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異世界惑星テラフォーリア冒険記~異世界で龍神の神子になりました~  作者: ai-emu
【第3章】テラフォーリアでの年越し~新たな旅立ちと新しい仲間~
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(2)誕生日パーティーと新たなる仲間

準備期間半日。その日、屋敷に台所は、何者かによって閉鎖されていた。何者かと言うよりは、私なんですけどね。

そして、夜の帳が降りた頃。それは突然に始まった。

「26歳の誕生日、おめでとうございます。智美さん!」

「ありがとう~~!光莉ちゃん!」

突然始まったお誕生日会。食卓に並ぶ料理も、パーティー仕様だ。

こんばんわ。今宮光莉です。

今日は、智美さんの26回目の誕生日!午後から厨房を閉鎖して、一生懸命料理を作りました。この事を知っているのは、私と、猛、聡久と仁美、…あと当事者である智美さんの5人だけです。あとのメンバーには、サプライズイベントとして企画してみました。

「なあ、光莉。」

「何?毅。」

「これは何のイベントだ?」

「ん?さっき言ったじゃない?「智美さん、26回目のお誕生日、おめでとう』って。聞いてなかったの?」

「いや、それは聞いたが…。そもそも何で光莉が、智美さんの誕生日を知っているんだ?」

「そんなこと簡単じゃない。智美さんから聞いたからよ。」

「…そうか。では聞くが、確か、地球むこうテラフォーリアこっちでは、暦が結構違うはずなんだが、その部分はどうやって調整したんだ?」

みんなが聞きたくても聴けなかった大事場部分を、毅は光莉に問いただした。

「まあ、単純に、日づけだけをそのまま使っただけだよ。只でさえ5日、テラフォーリアの方が長いんだよ。毎年毎年、その分だけ誕生日がずれていくのは、いろいろと問題があるからね。ちなみに次の誕生日は、仁美さんで、2月3日だね。たしか、1回すっ飛ばしているから17歳?でいいのかな。」

「ん~~。そうなるのかな?17歳でも18歳でもどっちだっていいけど、若い方の17歳という事で行こうかな。」

じゃあ、仁美さんは、次の誕生日で17歳になるという事で決定~~!

話は戻って、智美さんの誕生日を、今日は全力で祝おう!

まずは恒例の”アレ”からやってみようかな。」

サクサクと事を進めていく私と仁美。目の前に出されたのは、直径30センチほどのホールケーキが3つだ。蝋燭が26本立てられた真っ白な苺ショートと、黒いチョコレートケーキ、クレープ生地を何層も重ねたミルクレープだ。

「さあ、智美さん。やっちゃってください。」

私の意志に反応して、いきなり消える証明。26本の蝋燭の灯りが点るなか、例の誕生日ソングを皆で合唱したあと、蝋燭の灯りを恥ずかしながらも吹き消す智美さん。その後は、ワイワイと料理をつつきながら談笑をする面々。

ちなみにこの世界には、『お酒は20歳になってから』と言う標語は存在しない。つまり、飲むのも飲まないのも自己責任なのだ。こちらに来てから9カ月。いろいろな地球での習慣が薄れ、こちらの習慣に溶け込んできているのがにじみ出ているのがこの飲酒の習慣だろう。普段はあまり飲まないが、こういう席で出される酒は大丈夫な私をはじめとした面々。普通は停めるべき立場のお爺ちゃんですらも、こちらの習慣に毒されてきたのか結構寛容なのだ。

「ところで光莉ちゃん。」

「何ですか?智美さん。」

「チョコレートがあるという事は、カカオがあるってことでいいのかな?」

「実際は、カカオもどきですがね。樹木系の魔物の中で、カカオによく似た実がなる奴がいるんですよ。たしか、『カカオマス』というCランクの魔物だったと思います。その実を錬成したモノを20時間ほどに詰めて乾燥させたものがチョコレートになります。地球での作り方とは全く違いますが、紛れもなくチョコレートでしょ?」

「て、ことはだよ。同じような理屈で、地球にはあるけどこちらにはないモノが、と言うか、食べ物が植物系の魔物の実田か茎が材料にできるんだね。」

「そういう事になりますね。今のところ私が見つけたのは、チョコレートの材料になる『カカオマス』だけですけどね。まあ、探せばたくさんいるでしょう。そっち方面でも、森を散策する楽しみが増えました。」こうして、智美さんの誕生日会の夜は、くれていった。誕生日会の終了後、元担任と副担任の結婚と、猛たちの話をしたら皆に驚かれた。仲間たちの新たな門出は、皆には急な話だったが、

「この3人は、ソクラテスの中でも、『武闘派で脳筋』だったからね。それが『現実』になったなら冒険してみたいよね。」

と言う一言で、受け入れっれていた。


急遽決まった智美さんの誕生日会から10日ほど経った12月24日、地球だったらクリスマスイブなのだが、当然テラフォーリアにはキリスト教はないので、この日が何の日に当たるのかは誰も知らない。


