(1)ヒカリの特訓①~チートな訓練で最速強化してしまいました~
6月に入り、夏の暑さが激しくなるこの頃、魔術学園では期末試験があります。
5月の話がないって?
5月はイベントもなく、ただ勉強していただけなので、スルーさせていただきました。私の弟子になった10人が順調に成長してきており、次の週末あたりからは広場に張ってある結界の外側へと行けそうです。
おはようございます。ヒカリ=サギミヤです。
この期末試験。ファンタジーない世界らしく、試験の内容がなんと武術大会なのです。もちろん、ペーパーテストもあるのですが、どちらかというと、武術大会の方がメインみたいですね。
2か月間学んだ内容を、余すことなく出す時がやってきました。そう、期末試験です。1学期の試験は、各学年ごとに行われる武術大会。そして、2学期の試験は、学園全体で行われる武術大会が試験の内容となります。学年末の試験では、学園都市全体で行われる武術大会が試験内容になります。もちろん、3つの大会には、個人戦と団体戦があり、学期末の試験がなんだかお祭りみたいになっています。
普通に勉学に励んでいるのならば、例外はありますが、そんなに成長の度合いは変わる事はありません。しかし、新たに弟子となった10人と、もとからの弟子だったメーリアとテレサは、既に常人の域を脱してしまっています。
試験がある5日前の放課後、私は、試験にあたり先生方に相談をしました。
「どこまで手加減したらいいですか?」
普通ならば、全力を持って挑まなくてはいけない試験です。しかし、私をはじめ、メーリア、テレサ、リョウコ、マナミ、コトリ、コウタの7人は、冒険者ランクがSSランク、つまりバケモノです。さらに言うならば、新たに加わった弟子10にも、上はSランクから下は、Aランクと、バケモノ予備軍と化しています。全力で事に当たれば、有象無象の学園生徒たちなど文字通り瞬殺してしまいます。あたり心が悪ければ、その場で殺してしまうでしょう。
それはあまりにもまずいので、本当の事を話して手加減の度合いを確認した次第です。
その結果。
「君たちが何処まですごいのかを、この目で確認してみたい。話はそれからだな。」
という事で、試験前に急遽始まった、我ら17人によるデスマッチ戦です。
試合会場は時間の都合もあるので、『精神と〇の部屋』にあるいつも訓練をしている広場。ここならば、時間をあまり気にせずに全力で戦えます。
「じゃあ、ヒカリちゃん。またあとで。」
一緒に来た弟子たちは、5時限目の魔術訓練そのままの恰好なので、当然体操着です。かく言う私も体操服にブルマのまま、先生たちとお話しています。
「ヒカリ君、ここはどこだね?それと、なぜ君らは、体操着のままなのだね?」
初めて訪れた先生方は、この空間について質問してきます。
「ここは、『精神と〇の部屋』といいます。外の世界での10分間すぎると、この部屋の中では1日すぎます。知っている方もいると思いますが、サギミヤ商会カラン本店とカランの冒険者ギルドでは、外の時間準拠で1時間当たり1万テラ(金貨1枚)で使用できる部屋です。私たちの事を見てもらうために、ここに来ました。外の世界では、影響が大きすぎますからね。
あの子たちは、これからここで、毎日行われている訓練を、部屋の中の時間軸で1か月ほど行います。
とりあえず先生方には、その訓練を見学していただきます。学園の体操着なのは、ただ単純に汚れるからです。」
そんな事を話しているうちに、弟子たちが宿舎の方から出てきた。もちろん、メーリアとテレサ、リョウコたちも一緒である。
「今日は、先生方にいつもの訓練を見学していただきます。では、準備運動の後、広場の周りを魔力強化なしで10周しましょう。」
こうして、いつもの訓練が始まります。
1日目の訓練は、体力強化を中心に行います。
すでに全員が、この部屋で訓練試打してから、部屋の中の時間軸で1年以上経過しています。そのため、広場の外周を10周(約40キロ)程度するだけなら、1時間もかかりません。魔力強化をするならば、30分程度で終わらせてしまいます。
