悪夢の朝
ひょんなことから来てしまったゲームの世界。
数多のゲームオタクなら泣いて喜んだりもするのだろう。きっと。
しかし。僕こと鈴木健生を始めとするプレイヤーはそんな楽観的な感想を吐いてはいられなかった。
なんせ。命と人生がかかっているのだから。
そんな全てを懸けたゲームが開始された一日目の朝。
ドンッ。ドンッ。
「健生起きてる?天野さんが作戦会議やるから来いっていってるよ。」
優しく。しかし大きな音を響かせる。
そんな絶妙な力加減でドアを叩く主は声と音で僕を起こそうとしていた。
「ン?ん〜にゃ。」
そんな寝言を口から漏らし、のっそりと起き上がる。が、
コックリ。コックリ。と首を上下に傾ける。このままでは二度寝の流れだ。
三度と首を傾けた後、紙一重に繋がっていた意識の綱が切れ始める。
スローモーションで横に倒れるその瞬間。
「ボウズー!!まだ寝とんのか!さっさっと目、覚ませー!!」
特大の目覚まし時計が内側から鳴り響いた。
「はっ。はいっ。」
切れかけていた意識の綱が瞬時にガシッ。と元に戻る。固結びされる。
「ちょ。ちょっと明さん。他のお客さんに迷惑ですよ。」
という慌てた声も後から聞こえてきた。
「あぁ。ゲームん中にいんだけっけか?」
木製で作られた簡易なベットの上から降り、僕は呟いた。
ゲームでも現実でもどうやら朝の苦手は治らないらしい。折角のゲームの中なのに良いことないな。
僕は思い、寝癖頭を気にしながら明さんと美麗が居るであろうドアの先に手を伸ばした。
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昨日。僕はパーティーを組んだ。それはいい。
問題はそのメンバーである。
少しお手数掛けるがこの物語りの題名を見てもらいたい。
見て頂いただろうか?
「モブキャラが主人公に成る為には?」
そうだよ。その題名ですよ。第二章突入した現在でも僕は『モブ』なんです(泣)。
なのに。現在の状況。現在の状態。
目の前にいる人達は‥…………。
「よお。アーチャー。おはよう。」
目的地に到着。
本来なら敵対する筈の天野流は清々しくも僕に声を掛けた。
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さて。今、僕達がいるここは3つの国の内の一つ
「深緑の国」である。
昨日。ストーラが消えた後。天野流を始めとするプレイヤー等は各々パーティーを組んだ。その組まれたパーティー数は全部で19。
しかし。その内の一つが六人パーティーになってしまう。
それが僕達のパーティーなのだが。
まぁ。今やどうでもいい。
区分されたパーティーは更に区分される。
19PTを3つの国に区分しなければならないのだ。
出来た数は一国7PT。二国・三国 6PT。
となった。
7PTのところは三国でも一に難攻といわれる「闇の国」に転送された。
残りの6PT は適当に「光の国」「深緑の国」と転送されたという訳だ。
そして僕達最強PT(自分の推測)は昨日の 混乱や疲労を無くす為にこの激安宿屋で一晩 休息していたという訳だ。
お金は初期金額として10,000ルド(この国のお金の単位)支給されていた。
因みにお金の単位は国によって違う。
よって他の国ではこの「ルドコイン」は使えない。
「光の国」はシャイン。
「闇の国」はユイド。
となる。
余談はさておき。
そんな宿屋のロビー。
中央に設けられている木製丸テーブルを囲み。
一日の始まりと共に。例の最強PTの第一回作戦会議が始まるのであった。