表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界惑星テラフォーリア冒険記~異世界で龍神の神子になりました~  作者: ai-emu
【第3章】テラフォーリアでの年越し~新たな旅立ちと新しい仲間~
16/80

(4)炎帝の嘆き~現実は小説よりも残酷です~

「まず初めに、全員の戦闘力を確認しましょう。まずはケイトさんからですね。では始めましょうか。」

そんな光莉ちゃんの宣言から始まった、模擬?戦闘訓練。

|遥か彼方にある頂きの上(SSランク)にいる光莉ちゃんを、普通ならば、”ちゃん”付けで呼ぶ事はダメな事だろう。私のようなBランク冒険者などは特に。しかし、本人曰く、ギルドに顔を出せば、誰でも彼でも『光莉ちゃん』と呼んでくるそうだ。SSランクになった今でも。本人は、どう呼ばれていようと気にしてないみたいなので、私も出逢って10分ほどで『光莉ちゃん』と呼んでいた。

こんにちわ。冒険者パーティ『炎帝の鉾』のリーダーを務めているケイト=アラカイズです。

我が炎帝の鉾は、同郷であるランディー=ワイカスとアイリーン=キャンベラの3人で立ち上げた女性だけの冒険者パーティです。

私たちの地元ふるさとは、私たちの住んでいる大陸『パンゲニア大陸』の最高峰エンダレス山の麓にある『ターニャ村』という寒村です。私は6人兄妹の末っ子で、ランディーは、5人兄妹の真ん中、アイリーンは、村長の娘で末っ子だ。私たち3人は14歳(今から6年前)の時に起きた大飢饉の折り、世間の例に漏れず、口減らしを自ら買って冒険者となり、其処から3人で今までやってきた。その時私たちのほか、10組ほどのパーティが作られていたが、今彼ら彼女らが何処で何をしているのかは知る由もない。風の噂では、その一部が盗賊まがいの事をしているらしいが。

3人で冒険に出てはや6年。冒険者のランクもBランクまで上がり、一応世間からは中堅冒険者として名をはせていたりする。しかし、今私たちは、大きな問題に立ち向かっている最中なのだ。文字の読み書きや最低限の武術は、村にいる時に、村長や駐屯している騎士たちに教わっていた。しかし、村には、魔法を十全に扱える者がいなかったため、今の今まで魔法については取っ掛かりすらも掴めていない。自分が、どんな属性を持っているのかすら知らないのだ。そのため、今まで剣1本でやってきたと言っても過言ではない。

このままでは、上のランクに上がる事も出来ないのも事実。

大きなジレンマを抱えながら、いろいろとお世話になっているからシルさん率いる商隊の護衛をしている時、森の中から7人の少年たちが現れた。少年たちは、少し変わった服装をしている事から、時々現れる異世界人と言うやつかもしれない。そして彼らの後ろに現れたのは、20人ばかりの盗賊団だった。

「おっ!ちょうどいいところに、おいしいカモがネギを背負っているな~。…。」

「おねえさん!ごめんなさい。巻き込んでしまって。」

一番年少っぽい少年の1人が、巻き込んでしまった事を謝ってきた。

「別にそんな事はいい。それよりも、こいつらを何とかしないと。」

「あ~~!鬱陶しい。

風よ!全て切り裂け!

我等が前に立ちはだかる

愚かなる者たちに死の鉄槌を!

『風の女神の制裁』」

一番年少の少年が、何やら叫んだ後に起こった惨劇。わ立たちの周りを囲んでいた盗賊たちは、風で作られた縦横無尽に飛び交う刃で、ずたずたに切り裂かれていった。

あれは、私たちが夢にまで見た魔法と言うやつじゃないにか?とすれば、少年が口ずさんだ言葉は、詠唱と言うやつだろう。しかし、私が知っている詠唱の文脈とは違うのだが。

まあ、そんな事はいいか。それよりも。

「助かった。少年たちよ。」

「こちらこそ巻き込んでしまい、すみませんでした。

…それよりも、これ、どうしたらいいでしょうか?」

少年は、細ぎれになった盗賊たちを見渡してこういった。

「そうだな、あとでこいつらの討伐報奨金が欲しかったら、首だけあれば事足りるが。ここから次の町まで3日はあるからな。それが問題だ。」

「3日ですか。『空間収納ストレージ』」

これは驚いた。少年は空間魔法も使えるみたいだ。盗賊の首が一瞬のうちに消えてしまった。

「少しお願いがあります。ぼくたちを、町まで連れて行ってくれませんか?」

「…、町までとは言わず、私たちの仲間にならないか?魔法…、特に空間魔法の使い手は、私たちのような商売をしている者たちにとっては、喉から手が出るほど欲しい人材だ。」

「そう言って頂けるなら、僕たちは喜んで協力いたします。」

「ところで聞くが、どうやって魔法が使えるようになったのだ?私たちは、どういう訳か使うことが出来ないのだ。」

「魔法ですか?大抵どこの世界にある魔法も同じだとは思いますが、『イメージ』を膨らませて、『燃料』を注ぎながら、目標に向けて『ぶっ飛ばす』。ただそれだけの事でしょ。」

