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異世界惑星テラフォーリア冒険記~異世界で龍神の神子になりました~  作者: ai-emu
【第4章】龍神の神子の試練~世界に顕現する6大龍神の神子~
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(3)新年の慶事②~『光の神子』のチートな一面~

何処か解らない世界から、現実世界に戻っていた私たち6人。現在いる場所は、もともといた場所(光の大神殿前の噴水前)にいます。この場所には、一緒に年越しを楽しんでいた仲間もいます。

こんばんわ、今宮光莉改め、ヒカリ=フレクシア=イマミヤです。

『光の神子』と言うモノに選ばれたら、名前が改名されてしまいました。

「あれ?ヒカリちゃんたち、何か轟々しい服装にいきなり変わったけど、…どうしたの?それと、そのかわいらしい猫ちゃんたちは、何時からいたのかな?」

ケイトさんが、服装が変わった事について質問してきます。どうやら、私たちが謎の空間に旅立っている間は、こちらの時間は止まっていたみたいです。

「この猫ちゃんたちは、実は6大龍神です。」

カミングアウトしたら、ケイトさんたちは固まってしまいました。

「・・・・」

「お~~~~い!」

目の前で手を振ってみましたが、反応がありません。

「…ヒカリちゃん?それ、マジで言っているの?」

「はい。この子がフレア。こう見えても光龍神『フレクシア』です。」

「ヒカリちゃん、こう見えてもとは心外だニャ。ボクは、どんな姿をしていてもフレクシアなんだニャ。」

腕に抱えている白猫を、ケイトさんに紹介したら、フレアから突っ込みが入った。

「ごめんね、フレア。」

私はフレアの頭を撫でてから、喉元をナデナデしてみる。

「くすぐったいニャ。ヒカリちゃん、止めてなのニャ!」

ケイトさんは、私のやっている事についていけず、オドオドしている。ヒカリちゃんの話が本当なら、ヒカリちゃんに弄られている白猫は、この世界の最高神である『フレクシア』という事になる。

「あ、あのう…、ヒカリちゃん。海様をそんな猫扱いして、…大丈夫なの?」

「大丈夫よ。だって、私。『光の神子』だから。」

本日2回目のフリーズタイムである。

「早速だけど、イタズラしに突撃しましょう。」

マイペースのヒカリに連行されるように、面々は光の大神殿に足を向けた。

大神殿の入り口付近は、おバカな貴族が作った変な決まりによって、固くその扉を閉ざしている。しかし、本来に主であるヒカリの神子が、この扉を潜る事が出来ないという事はない。そんな事をしたならば、神殿に祀られている神、つまり、ヒカリに抱かれているフレアが許すはずがないのである。

ヒカリは、入り口の階段を堂々と上り閉ざされた扉に手をかけた。その瞬間、扉を護るように歩哨をしている騎士にその手を取られる。

「貴様、何用だ?ここより中には、貴族以外立ち入る事は許されていない。早々に立ち去れ!」

目の前の女の子が、フレクシアの代理であり代弁者である『光の神子』だとは知る由もない騎士。当然と言えば当然の反応である。

「そんな決まり、何時出来たんですか?」

「昔からある決まりだ。」

「だ・か・ら!何時の次回からある決まりなんですか?」

「そんなこと知るか!とにかく、建物内には、貴族以外の一般人は入る事は出来ない決まりになっている。それ以上問答をすると、切り捨てるぞ!」

言うが早いか、騎士は腰の剣を抜き、ヒカリを斬ろうとする。

しかし、ヒカリを斬る事は出来なかった。

何故ならば、騎士が抜いた剣が、原形を留めないほどに粉々に砕かれ、砂になって地面に崩れ落ちたからだ。

「この建物の『本当の主人』に、剣を向けるなんてなっていませんね。貴方はこのまま石像にでもなっていなさい。」

そう言いながらヒカリは、砂にされた剣を呆然と眺めている騎士を下から覗き込む。その瞬間、足元からから徐々に石化していく騎士。騎士が石像になるのに10秒もかからなかった。

同僚が石像にされたもう片方の歩哨の騎士は、とりあえず、同僚を石像にした少女の名前を聞いてみる事にした。少女が話していた内容に違和感を覚えたからだ。話していたことが本当ならば、少女をこの建物に入れないのは、誰が何と言おうと間違いなのだと直感が告げている。

「お嬢ちゃん、中に入る前に名前を伺ってもいい?一応決まりだからね。名前も聞かずに中に入れると、おじちゃんが叱れれてしまうんだ。」

歩哨の壮年の騎士は、目の前の少女に、失礼のない対応を心掛ける。先程石化された騎士は、まだこの神殿に勤め出してから日が浅く、何も知らないのも道理だが、すべに神殿騎士として三〇年近くたっているこの騎士は違っていた。

こんな仕事でも、長く続けていれば、神殿に詰める神官とも仲良くなるモノだ。その過程で、いろいろと神殿関係の噂話なども耳にする事がある。その噂話の中で、気になる事を耳にしたことがある。

