表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/47

招来

あれ?何が起きたんだ?何を僕はやっていたんだっけか?

あぁ。今、僕 気を失ってんだ。

こんなの前の章でもやったし。いらない件だろ?

全く。早く起きなければ読者の皆さんに失礼だ。


パチッ。


「ンッ。ン〜」


目を開けるとそこは見知らぬ光景。

ボヤける意識が段々はっきりしたものに変わる。

そこで思った。いや待て待て。


知っている。


人こそ多いが。ってか、何でこんなにいんだ?

いや。そんな事よりも何で?


何で僕.................


「アニマ」の中にいるんだ?


「はっはっはっはっ。」


今の現状に理解が追い付かない。取り敢えず笑っとけ。

いやまぁ。今いる所くらいは分かってるんだけどね。


「アニマ」の「セトルーゴ」


間違いなく僕はそこにいた。

恐らく。ここにいる者は全員僕と同じ気持ちの筈。

ガヤガヤと騒がしいのは今の現状を他人に確認しているのであろう。


全く。確かに最近この手の話 流行ってるけども。僕なんかがこの手の話の仲間入りなんか謙遜しちゃうじゃないか。(少し嬉しい)

第一。僕そんなにゲーム得意じゃないし。

あまりやりもしない。

全く何でこんな ことになっちゃったんだ。


意識が回復して少しの時間が経った。

大体の現状を把握した僕は調子に乗ってそんなことを考えていた。


そんな時。


ピカッ。と「セトルーゴ」の中央が光った。


「うぁ!?」


予期せぬ事態に皆の視界が奪われる。


明かりがなくなり、 ゆっくりと閉ざした瞼を上へと上げる。まだ残光はある。

そんな眼で視る。

自然と先刻光った場所。

「セトルーゴ」の中央に目がいった。

そこには矢張いた。この事態をおかしたであろう人物が。居た。


「皆さま。今宵は我がAnima Transizioneへの入界 誠にありがとうございます。」


茶色く染まっている髪を綺麗に三つ編みした女性。青色のリボン付きのドレスを着ている。背はそこまで高くはないが低くもないといった感じ。その容姿と格好はさながら西洋人形を思わせるものだった。

そんな美女はこの場にいる皆に透き通るくらいの美声で告げた。


(わたくし)はこの世界を管理しております。ストーラという者です。どうぞお見知りおき願います。」


美女はそういい頭を下げた。ドレスの端と端を摘まみ。


「さて。もうお気付きになられている方もいるとは思いますが念のため告げさせて頂きます。」


一即。


貴方方(あなたがた)はAnima Transizione。貴方方が先刻までプレイしていたゲームの中にいるのです。」


ストーラの宣告で皆は確信した。


あぁ。やっぱり。と。


したら。次にくるのは焦燥だ。


これからどうなるんだろうか?

帰れるのだろうか?


そう言った負の感情が皆の心を埋め尽くす。


ポツリ。ポツリと流れる皆の気持ち。

このセトルーゴはそう言った皆の気持ちの流出でざわついていた。 そんな中。一人の男性が声を上げた。

「おいっ。皆少し落ち着け!!」


貫禄のあるど太い声。皆の声はそんな声によってかピタリッ。と無くなった。


「皆に募る不安は分かるが少し落ち着け。まだ何も分からんのだ。今はいち早く本当の現状を把握することが得策じゃないのか?」


男性はそう皆に言うが否やストーラに向き直る。


「ってわけだ。まずはどうやってワシらをここに呼んだのか教えろや?」


「はい。分かりました。土居明(どいあきら)さん。」


ストーラがそう言うと、明と呼ばれるその男の眉がピクリッと動いた。


「な、何故ワシの名を?」


「それは後程お話します。今は貴方方をお呼びした方法についての説明をしましょう。」


この場にいる皆に緊張が走る。


「まず始めに。

この世界について話したいと思います。この世界。貴方方が思っているAnimaのネットゲームの世界ではありません。それに貴方方が思っている異世界という世界でもありません。いいえ。そう言った世界ではあります。すみません。分かりづらくて。

言うなれば半分はゲーム・もう半分はそう言った異世界の世界。それがこのAnimaの世界だと思って下さい。」


「結局はどういう意味だ?」


これは若い男性が質問した。


「そうですね。上村黒谷(うえむらこくや)さん。」


またしても名前を言い当てるストーラ。


「土居さんの質問とは少し話の傾向がずれてしまいますが?」


「あぁ。ワシャいいぞ。別に。」


ならば。というようにストーラは軽く頭を下げ話を続けた。


「この世界とは。

ある一人の人間に創造されました。男性の方でした。その者は生まれつき病 を持っていました。死の病です。医学的にもそれを直すことは不可能と言われました。その者は体は弱く生まれましたが頭脳に関しては人よりも二倍。三倍。優れ生まれました。

ある時、彼は思ったのです。もう自分は長くないと。そう思った彼はこの世界を創りました。たった一人で自分の余命を全て費やし。

彼の目的は実に単純なものでした。


自分がその世界に入って永遠の命を授かること。


それが彼の目的でした。しかし。それは失敗に終わります。

彼は世界を創ることには成功しました。

しかし。自分をこの世界に入れることは出来なかったのです。


人体を分子に分解。

それを可能にして初めて彼の計画は成功するのです。

彼の頭脳はそれを可能にしても世界の技術。

彼に残された時間が足りなかったのです。

結果。世界は残され、 彼は死にました。

しかし。彼が残したのは世界だけではありませんでした。私たちAI(人工知能)。総勢150人もAnima同様 残りました。

私達はこの世界で生きました。それは永く。永く。 そしてある時思ったのです。生きるとは何だ?と。 私達は死にません。データーですから。 そしてここからが本題です。土居さんの質問にもお応えします。

私達はこの世界を世界として創ったのです。 国を作りました。産業を作りました。文化を作りました。しかし。どれも違いました。私達は長く思案しましたが結局は答えは出ず仕舞い。そこで考えたのが貴方方です。

私達には時間がありました。この世界以外にも違う世界があることを知りました。貴方方は死の概念を知っている。生きる意味を知っている。だから貴方方を呼んだのです。この世界の産みの親の成し遂げなかった技術を実現させて。貴方方を分子に分解して。

呼んだのです。この世界に。」


ストーラの発言に誰一人ついてはいけなかった。

ある一人。この世界での『主人公』を除いては。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