第一フィールド
第二章 本格スタートです。
って言いますがまだこの章の尾ぐらいになるんですが……………。
ですが設定は考えているつもりなので読んでやって下さい。
お願いします。
「今だ!射て健生!!」
颯爽と広がる草原の中。一人の男性の声が響き渡る。
「わ、分かってるよ。」
そう言いながらも僕は慌てて弓矢の矢を射た。
シュバッ。
という音が鳴ると矢は敵目掛けて向かっていく。
数キロの距離を飛んでいた矢は見事に的中。
「ギュルワー。」
悲痛の叫びを高らかと上げ、ニードルピアー(針を持った芋虫型モンスター)は硝子の破片と化し四散した。
「うしっ!ナイス健生!」
そう嬉々とした声を上げたのは勿論。
我がリーダーでありこの世界での『主人公』天野流さんだ。
「へっへっ。」
苦笑いを口に刻みながら僕は流の方を向く。
「うっし。この粋でどんどんレベル上げてこうぜ。次、黒谷な。」
そう言って流は次の敵に向かって走り出した。
*********
つい先刻。会議?で話し合って決まったことは単純かつ明確なこと。各々のLv上げだった。
この「アニマ」の最大値はLv50。
それまで(現実世界でプレイしてた時)の僕のレベルはLv20であった。
しかし。というのか矢張というのか。
この世界に呼ばれてその地道に上げてきたレベルは
Lv1の初期段階に戻っていた。
それなら役職も初期段階にして、一から選ばせろっ。と内心で僕は吠えたものだ。
勿論。それは僕以外のプレイヤーも同じことであり皆が平等にLv1のヘッポコ戦士。
因みに最終フィールドに出現するボスモンスターを倒すにはLv50の最大値に上げておかなければ絶対に倒せない。
故に。今こうして「アニマ」生活一日目にして僕達最強パーティー(しつこいようだけど推測だよ。)は必死に第一フィールドでレベル上げをしているのであった。
それも皆が平等に上げる為に最後にとどめを刺すと与えられるボーナス経験値も三回交代と決めて。
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「うーし。皆そろそろ国に帰って飯にしようぜ。」
皆のレベルが平均5になった頃合いに流は自前の剣を鞘に収めながら言った。
「了解。」
と黒谷。
「そうだな。もう昼だしな。」
と明さん。
「ハァ〜。疲れた〜。」
と美麗。
そして僕ともう一人のメンバー。川野飛那 さんは無言で首を縦に振った。
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「ハァ〜。なかなかの味だったな〜。」
満足そうにそう言ったのは皆さんのお察しの通り流だ。
場所は小ぢんまりとした飯屋。先程入手したばかりのお金の4分の1をこの飯屋に寄付した。
木苺のジュースを5つ。
第2フィールドにある泉で採れるという魚をスライスした刺身を6つ。
更に驚く事にこの世界にはご飯があった。
そのご飯を6つ。
後は明さんが頼んだ麦のビール1つ。
昼に酒を飲むなよと美麗と流は止めたが結局明さんは押し切っていた。
以上をオーダーし今やそれ等の載っていた皿は綺麗に片付けられていた。
ちゃんとした味もついており、ストーラが言ったゲームと異世界の世界と言うのを納得した瞬間でもあった。
ちゃんとした世界が出来ていると。
「じゃぁかし。ガンナーがおらんのは深手じゃねぇのか?」
お酒が入った明さんは顔を真っ赤に染め上げて言った。
「うっ!?ゲッホッ。ゲッホ。」
僕は飲みかけていたジュースを喉につまらせ咳き込んだ。
「ちょっと、どうしたの?健生?」
隣にいた美麗が心配そうに僕を眺める。
そんな僕の行動から察しがついたのであろう。
「あぁ。別にボウズが不足とかそういうわけではないぞ。本当。」
「そうだ。健生は立派なアーチャーとしての責務をまっとうしてる。」
うっ。
アーチャーとしての責務。という流の何とも言えない言葉に僕のメンタルはチクチクと痛め付けられていた。
「しかし。確かに遠距離系はもう一人と欲しいよな。」
流はそう言い木苺のジュースが入っていたカップをグビッ。と傾けた。
「まぁ、しかし仕方ない。俺達は6人でパーティーだ。さっ、飯も食ったしフィールド行こうぜ。」
満面の笑みを顔に刻み、流は席を立とうと腰を浮かした。
「おい。もう少し休ませろ。」
これまで黙っていた黒谷が声を発す。
「あぁ。悪い。そうだな明さんも酒切れてないしな。」
流は浮かした腰を席に戻す。
「そう言えば飛那は何でライトニングバード(光の鳥)にしたんだ?」
席に着いた直後、流は目の前の飛那に話し掛けた。
ここで流がビースターの話をしたのでビースターについて話しておこうか。この僕が。
今や流の流れで物語りが進められている。
いかん。いかん。この「アニマ」の中では『主人公』らしいが僕はこの本編の『主人公』なんだぞ。
一応。
で、ビースターについてだ。
【ビースター(獣使い )】は始めに三体の「バディ」と呼ばれる獣を選択する。
・ブラックキャット(黒猫)
・ライトニングバード(光の鳥)
・アースマウス(緑のリス)
以上の三体を選択。三体はこの「アニマ」の三国にそれぞれ合わされていた。
「ブラックキャット」は深緑の国に。
「ライトニングバード」は闇の国に。
「アースマウス」は光の国に。
の弱点になるとされていた。
ここは深緑の国。選ぶなら普通はブラックキャットにするのが優先的だ。
しかし。飛那は何故かライトニングバードを選びバディにしていた。 だから流は疑問に思い飛那に問いたのだろう。
「別に意味なんかありませんよ。私はただ鳥が好きだから…。」
僕は川野飛那の声を初めて聞いた。
彼女の声はか細く。か弱く 。そして綺麗な声だった。人見知りなのであろう。問われた相手。流の方には目を向けずに俯きながらボソボソと彼女は声を発した。
「そうか。飛那は鳥が好きなのか。じゃぁ。第四フィールドはボスモンスターだけ倒す進行でいこうか?鳥モンスターがうじゃうじゃいるらしいから。」
流がそう言うと飛那はうつ伏せていた 顔をガバッ。と上に上げ「本当ですか?」と流の目を見て問た。
「あぁ。本当。」
流は悪戯ッ子のようにニッコリと笑う。
『主人公』と『ヒロイン』が初めて目が合わさった瞬間であった。
そんな光景を僕はつまらない表情で眺めていた。




