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異世界惑星テラフォーリア冒険記~異世界で龍神の神子になりました~  作者: ai-emu
【第1章】世界の歪からこんにちは!?~異世界の惑星テラフォーリアです~
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(1)雪国じゃない!!ここは何処!?

第1章 世界の歪からこんにちは!?~異世界の惑星テラフォーリアです~大きな岩に衝突してやっと止まったバスの中で、光莉は、周囲の喧騒で目と覚ました。少しの間気を失っていたようだ。横に座っている寿李はまだ気を失っており、光莉の肩に体を預けている。しっかり見た訳ではないが、光莉と同様にしっかりとシートベルトをしていたおかげか、はた目からは大きな怪我はないようだ。光莉もそうだが、頭から何かの粉やら水やらが掛かり、全身変な化粧をしているが。

光莉はとりあえず、周囲の状況を確認する事にした。

まずは光莉自身から。

首は問題なく、上下左右を向けることが出来る。手足の指先も、問題なく動かすことが出来た。両腕や両足の関節も滞りなく動かすことが出来、とりあえず四肢には異常がない事が解った。

次に、光莉の肩を枕にして気を失っている寿李を退かし、シートベルトをはずして立ち上がってみる。衝突した衝撃なのか、軽く眩暈はするがこの位は許容範囲だ。全身にスリ傷や青痣が散見できるが、骨折などの大きな怪我はないようで安心した。

次は、隣で気を失っている寿李だ。

光莉は、寿李の肩をゆすって目を覚まさせ、自分にしたことと同じ動作を寿李にさせる。寿李も擦り傷や青痣はあるが、大丈夫なようで安心した。お互い、言葉を滞りなく話せる事から、脳へのダメージもあまり問題視するほどではないようだ。

次にバスの中様子を確認する。

前から2列目に座っていた光莉と寿李。1列目の運転席側に座っていた校長先生、助手席側に座っていた担任と副担任、運転手とバスガイド、2列目運転席側にいた毅と謙治にも声をかけていく。5人ともに無事で安心し、続いて後ろの生の玲子と真奈美の無事も確認した。

ざっと見渡した感じ、バスは、右側面から突き出て見える大きな岩に衝突して止まったみたいだ。その衝撃で、あちこちの窓ガラスが割れてしまっている。岩が突き破っている場所の座席は大きくひしゃげており、そこに座っていた子たちは、骨折などの大きな怪我をしているようだ。下手をすると死んでいるかもしれない。その辺については後で考えよう。

バスの中は騒がしく、何が起きったのかが解らずに右往左往している生徒で収集がつかない状態だった。

ふと、窓の外に目を向けて、光莉は驚愕した。


(確か、雪国に向かっていたのではないのか?)


しかし、窓の外に広がる風景は、どこまでも続く草原、遠くの方には、鬱蒼と茂る森が広がっている。その先はどうなっているのかはここからでは解らない。空を見上げれば、西?の空が茜色に染まり、間もなく日没を迎えるらしい。周りの様子から察するに、日が沈めば真っ暗になって何も見えなくなるだろう。

どう考えても、『日本ではない』と言う結論が導き出される。

いや、地球上で見ても、こんな風景が広がっている土地はあるのだろうか?

光莉が知っている中では、世界中何処にも該当する土地はなかった。世界中にある全ての大地を知っているわけではないが、こんな風景をしている土地は、光莉の記憶の中では存在していなかった。

さらに言えば、トンネルに入った時はまだ昼前だったはずだ。何時間気を失っていたのかは知らないが、いくらなんでも日が沈むのには早すぎる。


(じゃあ、ここはいったい何処なのだろう…。)


そんなことを考えながら、一旦席に座りなおし、窓の外の風景をぼんやりと眺め現実逃避をする事にした。隣にいる寿李も、光莉に倣い現実逃避に決めたようだ。

暫くすると、一人の男子生徒が、大きく手を叩いて皆を静まらせると、現状把握のための言葉を紡いでいった。

「静かに!ボクの話を聞いてください。」

「何だよ、毅。」

「ガヤガヤ騒いでいても、現実は何も解決してくれません。もう少し周りの様子を確認して、現実を直視しましょう。」

毅と呼ばれた生徒が、この場を支配していくのが手に取るようにわかる。

「皆さん、まずは騒がずに自分の席に着きましょう。」

場を支配した毅は、皆を席に座らせる。

毅の言葉で、皆が各々の席に座ったのを確認すると、毅は、大きく深呼吸をしてから話し始めた。

「まずは、現状を把握していきましょう。

文句は、あとでいくらでも聴きますから。

それでは一つずつ、現状を確認の意味を含めて把握していきましょう。

まず僕らは、2泊3日の予定でスキー研修をするために、このバスに乗っていました。

そして、関越トンネルを抜ければ、そこは雪国のはずでした。

しかし、トンネルを抜けた先は、…ご覧のとおり、どこまでも続く草原です。」

毅は、皆の視線を外の風景に誘導していく。

この時になって、初めて自分たちのいる場所を知ったという生徒もいた。

毅は、当たり前のことから話し、現実を一つずつ確認させていく。

そして、さらに事実を潰していく。

「まずは、自分自身の状況確認からです。

状況的に見て、バス気突き刺さっている大岩付近に座っていた人は、すでに亡くなっていると思います。

では、現在生存している中で、骨折などの動く事の出来ない怪我をしている人はいますか?」

こうして、状況の確認作業が始まった。

その結果、運転手やガイドを含めた乗客40人のうち、死亡者は5名を数えた。生存者の中でも大きな怪我をしている者は5名いた。骨折などのけがは、大急処置だけを済ませるにとどまった。死亡者5人はバスの後方に運び、バスの外に出す事はしなかった。理由は、血の匂いに誘われて肉食の獣が集まってくる可能性があるからだ。

