表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
(旧) 逃亡奴隷少女、拾いました……  作者: しゅんかしゅうとう
第1章:ウルスドの森
8/55

第8話:ボクとキスするのはイヤですか?

(カノン様、私は他人の魔宝石を使ったことがありません。石にどのような影響が出るか分かりません、よろしいですか?)


・・構いません。その石は予備品です。仮に壊れても問題ありません・・


(分かりました・・・では・・・やります)


コスモスは覚悟を決めたようだ。

リングを握りこんだコスモスの左腕が、体の斜め上に差し出される。

コスモスの詠唱がはじまる。


「xxxxxx」


相変わらず音の意味は分からないけど体が触れ合っているので意味は通じる。

(古の火の精霊に願い奉る)

あ、コスモスの左腕に火属性の赤い魔宝陣が展開した。

魔宝陣文字は、ボク等のと少し違うが同一系統の物に見えた。


コスモスの詠唱は続く


「xxxxx」

(我に小さき燈し火を与えよ)


魔宝陣のすぐ上に、やさしく光る小さなボールが出現した。

ボールはふわふわと空間に浮かび、柔らかい光で輝き続けている。

コスモスがフッと息を吹きかけると、光るボールはかき消されて消えた。


これで二つのことが分かった

・コスモスは魔宝使いであること

・この世界には魔宝があること


解決しない疑問は2点ある

・白人が白人を奴隷にする国を、近代以降の地球でボクは知らない。

 ここは異世界か過去世界なのではないか?

・ボクが属性魔宝を使えない理由が判明していない。

 うーん。魔宝実験失敗で属性魔宝失っちゃったのかなぁ??


(カノン様は本当に精霊魔宝を使えなくなってしまったのですか?)


ぴったり密着して座っていたから思考がダダモレだったようだ。


・・はい、ここに来る前は使えました。この国に来て使えなくなりました。コスモスは魔宝を使えるので、そのルビーは差し上げます・・


コスモスが、初めて強い拒絶を見せる。


(いけませんカレン様、私は奴隷法上も精霊契約上も旦那様の所有物です。私が頂いた物は全て、旦那様様の所有物となってしまします)


・・そうですか・・・わかりました・・


二人並んで腰を下ろしお互いの腰に手をまわしていたが、ボクはコスモスの腰にまわしていた左腕を解いてコスモスの左肩にまわし、強く抱き寄せた。

コスモスも、少しでも体を密着させようと腰に回した手に力を込め、頭をボクの肩に乗せ、ほほを擦り寄せてた。


これだけ密着すれば、ボクの考えは正確にコスモスに伝わったはずだ。

コスモスが黙って左の手のひらを開く。

手のひらのルビーをボクが摘み上げる。

コスモスが手の甲を上にして、指先をボクに向ける。

ボクはコスモスの左手中指に、ルビーのリングをそっとさし込む。


・・ルビーの一番効果ある場所は、右手の中指です・・


(分かりましたカノン様、後で直しておきますが、今はこのままでお許しください)


・・わかりました、そのリング、コスモスへお貸しいたします・・


(はい、ありがとう御座います)


・・ボクは魔宝が使えなくなってしまいました・・


(はい)


・・ボクの体が冷えたとき、コスモスの魔宝で暖めてください・・


(はい、カノン様)


・・コスモスが今着ているベストは『防岩のベスト』といいます。傷の治癒効果が有り、更に剣の攻撃や魔宝、毒の攻撃も防ぎます。傷はこれ以上広がる事も炎症を起こす事も無く、時間はかかりますが完治するでしょう・・


(ありがとうございます、カノン様)


・・『防岩のベスト』は解魔効果は無いので焼印を消すことは出来ません・・


「でも」、とココで1回区切る。

・・耐魔効果はあるので、『戒め』は封印できるでしょう。もちろん契約者が刻印の場所を感知する事も防ぐと思います・・


何度目になるだろう、コスモスの目が驚きに見開かれた。


(そんな事が出来るのですか?)


・・はい、そのはずです。念のため『戒め』を封印できたか実験しましょう・・


(実験?どのような?)


・・『奴属の刻印』は所有者の許しなくコスモスが口付けする事を許しますか?・・


(いえ。許しません)


・・もしコスモスとボクがキス出来たなら、戒めを封印した証拠になりませんか?・・


と!コスモスの体が緊張で硬くなった!

ボクを見る目の中に、少し、おびえがあるかもしれない。

ボクはなるべく優しくコスモスに問いかける。


・・ボクとキスするのはイヤですか?・・


(とんでも御座いません。私ごときがカノン様と、精髪姫様と口付けなど、あまりに畏れ多く身の凍る思いです、本当によろしいのですか?)


・・前にも言いましたがボクはカノンです、精髪姫ではありません。唇がカサカサで本当に申し訳ないのですが、コスモスにキスさせて下さい・・


・・そして、無事にキスができたならば、二人で水場を探しませんか?ノドがカラカラなのです・・


 ===


それからしばらくの後、ボク等は二人で水場を求め歩き出すことになる。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

---------------------------------------------------
小説家になろう 勝手にランキング(投票)

よろしければ何か一言(登録不要)とか、投票とか、お気に入り登録とか、
評価とか、書いた物に対して「誰かが読んだ反応」を頂けると尻尾を振って喜びます。
「読んでくれている人が居る」と実感できる事が、本当に励みになります。


セイネの話はこちら
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