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モブキャラが主人公に成るためには?  作者: 醍麒
【第一章】初戦
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スターター・ダッシュ

『ジリジリ〜ジリジリ〜。』

けたましく目覚まし時計が音を鳴らす。


「ン〜ニャ。」

ベットの中の主は力強く目覚まし時計を止めた。

そして起き上がり、 寝癖頭をボリボリ掻きながら目覚まし時計を手に取る。時間を確認する為だ。


時刻は午前7時30分。


「ファ〜ァ。」


大きな欠伸を一つして目を擦る。


「さて、起きますかな。」


モフッ。

言いながら少年はベットに横たわった。

と、その瞬間。


『ピロロロロロロロロ〜。』


枕元で大音量の音が鳴り響く。


「ニャッぴっ!?」


素頓狂な声を上げ少年は飛び起きた。


「何だ?何だ?」


音の元がどこか分からず狭いようで狭くない自室をよくよく見渡す。

程なくして枕元の近くで携帯電話を見つけ出した。


ピッ。


アラームを止める。

このアラーム。自分が二度寝をするだろうと予測してわざわざ時刻を午前7時31分に設定したのだ。その事を。その携帯の存在すらも少年はすっかり忘れていた。

ゆえに、少年は本気で驚いたのだ。

まぁ、そのお陰で目は完全に覚めたのだから結果オーライなことは確かなのだが。


「あらっ?健ちゃん、おはよう。」


洗濯物が入った籠を抱える母親が声をかけてくる。


「んー。おはよっ。」


まだ、眠気がとれていない。目を擦りながら返事を返す。


洗面所で顔を洗い、眠気を完全に無いものとする。

リビングに行き、朝食を頂く。

リビングでは、父親が新聞を広げコーヒーを飲んでいた。


「おぉ。健生(けんせい)。おはよう。」


父親が向かいに座る健生に気付く。


「うん。おはよっ。」


健生は素っ気なくも返事を返した。

父親もそれ以上、話を広げる気はないらしく広げた新聞に目を戻していた。


サクッ。


焼き上げたトーストを二枚。それと牛乳。更にはレタスときゅうり・トマトが詰め合わさったサラダ。それ等を素早く平らげる。


「ごちそうさま。」


椅子を引き、朝食を終え、又も自室に戻る。

時刻は午前7時43分程。

自室のクローゼットを勢いよく開け、ハンガーに吊る去っている制服に着替える。

3分程で着替えを終え、僕。鈴木健生は学校へと赴いた。


などと僕の朝のライフスタイルを説明したはいいが・・・。


それって…。僕の朝って。


誰しもが普通に迎える朝じゃね?

別にカットされても良くね?


第一、昨日もその前も僕は同じ朝を迎えている。

朝一番。同じように目覚まし時計で一度起き。

前夜に設置しておいた携帯のアラームで二度寝を妨げ。母さんには会わない日もあるが、昨日も同じように洗い終えた洗濯物を籠に入れた母さんに会った。

そして、リビングでは毎度、定位置のように置物のように朝の席を占拠している父さんに声を掛けられる。さらに、さらに言うと朝食もいつも同じ。同じ同じ同じ同じ。


「あーーーーー。 なんだってんだよ。 一体もーーー。」

と。言ったところで何も変わらないし何も起きない。強いて言うなら近所の犬が僕の声を察知してワンワン吠えた・・・程度。 ガックリだ。

どうせ『モブキャラ』で『脇役』の声なんて誰にも届かないんだ。ブツブツ。

まぁ、悲願でも仕方ない。物語を始めなければ。


では、まず始めに僕の愚痴みたいのを聞いて頂きたい。え?全力で断りたい?そんなこと言わずに聞いてくれ。いや、聞いて。聞いて下さい。

僕の軽い頭なら何度でも下げますから。


えっ?そこまでするならって?ありがたきお言葉。

では、では、愚痴りますので少々のお付き合い願います。


もう言わなくても分かっているとは思うが僕は

『モブ』で『脇役』だ。と、言ってもこの世界のだ。この物語では一応僕が主人公の肩書きを背負っている。

しかし、まだこの物語には『主要人物』は愚か

『ヒロイン』すらいない。 今段階では僕一人でこの物語を創らなければならないことになる。


それは敢えて断言させてもらおう。無理だ。

即ち『ヒロイン』『主要人物』『悪役』。

できれば 『 マスコットキャラ』僕以外の『脇役』方を見つけなければならない。


え?何故、そう言った方々等がいないかだって?


それは簡単な理由だ。

この世界で僕は『モブキャラ』だからだ。

『モブキャラ』に誰が付いて来ようか?

自分で言ってて悲しくなってくる。

あっ。やばっ、泣きそう。グスグス。

気を取り戻して続きを話そう。


まず僕の名前。名前からして『モブ臭』が漂っている。

まず苗字。鈴木なんて学年に何人いるの?って程いる。確か鈴木って全国で二位だったような。違ったような。一位が佐藤だってのは覚えているけど。


ありふれてる苗字。


しかも二位。って。

準優勝。って。

銀メダル。って。


「どんだけ目立たないんだよ!!僕は!!!

どうせありふれてるなら一位獲ろうぜ。

優勝してこうぜ。金メダル首から下げようぜ。」


更に名前。

健生(けんせい)。って名前は個性的だ。多分、学年中探してもこの名前は僕だけだろう。


しかし。


それは名前の読みだけであって、漢字そのものを見られたら全然『モブ』だ。健生。

って意味。・・・・・・・・・・・・。


「そのままじゃん!!」


健康に生きるように。 はい終わり。


学校の授業で名前の由来を発表するのがあった。

皆「へー。」「いがーい。」等と名前の由来を発表する中。僕がどれ程恥ずかしかったか。

どれ程空しかったか。 僕の発表がし終わった時だけ皆。先生までもが「うん。知ってる。」と言い次の人の発表にチェンジ。


バカヤロー。である。皆、皆僕をバカにしやがって。グスグス。グスリ。


ん?あっ。ごめん。ごめん。暴走しまくった。話を進めよう。


そんなこんなで僕がどれ程『モブ』で『脇役』なのか分かってもらえたと思う。因みに付け足して貰うけど僕には何の能力も無いしこれからつくわけでもない。だから僕は『モブキャラ』なんだ。


そしてこの物語の僕の趣旨と目的だが。


「この世界の全人物に一泡吹かす。」


ニヤリ。

とかやればかっこよく決まりそうだから僕は笑う。


打倒、主人公。



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