アイリーンの実家は、コロラド王国教育大臣ペンタフェンス伯爵家、イグの実家は、エルフ族自治領領主(一応身分としては公爵)ですね。そして、アスカとユイトの身元引受人だったのが、マクリドナ州を預かるトラファーレ公爵家です。
がじめの挨拶の時は、キーニャ達のご家族は萎縮していたのですが、時間が経つにつれてそれぞれの家族同士も打ち解け、今では談笑しているほどです。国王様も、『今は公式の場ではない。1人の息子・娘を神子の持つ家族だ。その家族同士なのだから、俗世の身分は関係ない。』と言われていました。
そうそう。
私たち神子どうしですが、なんだかんだと男女同士のペアで行動しています。
私は当然タケシとペアになっていますね。ケンジとアメリア、メーリアとコウタ、マルコスとリョウコ、つい先日までペアのいなかったテレサとコトリ、マナミですらお相手がいるようです。テレサはサンダレス様と、コトリはライマールと、マナミはルクシードとペアになっている。アスカとユイトは、どうもお付き合いをしている感じだね。イグとアイリーン、ヘレンとトラバーユも、よく一緒にいることのほうが多い2人だ。
あと私が把握していないのは、キーニャ・スミレ・ナンシー・モニカの4人だけだが、が彼女たちもどうもかれしがいるみたいだ。
まあ、そんなことはどうでもいい。
メーリアたち、お付き合いが公然の秘密と化している人たちが、なんと、このパーティーの席で、ご家族にそれぞれの恋人を紹介し、全員がその場で婚約してしまったのです。そして、今年の年末までに全てのカップルが結婚することに相成りました。
”パチパチ…”
これには、私をはじめ、ご家族一同があんぐりと口を開けてしまいました。さらに言えば、アメリアとメーリアについては、すでに結婚式の日取りも決めているみたいで、それぞれの誕生日に結婚するみたいです。アメリアは7月15日、メーリアは10月10日ですね。止まり、私の結婚式が終わった数日後には、アメリアとケンジの結婚式があるのです!
あと6か月の間に、今いる神子たちは全員結婚するんですね。
おめでたいお話なので、全力で祝いたいと思っています。