曰く、光の大神殿の本当の主は、光龍神『フレクシア』の神子である『光の神子』である。

光の神子が現れた時、入り口を塞ぐような事はしてはならない。それは即ち、『神を神殿に招き入れない』と同義なのだから。

『光の神子』とは、光龍神『フレクシア』の化身であり、生きた神そのものなのだから。

だから聞いたのだ。少女の名前を。

「私ですか?私は、ヒカリ。ヒカリ=フレクシア=イマミヤといいます。」

「やはり『光の神子』様でしたか。神殿の主たる光の神子様に、無礼を働いたこと、この者に代わり謝罪します。どうぞお連れ様共々、中にお入りください。」

壮年の騎士は、謝罪とともに扉を開けて、ヒカリたちを招き入れた。

「ありがとう。お勤めご苦労様です。」

ヒカリはそんなことを言うと、ふと思い出したかのように、何やらぶつぶつと呟くと、小さな小瓶を作り出した。透明なその小瓶の中には、光り輝く黄金色の液体が詰まっている。ヒカリは、その小瓶を壮年の騎士に手渡した。

「神子様、これはいったい何でしょうか?」

「この液体は、聖水の一つ『神霊水』です。毒を含め、どんな『状態異常』にかかっても、神霊水を飲むか頭から被れば、すぐさま無効化します。

この無礼を働いた者に掛ければ、石化を解くことが出来ます。石化したまま放置すれば、あと10分ほどでこの者の命は無くなり、二度と元に戻すことが出来なくなります。

私としてはどちらでもいいのですが、この者の処分は、あなたに任せます。」

ヒカリは、それだけを言うと神殿の中に入っていった。

壮年の騎士にとっては、このヒカリが言っていた事は、他に誰の命令よりも上の命令なのだ。つまり、この神霊水を自分のモノにしてもいいし、石化した同僚に使用してもどちらでもいいと、光の神子から言われたのである。

考えた結果。

尋ねてきた者の素性も調べずに、剣で斬りつけた石化した同僚こいつが悪いという結論を出して、このまま放置する事にする。と言うか、考えている間に光の神子が言っていた10分間が経過してしまったのだ。


大神殿の入り口を潜り、エントランスに入ったヒカリたち一行。

入り口を入ると、大きな円形のエントランスに繋がっている。ここは20メートルほどの高さの吹き抜けになっており、巨大なドーム型の天井が遥か高みに存在し、巨大なシャンデリアが天井の中心に据えられている。現在は夜のため、シャンデリアに灯りがともされ、飾り付けられた宝石類に乱反射して何とも言えない幻想的な灯りを周りに届けている。

ドームの壁際には、窓の高さで周り縁が上まで設置されており、所々に周り縁に上がる階段が据え付けられている。

神殿内は、静寂な空気に支配されていた。

今この空間には、ヒカリたち以外は、誰1人立っている者がいない。ヒカリが、この空間に立ち入った瞬間に、中に詰めていた神殿騎士や神官たち全員が、一斉に全員が片膝をつきこうべを垂れているのである。ヒカリをその瞳に捉えただけで、その行動をとるとは流石と言うしかない。唯一ヒカリに立ちはだかっていた石化された騎士は、新人ゆえの過ちだったんだろう。もっとしっかりと周りの事を観察し、噂に耳を傾け、横柄な態度を取らなければその命を狩り取られる事はなかったかもしれない。現に相方の壮年の騎士は、真摯な態度を取っていたのだから。

「ここには初めて入ったけれど、なかなかと趣のある建物だね。」

ヒカリは、そんな感想を口に出した。

目の前にあるのは、幅約5メートル高さ約6メートルの巨大な2枚扉。その両脇には、3メートル四方ほどの2枚扉が並び、まるで、何処かの宮殿の正門のような感じだ。

「やっぱり神様の降臨なのだから、あの正面の大きな扉から入るべきだよね。フレア。」

「あの扉は、ここが造られた時以来、ボクの化身であり、代弁者である『光の神子』か、『光の神子に特別に許された者』しか通る事が許されていない扉だニャ。と言うか、光の神子しか、あの扉を開けることが出来ないニャ。

つまり、ヒカリちゃんがあの扉を開けて、その先にある大聖堂に行く行為自体が、1000年ぶりに実現する『光の神子の降臨』の儀式となるニャ。」

「そう、だったらあの扉を潜らないといけないね、やっぱり。

…。

今ここには、6大龍神とその神子が勢ぞろいしているわけだけど、どうせなら、皆であの扉を潜りましょう。

まずは、私が扉を開けるから、開いた扉から…。」

こうして6大龍神とその神子たちによる『テラフォーリア史に残る最大のイタズラ』の幕が切って起こされたのだった。

後の世の人々は、この出来事イタズラをこう呼んだ。


『6大龍神の大降臨』


そして石化された騎士や、ヒカリに対して敵対した行動をとった貴族たちは、こう呼ばれている。


『光の神子に楯突いた世紀の大馬鹿者』


これが、のちの世にとっての評価であったが、この時、この場所にいたおバカな貴族たちにとっては、至極当然の行動だった。

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