「この草原に来るまでの行程は、僕もどうやってここに来たのかが解らないのでとりあえず端折りますが…。みなさん、見てのとおり、この草原にいるのは、僕たちの乗っているバス一台だけです。」

「えっ!」

みんなは、もう一度、窓の外を見た。

確か10台の隊列を組んでバスは高速を走っていたはずだ。さらに言えば、並走していた車も、結構な数いたはずだ。

しかし、前後左右、どこを探してもほかのバスは見当たらない。それどころか、バスと並走していた車もいなかった。

光莉も、その事実を毅の言葉で初めて知った。

毅は、現実を皆に突きつけると、さらに話を進めていった。

「さらに追い打ちをかけますが、空を見上げれば、茜色に染まっています。つまり、後1時間も経てば日没を迎えます。」

ここで毅は、大きな間を作る。

「…さて、僕たちには、いくつかの選択肢があります。」

うまい具合に話に間を作る毅。場の空気は、完全に毅に支配されている。

「まずは一つ目の選択肢です。

いつ来るのか分からない救助をひたすら待ち続ける。周りの風景を見るからに、この選択肢は絶望的です。なんせ”此処が何処なのか”も、誰も理解できていないからです。さらに言えば、携帯電話や無線などの電波もありません。GPSによる現在地の検索も不可能です。

よって、誰かに助けを呼ぶ事すらできません。」

毅の言葉で、皆一斉に携帯電話を弄りはじめる。私も其処まで気にかけていなかったのか、毅の言葉で初めて携帯電話の存在を思い出した。毅の言葉通り、…携帯電話は何も反応しなかった。

「続いて二つ目の選択肢です。」

毅は、皆が何も反応しない携帯電話に愕然とし、諦めるのを待って話を続ける。

「2つ目ですが、とりあえずこのバスを拠点に、周囲を探索してみる。

もう日が沈みますので、暗い夜道を歩くのは危険です。明日の早朝、日の出を待って始めるのがいいでしょう。

其処から先は、大きく2つのプランに別れます。

1つ目のプランは、このバスを拠点に周囲を探索していくプランです。とりあえず、最低限の雨や風は防ぐ事は出来ます。

2つ目のプランは、このバスを捨てて、人里を目指して冒険の旅に出る事です。こちらについては、人里を見つけるのに“何日かかるのか”、もう1つは、“どの方向に人里があるのか”、どちらも何も解りません。

どちらのプランも、一長一短があるので、どちらを選択するのかは個人の自由です。僕は強制するつもりもありませんし、また、非難するつもりもありません。」

「あのう、少しいいですか?副会長。」

光莉は手を挙げて質問を毅にぶつけた。

「何ですか?会長、質問はあとで受け付けますが、…まあいいでしょう。どうぞ。」

光莉と毅は、生徒会の会長副会長という肩書を持っており、この二人が教職員を差し置いて、実質学校のトップに君臨していた。

光莉は、毅の話を引き継ぐように話す。

「それでは、まず確認したい事があります。」

光莉は、運転手の方を見てから話し出した。

「運転手さん。この状況から察するに、このバスを動かす事は出来ないでしょう?」

光莉は、バスに突き刺さっている岩を示しながら話す。運転手も、光莉の言葉に同意するように頷いた。エンジンすらかからないバスは、只の”鉄の箱”だ。例えエンジンがかかっても、全てのタイヤがバーストして跡形もなく無くなっており、車軸も曲がってしまっているので動かす事すらできない。

「…では、この状況を踏まえて、皆さんに”あること”を確認します。

包み隠さずに答えください。

今、このバスの中に、どれだけの“食べる事が可能な”食べ物や飲み物、武器になりそうな刃物類がありますか?皆、自分の周りを確認して前まで持ってきてください。

外はだんだんと暗くなってきています。

先ほど副会長が提示した選択肢の前に、今晩はここで一泊することになります。」

光莉の指示で、バスの中にあるすべての飲食物と武器が集められた。それでも、35人からなる団体が、腹を満たす事の出来る量はなかった。そもそも、この事故?が起こる前は昼前だったのだ。越後湯沢についてから昼食を摂る予定だったのだ。

そこで光莉は、自分の考えを披露した。

「今日はもう日が暮れますので、ここから動く事は無理でしょう。今集めて貰った食料は、皆に平等に分けて配ります。食料は少量しか配給できませんが、節約すれば明日くらいはあるでしょう。

そこで私の考えをここで話します。

今日はとりあえずバスの中で夜を明かしますが、私は、この先バスを降りて、人が住んでいる場所を探そうと思います。その途中で、何か食べ物を見つけていく予定です。幸い草原を少し歩けば、森の中に入ります。森の中でなら、何か食べられる木の実などがあるでしょう。さらに川が見つかれば、必ず人里があるはずです。地球でもそうですが、生命が暮らしていく過程では、必ず水場が必要ですから。

私の考えに賛同する人は、一緒にバスを降りてください。明日の日の出とともに、私はこのバスを発ちたいと思います。行動するならば少しでも早い方がいいですので。森の中で野営をしながら人里を探す予定です。

よって私は、バスを降りさせていただきます。」

そう言うと、光莉は集めた食料を分配していった。そして明日は早いからと、さっさと寝てしまったのだ。


「昨日言ったように、私はこのバスを降りて、冒険の旅に出ます。こんな所にいても仕方がないですからね。」

翌日の日の出とともに、私はこんな事を言い放つと、バスを降りてしまった。



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