「でも先程、浩太殿は、詠唱していたではないか。その説明だと、『詠唱は必要ない』と言っているだろう?」

「詠唱とは、只イメージを補完するために口に出しているだけです。実際、無詠唱でも魔法は使うことが出来ます。」

そういって、浩太殿は、本当に無詠唱で魔法を使って見せた。

「で、先ほどケイトさんが言っていた『私たちは、魔法を使うことが出来ない』と言うくだりですが、僕の見解ですが、『イメージ』か、『燃料』、どちらか一方化、もしくは両方足りていないのだと思います。…」

浩太殿直伝、魔法講座を聴きながら旅をしていく。驚いたことに、全員が何らかの魔法を使え、さらに3人が空間魔法の使い手だった。其処から先の旅路は、ずいぶん楽なものになった。なんせ、重たかった荷物は、全て彼らが運んでくれたからだ。空間魔法が使える3人にとっても、私たちとの旅は、有意義なモノだったらしい。まだ瞬間移動テレポートは使うことが出来ないと言っていたが、コロラド王国中をほぼすべて廻ったのだ。瞬間移動テレポートが使えるようになった時には、大きなアドバンテージになっている事だろう。

カランに到着した時、彼らの内3人は、私たち『炎帝の鉾』のメンバーに、1人は、カラリスさんに、あとの3人は、ここにいるはずの旧友を探すと言っていた。何故ならば、門での入門検査の時に、元旧友らしき者たちの顔を見たらしい。

そして、今に至っているわけだが…。

こちら側10人は実剣を手に構えているが、相手側の3人は木剣を手に構えている。

「光莉ちゃん、本当に木剣そんなものでいいのかね?こちらは実剣なんだが。」

「構いませんよ。木剣こんなものでも、多分実剣そちらよりも100倍丈夫だと思います。

それならばと撃ち合ってみた結果、本当に木剣で鉄の剣をへし折ってしまった。

「全員の戦闘能力は大体理解しました。時間はたっぷりとあるので、訓練していきましょう。」

それから、地獄のような訓練が始まった。

「ケイトさんたち3人の弱点ですが、今まで武器に頼っていた処だと思います。『魔法が使えない』と言う話なので、そこのところは仕方がなかったと思いますが。」

と、光莉ちゃんが指摘してくれた。本当の事だったので、反論する事が出きない。

「では、これから、魔法のお勉強もしていきましょう。」

私たち3人は、『魔力がない』もしくは『魔力が少ない』のではないそうだ。光莉ちゃんの感覚では、テラフォーリアで生活しているモノは、『魔力がない』なんてことは『ありえない事』なのだそうだ。光莉ちゃんを含めて、『こちらに来てから魔法が使えるようになった』のだと。それまでは、『魔法』とは、物語の中だけの存在だったらしい。

魔法とは、とにかく『イメージ』する事が全てらしい。

魔法を使用して、どういう事をしたいのか。またはどんな事象を起こしたいのか。その事柄を起こすには、どれくらいの力が必要なのか。どれだけの代償を払う必要があるのか。などなど。浩太殿も言っていたが、『詠唱』なんてものは、術者が頭の中で膨らませたイメージを補完するためだけに口にするモノなのだ。

私たち3人は、そのイメージの部分が疎かになっていたのだ。ここの魔法の詠唱文は知っている。これは調べれば誰にでもわかる事なのだ。ただ詠唱文を『口にだしている』だけでは魔法は発動しないらしい。私たち3人は、この段階だったのだ。たしかに、思い返してみれば、詠唱文に秘められた意味なんか考えてもいなかった。

いろいろと教えて貰いながら、私たち3人も魔法が使えるようになった。

私たち『炎帝の鉾』のメンバーが行っていたのは、個人としての訓練のほか、『パーティ』としての戦い方の訓練だった。

これからは6人で行動していく。

個人としての戦闘力は、高ければ高いほどいい。これは当たり前の事だ。

では、パーティ戦では?人それぞれ得意分野と言うモノがある。パーティ戦において、個人個人の得意分野をそれぞれが担当し、他の部分はパーティ全体で補完しあうものだ。

それを私たち6人に当てはめた時、使用する武器などから考えてこんな感じに決まった。

【前衛】

盾役タンク…園田孝則

使用武器…オリハルコン製ロングソード+ミスリル製大盾

魔法属性…闇・風・水・地・無・重力

攻撃アタッカー①…ケイト=アラカイズ

使用武器…オリハルコン製ロングソード

魔法属性…風・水・無・精霊

攻撃アタッカー②…アイリーン=キャンベラ

使用武器…オリハルコン製ショートソード

魔法属性…風・水・火・地・無

【中衛】

遊撃・探査シーフ…ランディー=ワイカス

使用武器…ミスリル製ボーガン+魔鉄製鏃

魔法属性…火・地・無

遊撃・魔法職・探査シーフ…龍泉博嗣

使用武器…オリハルコン製日本刀+ミスリル製小太刀

魔法属性…光・闇・風・水・火・地・無・重力・精霊

【後衛】

魔法職・探査シーフ…渡辺稔

使用武器…オリハルコン製錫杖(ロングソードに変形可能)

魔法属性…光・闇・風・水・火・地・無・空間・重力・精霊

あとは、それぞれの役割に似合った魔法の習得が、それぞれに課された絶対課題となったのだ。

こうして迎えた卒業試験じゅうりんでは、見事光莉ちゃんに出された課題をクリアできたのだった。この結果、降魔の森に生息しているドラゴン5種を狩り取ったせいで、私たち『炎帝の鉾』のメンバーは、見事全員がSSランクに昇格してしまった。




…あ~~~、なんでこうなったんだろう?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