(1)サプライズ!!~結婚式は派手婚?それともジミ婚?~
時は少し遡り、12月10日。私は、タカユキさんとマユミさんから、結婚すると報告を受けた時、初めは、今いるカランの家で、少し地味目な結婚式をしようと計画していた。計画段階から、マユミさんには真っ白なウエディングドレスを、タカユキさんには真っ白なタキシードと、日本の結婚式のような恰好をしてもらおうと思い、2人に採寸がてらカランの町中にある一番大きな服飾店『オートクチュール』に出向いて採寸をしてもらっていた。もちろん、仕立ての料金は私持ちである。金貨30枚ほど吹っ飛んでいったが、国家予算並みの財産がある私にしてみれば、はした金同然の金額だ。結婚式とその後の披露宴もどきも、当然カランの家で行う予定で計画が練られていた。
その計画が大きく変更したのが、年が明けた1月1日の事である。
おはようございます。ヒカリ=フレクシア=イマミヤです。
光の大神殿でのお正月行事も1月7日、今日は『闇の日』と言われている『闇龍神ダークネスの降誕祭』で終了しました。
これからの予定を話しますと、1月10日にタカユキさんとマユミさんの結婚式が光の大神殿に於いて執り行われます。この事は、まだ2人には伝えていません。先ほどお話していたように、2人は、『カランの家で、少し地味目な結婚式』をするモノだとばかり思っています。
結婚式が終わった翌日には、タケル達『暁のトラ』の面々がカランを旅立っていきます。
これを皮切りに、『炎帝の鉾』と、カラリスさん率いる商隊『マリュース』も数日の間をおいてカランから旅立っていきます。
今回からは、『炎帝の鉾』は、『マリュース』の護衛から外れました。何故ならば、『マリュース』には、空間属性持ちのテッペイ=ウエダ(上田哲平から改名)君がいるからです。彼の加入で、商隊の商品管理・運搬・移動が、格段に改善したためです。
元々使用できていた空間収納にほか、10日間ほどで覚えてしまった瞬間転移と合わせて、コロラド王国内ならば安全・確実に商品の運搬が可能になったからです。私を再会するまでの約1年間、商隊に引っ付いてコロラド王国のあちこちを旅してきたことが、ここにきて役に立ったのです。もっとも、このマリュース自体、1年も待たないうちにサギミヤ商会に吸収合併されるんですが、…これは別なお話な為今は割愛します。
『炎帝の鉾』もまた、空間属性持ちのミノル=ワタナベ(渡辺稔から改名)君の加入で、倉庫兼魔法職を手に入れ、また『マリュース』同様、移動時間も大幅に短縮されています。
2月1日になると、いよいよ私とサトミさんが計画していた事が本格的に動き出します。
『サギミヤ商会』の開業です。
商会の主な業務内容は、雑貨店と旅館兼食堂、コロラド王国各地への物資運搬です。各地と言っても、当面は、王都ロンドリアと6つの州都だけですが。
サギミヤ商会については、また後ほど詳しくお伝えします。
閑話休題
タカユキさんとマユミさんの結婚式が、なぜ光の大神殿に会場が移ったか?それは、私が『光の神子』だという事に関係しています。私が、『光の神子』として新年の行事に強制参加させられ(これについては、自業自得な側面もあるので、もう諦めていますちなみにこの時、サトミさんも強制参加をしてもらったため、サトミさんだけは、私同様有名人になりました)、さらに今後、光の大神殿で行われるの数々の神事にも参加するように請願された時、私から出した交換条件が2つ返事で採用されたからだ。
1つ『今後すべての神事に置いて、身分の貴賤を問わず参加させる(参加できる人は、事前の抽選で決定する)』
1つ『大神殿内に於いて、神殿関係者以外立ち入り禁止区画以外の施設の利用を解禁(これまでは、貴族しか利用できなかった)』
1つ『光の大神殿内では、あらゆる俗世の権力の行使を禁ずる。この禁を破りし者とその親族は、今後一切の神殿行事の参加を認めない』
