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昔話~揺らぐ真実~

幼い頃じいちゃんに連れられて近所の公園に初めて行った。

ブランコや滑り台、シーソー。砂場にベンチ。といったものがあるだけのごくごく普通の公園だ。

しかし。そんな普通の公園でも当時の俺にはさながら遊園地に来たような心持ちを抱いていた。

初めて滑った滑り台はジェットコースターと同じくらいのスピードを体感した。

そして初めての友人もそこで出来た。


どのようなきっかけで遊んだのかは忘れたがその日は時間も忘れて日が暮れるまで遊び呆けた。

その日。その友人に別れを告げると自分も俺と同じ道だと言った。

だから俺達はじいちゃんを真ん中にして二人手を繋ぎながら帰路を歩いた。


そしてその日、初めて出来た友人が俺の家の隣の住人だと初めて知った。

最後に名前を尋ねるとその幼女は明るく元気な声で「沙窪」

と答えた。


それが俺と沙窪が初めて出逢った瞬間だった。


***********


「あっ、会えない。ってどう言うことだよ。」


場所は学校の中庭。俺と一人の少女。沙窪は二人向かい合っていた。


「そのまんまの意味だよ。もう会えない。会うことは出来ない。」


涙を拭いながらも懸命に沙窪は笑顔を顔に刻もうとしていた。


「だから。それが意味わかんねぇーってんだよ!!」

俺の声が無人の学校に大きく響く。


「説明も無しに会えないなんて決めんなよ。引っ越しとかならいくらでも会うことは可能だろ?海外だろうと俺はお前に会いに行くよ。」

会えない。という言葉に俺は勝手に引っ越し。とか留学。とかを連想していた。


だが、違った。

思えば沙窪がそんな急な話を今の今まで黙っている筈はなかったのだ。


そんな事なら。


「遅いよ。私は帰りにそう言って欲しかったんだよ。」


「うっ。」


帰りの事を思い出し少し言葉に詰まる。


「そんな事よりも説明しろ。どうしたらお前がそんな阿呆な事を言い出したのか。何でこんな時間にお前が学校にいるのか。を。」


もっと知りたいことは沢山あったが取り敢えずはそれ等を聞かなければならない。


「そうだね。」


沙窪は涙を拭い、表情を和らげる。


「流はどこまで知ってるの?」


「どこって?何も…」


そういえば俺はどうしてここに来たんだっけか?


「そぉ。じゃぁ、少し私の思い出話に付き合ってくれる?」


「あっ?うん。まぁ。」


「ありがとう。じゃぁ、行こうか?」


そう言って沙窪は俺に近付く。


「行くってどこに?」


「歩きたいの。この学校を。この町を。」


俺は何も言えなかった。ただ一つ。沙窪にはそんな表情をして貰いたくはなかった。だからか俺は無言で沙窪の後ろに着いていった。


********


「私ね。幼い頃は過度な人見知りだったの。誰に会うにも母親の後ろ。だから幼稚園に入園しても友達という友達は出来なかった。」


幼稚園?何言ってんだ?こいつ?

俺は思ったが沙窪の話の邪魔はしなかった。


「そんなある日。私に一人。友人が出来た。私がその子から逃げても逃げてもその子は私を追ってきた。それが明日も明後日も続いた頃。私はその子と一緒に遊ぶようになっていた。 その子と共に過ごしていると性格が変わった。人見知りはなくなりどんな人とも話せるようになった。私は変わっていた。

初めて人を好きになったのもその人だった。

でも、そんな楽しい日々は長くは続かなかった。

忘れもしないあの日。その人は死んだ。私を庇って。一台の大型車の餌食となったの。 」


そこで沙窪は俺の方を振り向いた。足は学校の校門へと向かっている。


「ねぇ、流?パラレルワールドって信じる?」


「ハッ?」


実に間抜けな声が漏れた。


「あぁ。パラレルワールドね?あぁ。」


沙窪の瞳に見詰められて突っ込むのも忘れて質問に答えてしまう。


「昔は信じてたけど。今はな…。」


そんな俺の解答に沙窪は短く「フーン。」と呟いた。


「ってか昔話はもう良いだろ!!結局お前は何処に行くんだよ?」


沙窪の目が逸れると同時に俺の思考は回復した。

そんな俺の苛立ち混じりの声を聞いた沙窪は何かを考えるようにゆっくりと瞼を閉じ、足を止めた。

俺の足も自然と沙窪にならう。


「おまっ…」


俺が声を発そうと口を開きかけた時、沙窪の馴染みある声が俺の声と合わさった。


「その死んだ人。…流って言うの。」


その声は感情を押し殺した乾いた声に俺には聞こえた。

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