マラソンが終われば、次は、筋力強化の時間です。私が、広場全体に重力魔法をかけます。最近は50倍程度までならば、平然としていますので、今日からは1段階上げましょう。
「これから筋力強化の時間です。ここにいる全員が、重力荷重50倍までならば平気になっていますので、今日からは、1段階60倍まで上げたいと思います。先生方は、60倍の重力は耐えれないと思いますので、お城に掛かっている橋の上に避難してください。体験してみたい場合は、そのままいてくださっても構いませんが、責任は持てません。」
私がそう言うと、武術担当の教官以外が橋の上に避難する。
「では行きます。『重力荷重60倍』」
私が宣言した瞬間、広場の空気がいきなり重たくなります。武術担当の教官は、何とか立っているという状態です。
「では、まずは、…。」
こうして60倍の重力の中で、日が暮れるまで約6時間、筋力強化訓練をします。
「最後に、広場の外周を1周して終わりましょう。」
訓練終了後、通常の重力に戻します。その瞬間、私や先生も含めて全員が地面に大の字になって寝ころびました。さすがに60倍の重力はきついですね。全員汗だくで体力を使い果たしています。
15分後、少し落ち着いてきた私は、とりあえず立ち上がり、自分自身に清浄と大回復をかける。隣で寝ていた先生も同じく立ち上がり、清浄と大回復をかけた。ほかのメンバーはまだ、立ち上がる気力すらないようだ。
「ヒカリ君、いつもこんなことをやっているのか?」
「はい。この部屋で行う訓練の最初の1日目は、いつも荷重重力下での訓練ですね。しかし、先生もよく耐えましたね。初めての方は、60倍の重力下では、動くことも困難なはずなんですが。」
「俺も鍛えているからな。生徒たちには負けられん。」
「では、みなさん、本日の訓練はここ目でです。また明日の朝9時から訓練を再開しますので、それまでには、ここに集合しておいてください。
先生方は、こちらへどうぞ。」
私は、先生方を場内へと案内した。
翌日、準備運動の後、先生方がここに来た目的へと移る。
「今日は、外の時間軸で5日後に行われる期末試験の対策をします。先生方がここに来た目的は、私たちの全力状態での実戦訓練の確認と、その対策をするためです。ぶっちゃけた話、この中で一番弱いヘレンやモニカですら、そんなに苦労せずとも上位の成績に食い込めるでしょう。
アイリーンさんやルクシード君などのSランク以上の者ならば、全試合瞬殺確定です。
それでは面白くありませんので、それぞれの実力に合わせてハンデを付けようという話です。全力で勝負に挑んでくる相手に対しては失礼に当たりますが、私たちに関してはどこまで手加減するかが焦点になっています。
それを見極めるため、今から全員総当たり戦を行いたいと思います。試合時間は1試合10分間、これは試験の時の試合時間と同じです。ルールも、試験の時と同じルールを採用します。」
そこまで言うと、私は、目の前に直径50メートルの円形のリングを出現させた。
「では、第1試合とまいりましょう。第1試合は、アイリーンさんとイグ君からお願いします。カイベール先生、審判の方、お願いできますか?」
「わかった。」
私の指名で、審判役のカイベール先生と、2人がリングの上に上がる。
「ではこれより、アイリーン君とイグ君の試合を始める。
ルールは学期末試験のルールに準儒るモノとする。
でははじめ!」
アイリーンさんとイグ君の、真剣勝負が始まりました。
ちなみに、学期末の試験のルールは次の通りです。
(1)試合時間は10分間。時間内に勝負がついた場合はそこで終了とする。勝負がつかない場合も制限時間で終了とする。
(2)直径50メートルのリング内で試合をすること。リングアウトは即失格とする。
(3)相手を殺さない限り失格とはならない。
(4)試合中の怪我は、怪我をした本人が回復させること。試合中の回復魔法の使用は許可する。
(5)武器の使用も認めるが、魔法攻撃を主体とする事。武器や防具に魔術付与する行為は、使用を許可する。
(6)一部の生徒に限り、手加減を許可する。基本は、全力で戦う事。




