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異世界惑星テラフォーリア冒険記~異世界で龍神の神子になりました~  作者: ai-emu
【第4章】龍神の神子の試練~世界に顕現する6大龍神の神子~
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(1)世界最大の宗教『龍皇教』~いきなりの急展開!!白と黒だけの世界~

こんばんわ、今宮光莉です。

今日は12月31日。そう、テラフォーリアに来てから初めての年越しを迎えようとしています。私が率いる『パーティ鷺宮』、猛が率いる『暁のトラ』、ケイトさんが率いる『炎帝の鉾』、そして、カラリスさんが率いる移動商隊『マリュース』のメンバー総勢40名は、カランの中心にそびえる『光の大神殿』に来ています。カランでは、家族総出でここ光の大神殿に赴いて年越しを祝うのが伝統だという事で、私たちも、その伝統に則って来ています。

私自身は、あまり信じている神と言うのかないのですが、『光の大神殿』に来ると、何故か心が落ち着く感じがするんですよね。そのため、毎朝欠かさずに行っている体力づくりをはじめとしたジョギングのコースに、ここ光の大神殿の周回道路を入れています。まだ、神像が飾られている大聖堂には、と言うか、建物の中に足を踏み入れたことはないのですが。

どうも、変な決まりがあるらしく、建物内に入ることが出来るのは、貴族たちだけらしいです。『らしい』というのは、誰かがそんなことを言っていたからです。本当かどうかは知りませんが。どうせ、椅子に座っているだけの能無し貴族共が、貴族特権を乱用しているだけだと思うんですがね。貴族共あいつらは、変な規制をかけるそういう事でしか、自分たちの優位性を示せれないからね。

本当に馬鹿の集まりだ。


とりあえず、ここテラフォーリアにおける『宗教』についてお話ししましょう。


地球では3大宗教であるキリスト教、イスラム教、仏教ですが、ここテラフォーリアにおいては、新興宗教の1つにしかすぎない勢力しかありません。信徒数は、3つ合わせても1割もない。いるのかいないのかはっきりしない神に祈るよりも、実際に顕現し人々に恩恵と試練を与える神を信じている方が圧倒的に多いのだ。なので、キリスト教をはじめとした地球の宗教は、地球からテラフォーリアにやってきたそれぞれの宗徒が、細々と信仰を伝えているに留まっている。

では、テラフォーリアでは、どんな宗教が幅を利かせているのか?

テラフォーリアにおける3大宗教は、次の3つだ。

1つ目は、2極(光・闇)と4大元素(風・水・火・地)を司る6体の龍神を頂点として祀る多神教『龍皇教』。魔物であるドラゴンを神として祀っているわけではないですよ。

世界最大の大陸であるパンゲニア大陸の中央部から東部地域、ラムイダス大陸にある国々で国教として信仰されている宗教で、信徒は、総人口の3割弱に上る世界最大の宗教だ。信仰する神は、人や国、地域によりまちまちだが、それぞれの神に『龍神の神子』と呼ばれる存在がいて、『神子は神の化身であり代弁者』と言うのが、経典の最大の特徴でもある。

現在、全ての神々の神子は不在で、大神官が神子の代行者として神事を執り行っているみたいです。どうも『龍神の神子』とは、それぞれの神の洗礼を受けた者を指す言葉のようです。現在、その洗礼場所が不明のため、神子がいないのだそうです。

祀られている龍神は、光龍神『フレクシア』、闇龍神『ダークネス』、天龍神『シルフィード』、水龍神『ウンディーネ』、火龍神『イフリート』、地龍神『ノーム』の6大龍神とそれぞれの眷属神。その中でも、光龍神『フレクシア』は、全ての龍神と眷属神と束ねる神という事になっています。

そして、ここカランは、光龍神『フレクシア』を祀る各神殿の総本山である『光の大神殿』があるため、『光の都』・『光の聖地』と言う別名があります。

2つ目は、このテラフォーリアと呼ばれる大地を創造した全知全能の創造神金色の女王クインメシアを唯一の神として祀る『メシア教』。

パンゲニア大陸の西部各国で広まっている宗教で、総人口の約1割程度が信徒だと言われている。この宗教に関しては、特出している事は何もない。イスラム教やキリスト教のように、解釈や何やらによっていくつも会派が分裂していらしい。

