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昔話~破局~

ある日の学校の帰り。俺達二人は真っ赤な夕日に照らされ歩いていた。

家が近所のため俺と沙窪は自然といつも一緒に帰っていた。


「ねぇ?流?」


いつもならきびきびと何の迷いもない声音の沙窪がこの日だけは控えめにどこか迷いがある声音で言った。


「何だ?」


そんな沙窪を不審には思ったが俺は何気ない素振りで聞いた。


「あのね。わ、私ね。」


何故か勿体ぶる沙窪。


「んだよ?らしくねぇな。」


「うん。そうだね。ちゃんと言うね。」


この時、沙窪が右拳を固く握り絞めていた事に俺は気付かなかった。

気付いていたらもしかしたら……………。


いや。無理だ。あれはどうしようもなかった。


「わたし。私ね。」


沙窪はこの時、何故か俺と目を合わせてはくれなかった。


「告白されちゃった。」


「なっ!?」


予想外の言葉に俺は驚きの表情を隠せない。

しかし。直ぐに平静に戻る。


「そっ。そうか。誰にだ?」


自分でも無理をしてるなってことは分かっていた。


「三組の飯田(いいだ)君。」


未だに目を合わせてくれない沙窪。


「あぁ。あのモテル奴な。 良かったじゃねぇか。」


実際。沙窪へ好意を持っている男子生徒は何人かいた。クラスに三人は沙窪にそんな感情を抱いている奴がいるとかいないとか。


沙窪は性格上。明るく爽やか。そして優しい。(俺に対しては少し意地悪だが。)

更に容姿もまぁ可愛い。狐色の髪を巻いた髪型に、目はパッチリしている。肌も綺麗で色々と化粧したらもっと可愛くなる筈。

そんな彼女だからまぁ。告白されるのは当たり前と言えば当たり前。

しかし。今日の今日まで彼女が告白は愚か彼女にそういった男子が近付くこともなかったのには理由があった。


俺。


別段 望んでもいないが俺はいつも沙窪と一緒にいた。だからか俺と沙窪は恋人関係だ。と一般の奴等にはそう見られていた。本当はそんな関係でもないのにだ。

だが。今日、遂に沙窪は告られた。


俺は何とも言えない気持ちであった。

表現がしにくい。沙窪は好きだが。

そう言う好きじゃない。俺はいつも自分にそう言い聞かせていた。


「で?お前はなんて言ったんだ?」


「少し時間を下さいって。」


沙窪は全然嬉しそうではなかった。


「ふーん。」


「ふーん。って。それだけ?」


始めて沙窪が目を此方に向けてきた。 しかし。その目はどこか寂しそうだ。


「何だよ?俺はそういうのされたことないから分かんないよ。」


「ちがっ。違う。私が言ってほしいのはそんな事じゃない。」


分かっていた。沙窪の気持ちは。多分。

だが。それを今、俺がここで口にするのは駄目なんだ。こんな時に。こんな場所で。


「だって。俺達別に幼馴染みっだけでそれだけじゃん。」


酷く冷徹なその言葉は自分でも言いたくはなかった。だが。 言った。言ってしまった。沙窪を黙らせるにはこの言葉しか思いつかなかったのだ。


「そっ。そうだよね。ごめんね。感情的になって。」


沙窪はまた目を反らし、何かを抑えるような声音でで言った。


それから俺達二人は帰路を一言も話さずに歩いた。


********


「りゅーう。ごはんよー。」


そんな母親の元気な声が階下から聞こえる。


「・・・・・。」


俺は夕刻の事で気に病んでいた。



食欲なんか……………。


ベットの上で顔を押し付けるように寝ている俺は母親の言葉に無言を返すばかりだった。

そんな時。机に置いた携帯電話がバイブで振動した。


ブー。ブー。ブー。ブー。ブー。ブー。


長い。


電話か?誰だよ?


仕方ないから俺はベットからゆっくり立ち上がり携帯を手に取った。


「んだよ?まったく。」


俺は液晶画面に一瞥し呟いた。


そこには俺が今。一番会いたくない奴の名前が刻まれていたからだ。


“下川沙窪。”


俺は携帯をそのはまま机に置き布団にまた顔を押し付けた。


ブー。ブー。ブー。ブー。ブー。ブー……………。


程なくして留守電サービスにでも繋がったのか音は止んだ。


「好きだよ。沙窪。」


俺は相変わらずの格好で小さく呟き涙を流した。



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