閑話休題そんなことはどうでもいい


今日、我屋敷の扉を新たに叩いた人物たちが、今、私の目の前に座っている。

「お久しぶり?でいいのかな。今宮さん。窪内浩太です。覚えていましたか?」

「…お久しぶりですね。窪内浩太さん、森園博史さん、神野池雅之さん。バスに残っていたはずのあなたたちが、何故ここにいるのかは大体想像できますが、どうして、私たちがここにいるのかが解ったんですか?」

「結構間が空きましたね。」

苦笑しながらそんなことを言う窪内君。

「ごめんなさい。あの時バスに残してきた人たちの事は、忘れる事にしていたからです。私たちと袂を別った時点で、既に赤の他人になりましたので。私たちが発った後、あのバスに残った者が、どういう結末を迎えようと、今の私のは関係ありません。」

「光莉ちゃんは”そう言う人種の人間”だったね。仲間には優しいが、それ以外はどんな事になっていようと、例え目の前で襲われていようとも『我関せず』だったね。地球にいた頃から。…今はもっとひどくなっているのか?」

「…そうですね。ここテラフォーリアに於いては、自身に降りかかる事象は、自身で解決するのが基本です。まして今の私は冒険者を職業の1つにしています。何か依頼でも受けて、その過程で助け出したりするならともかく、ただ働きなどもってのほかですね。

ちなみにあなた方は、今どんな仕事をしているのですか?」

「俺たちか?俺たちはな…」

リーダ格の窪内君がバスを降りてから、光莉の元に辿り着くまでに経緯を詳しく語りだす。どうも元鷺宮学園うちらのなかでは、最年少がリーダーをする事が多いみたいだ。13歳の私は、元生徒会会長であり、今は、ここの家主であり、私と共にバスを降りた18人で結成した『パーティ鷺宮』のリーダーでもある。窪内君も、14歳なのにこの3人のリーダーみたいな存在らしい。あとの2人は18歳だ。飛び級して高校生をやっていたのだから、それだけ頭もよく、柔軟な考え方をして、周りを纏めるだけの力があるのだろう。


閑話休題それはともかく


窪内君が話してくれた内容は、次の通りだった。

まず、私たち18人が、バスを離れていった後、私たちの事をぼろくそに避難している女子集団がいたそうだ。そんな空気に耐え切れず、大怪我で動けないもの以外の男性陣が、すべてバスを降りてしまった。

その後、男性陣は、碌な武器も持たないまま森の中を彷徨い始める。途中で、何かに襲われたのだろうか、既に事切れた状態でいた冒険者パーティを発見し、その人たちから武器や傷薬などの使えるのもを失敬して、臨時のパーティを結成した。その時の人数は10人。

其処からが大変だった。

森の中を走る街道が見つかるまで、約5日間かかる。その間に、夜行性の獣だか何だかに襲われて、3人が亡くなり、残り7人となる。

窪内君たちは、パーティを組む時に1つの約束をしたそうだ。それは、「この中の誰かが襲われている時は、助け出さなくていい。とにかくその場から1歩でも遠くに離れる事。襲われる者は、その事で恨むな。逃げるモノは、とにかく自分の命だけを考えて逃げ切れ。」だそうだ。

街道を3日ほど歩いた先で、盗賊に襲われていた商隊を発見し、護衛していた冒険者?とともに、盗賊を殲滅。そのまま商隊に引っ付いていって、コロラド王国中を旅してまわっていた。

盗賊と闘えたのは、森を彷徨っている間に、何故か知らないが、魔法?みたいなことが出来るようになっていたんだな。俺たち7人のうち、浩太と、哲平、稔の3人が何故か空間属性を持っていてな。空間収納ストレージと言う魔法が使えたから、商隊や冒険者たちに重宝がられてな。それから先は、商隊の荷物や何等かは、全て俺たちが持つ事になり、その分の料金も貰っていた。

カランに着いた俺たちは、商隊の人にお礼を言ってから、残りの4人は、商隊に雇われたり、一緒に戦った冒険者についていって、何かの依頼を受けてカランにはもういない。

カランに着いたのが、昨日の昼頃、夕方に中央市場で買い食いしていたら、買い出しに来ていた光莉を発見。あとをつけてねぐらを見つけた後、今日の襲撃に至ると。

「それで、あなたたちは、どうしてここに来たのですか?まさか、『久しぶりに顔が見たかっただけ』とは言いませんよね?」

「お前たちの仲間にしてほしい。俺たち3人は、商隊とともに、この国の中を隈なくとはいかないまでも、大きな町ならばすべて回ってきたつもりだ。この知識は何かと役に立つと思う。」

「わかりました。今日今より、あなた方3人は、私たちの仲間です。今から私は、あなたたちを、浩太、博史、雅之と下の名前で呼び捨てで呼びます。私の事はどうとでも好きに呼んでください。ただし、下の名前で!ちなみに、元校長の鳥尾先生は、親しみを込めて『お爺ちゃん』とか、『じっちゃん』とか呼んであげてくださいね。あともメンバーも、下の名前で呼ぶ事。これが最低限のルールです。」

「分かった、今…、いや、光莉ちゃん。」

「それでいいんですよ。では、他のメンバーにも紹介しましょう。ちなみに、元担任タカユキ副担任マユミは、来月結婚しますので。」

最後に少し小さめの爆弾を落とす私。その反応はと言うと、

「あの2人が結婚か。やっとか。」

だった。

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