最後の1つは、獣魔族が多く暮らしている大陸タタトリア大陸でのみ信仰されている『ゼウス教』だ。信徒数は、総人口の約2割。

世界の転覆を願っているとか言う、物騒な経典ではない。ただ、テラフォーリアに飛ばされてきたとき、もっとも大きな集団で、『次元の裂け目』を通過したにすぎない。そして、その集団がいた世界で、最大の宗教が『ゼウス教』だっただけだ。

ちなみに世界に散らばる獣人たちは、獣魔族と人間族との間に生まれた子たちを先祖に持っている。

彼らの故郷の宗教だったゼウス教の神によく似た姿の神が、たまたま降臨して彼らに何かを伝えたらしい。それが、テラフォーリアにおけるゼウス教の始まりだ。

あとの約2割は、その他雑多の神々を崇めているが、大体が、6大龍神の眷属が、形を変えているだけだったりする。


宗教の話はここまでにしておいて、貴族バカ共が作った変な規則のせいか、一応一般人枠である私は、大神殿の外の広場で星空を眺めながら、知り合いと雑談をしながら暇を潰していたりする。大神殿の中?から、大神官のありがた~~い説法が聞こえてきている。声を広範囲に届かせることが出来る風魔法なのだろう。中の貴族共おバカさんには、ありがたいお話をしていると思うが、外で、寒さに震えながら聴いている一般人にとっては、ありがたい説法も、右から左に聴き流すただのBGMだったりする。

年が明けるまであと1時間を切っている。突き刺さるような夜風が肌を刺激している。先程まで見えていた星空も、今は分厚い雲に覆われており、何時雪が降って来てもおかしくない天候だ。

「・・・・」

ふと私は、分厚い雲を見上げる。誰かに呼ばれたような気がしたのだ。

「どうしたの?光莉ちゃん?」

意味不明な私の行動に、智美さんが不思議がった。

「誰かに呼ばれたような気がしたんだけど、…気のせいだったみたい。」

それからしばらくは、何もなく時間が進んでいたのだが、

「・・・・」

まただ。私は再び夜空を見上げた。

「光莉ちゃん、私も何かに呼ばれたような気がしたんだんだけど。」

「俺もだ。」

「あたしも!」

今度は、私だけではなく、智美さん、毅、謙治、玲子、真奈美の5人も感じ取れたみたいだ。

「なんなんだろうね?」

何時しか分厚い雲から、雪が降り出してきている。

「・・・・」

私たちを呼ぶ”何か”は、段々と強くなっていている感じだ。呼ばれるたびに、降り出した雪も心なしか強くなってきているみたいだ。

「・・・・」

今度は、先ほどよりも強く呼ばれ、突き刺さる風が、私の中を通り抜けていく感覚がする。

『神子樽素質を持つ者よ。我の声が聞こえたなら、その身を委ねよ』

はっきりとした声が聞こえたその刹那、私たち6人は、テラフォーリアから消えた。


白と黒しかない世界。

あとは、静寂が支配する無機質な空間が広がっている。


先程までの喧騒は何処に行ったのか。

ふと足元を見ると、透明な何かの膜の様な白と黒の格子が石畳の様に続き、何かの彫像のように、人々が”逆”を向いて動きを止めている。周りを見渡すと、白と黒で造られた光の大神殿とその周りにある建物群が、足元に広がっている。膜の向こう側では、すべてのモノが、時を止めてしまっているみたいだ。

雪が降り出し、凍えるような寒さだったはずが、暑くもなく寒くもない快適な気温を保っている空間。

私以外の時間が止まっている?

いや、”この空間”には、私以外誰もいないのだ。

まるで、私以外の存在が許されていないかのようだ。

ふと目の前を見れば、現実?世界と同様に、光の大神殿が佇んでいた。

この世界唯一の建造物として。

「おいで、『・・・・』よ。」

私の脳に、直接語り掛ける声が急に聞こえてくる。

「だれ?」

私は、不安になりながらも声の主に問う。

『我の元に来たれ。光の神子たる資格を持つ者よ。』

私は、何かから発される声に従い、光の大神殿の中に入っていく。

入り口前の階段を登りきると、私を招くかのように固く閉ざされた扉が、音のなく勝手に開いていく。

松明の灯りに導かれるまま、私は、”長い廊下”を歩いていく。

『・・・・』

廊下に並ぶ柱を通り過ぎるたびに、私は何かに語り掛けられている感じがしている。そのたびに、私の中に、”何か”が入り込んでは出ていく感じがしていた。

廊下の終点にある扉が、また音もなく開いていく。まるで、私を招き入れるかのごとく。

私は、開いた扉を潜り、部屋の中へと足を踏み入れた。

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