私は、この3つを条件に出した。これが、その場で即採用され、『光の神子の初勅』として大々的に発表されてしまった。
また、この初勅を改定する際は、『6大龍神の神子の総意が必要』とし、『1人でも欠けている時は、改定する事は出来ない』とした。つまり、今の時代はたまたま6人揃っているが、これから先、6人が揃っている事なんかはほとんどないだろう。特に、『光の神子』は、数百年単位でしか現れる事はないらしいので。私みたいに、先代から1000年の時間が流れることだってあるのだ。
ちなみにこの『初勅』、私が新年の神事を請け負っていた7日の間に、残り5大龍神の大神殿と、コロラド王国内に散らばる6大龍神を祀るすべての分神殿が追認してしまったため、今まで貴族権限を使って我儘し放題だった貴族たちが泡を吹いてしまった。事を起こしてしまった貴族が、本当に神殿の敷地にすら入ることが出来なかったと知った後の貴族たちの顔は、今でも笑えてくるほどだ。まあ、救済処置も一応あるにはあるのだが、それについては、発砲はもう少し後になると思う。貴族たちには、少しは頭を冷やしてほしいからだ。
閑話休題
タカユキさんとマユミさんの結婚式は、これらの理由で光の大神殿になったわけです。
そして1月10日になりました。
「ちょっと会場が変わったので、そちらに移動しましょう。」
私のこの発言で、カランの家からぞろぞろと移動を始める面々。今日の参加者は、私たち『パーティ鷺宮』の18人と、『暁のトラ』の4人、『炎帝の鉾』のメンバー7人、移動商隊『マリュース』のメンバー10人、そして、ついこの間、私の弟子になったメーリアとテレサの合計31人です。ちなみに、この2人の身分を知っているのは、私とサトミさんの2人だけだったりします。
そして到着した場所が光の大神殿。
「ヒカリちゃん?」
「何ですか?マユミさん?」
マユミさんは、恐る恐ると言う感じで、私に訊いてきます。
「…そのう、もしかして、…だけど。私とタカユキさんの結婚式って、…光の大神殿でやるの?たしか、当初の予定では、ヒカリちゃんのおうちだったよな気がするんだけど。」
「そのとうりです。お2人の結婚式は、光の大神殿で行う事になっています。ちなみに披露宴は、光の神子の屋敷の大ホールで行いますので、あとで移動となります。
あと、私のおうちは、今日から光の大神殿の敷地内にあるお屋敷に移動となりましたので。マイホームは、周りにある建物を含めて少し改装してから、私が立ち上げる商会の本部として使用します。今後については、追って連絡します。
今は、お2人の結婚式を楽しみましょう!さあ、マユミさんは私と一緒に、タカユキさんは、大神官様についていってください。あとの方は、光の大聖堂で待機をしておいてください。お爺ちゃんは、事前の相談の通りにお願いします。」
「分かっておるわい、ヒカリよ。」
「さあ、いきましょう。」
私は、マユミさんの手を曳いて、”ある場所”に向かいます。
「ここは?」
「ここは一般人が使う『禊の間』です。男女別々にある中の女性専用の部屋です。マユミさんは、ここで禊を行ってもらい、その後ドレスに着替えてもらいます。私も準備があるので、あとの事はここにいるメルシーが全部準備してくれますので、彼女に従ってください。」
「メルシーと申します。本日は、マユミさまのエスコートを光の神子様より命じれれております。解らない部分は、何なりとお聞きください。」
禊の泉の側にいる神官が、私の言葉で軽くお辞儀をして、柔らかい笑みと共に自己紹介をする。
「…よろしくお願いします。」
マユミさんは、少し恐縮した笑顔を向けた。
「では早速ですが、禊に入る服装に着替えましょう。」
マユミさんは、メルシーに手を引かれて隣の部屋に消えていった。私も、準備をする為、私専用のエリアに転移した。




