奪回戦 ~激~
「やっぱ、力を抜きすぎたか。」
剣舞は遠く離れた場所まで吹き飛んだ健生が立ち上がったのを見て呟いた。
今の攻撃で俺と自分の力量の違いを分かって貰えただろうか?それなら、もう奴を傷つけなくてすむ。
しかし、花火の攻撃とは驚いた。
咄嗟に防御していなかったらもしかしたら敗けていたかもしれない。
これは長年の経験が生み出した闘いでの反射。
剣舞と健生の決定的な違いである。
*******
ウッ。
頭がフラフラする。体中が痛い。背骨とかあばらとかにヒビでもはいったか? 一発殴られただけでここまでのダメージを与えられた僕。冷静に考えなくてもこの状態であの剣舞に勝てる確率は0だろう。
怖い。逃げたい。諦めたい。
しかし、僕は立った。諦めても負けてはいなかった。たとえ無意味な勝負だろうが僕の意識はまだ戦場にある。やっと僕は分かった。この闘いの最後にある僕が望んでいるものがやっと分かったんだ。
だから、諦めないし逃げない。
僕は痛む体に鞭を打って剣舞の所へと歩く。
しかし、歩くと何故だろう?
どうしたことか負の思考が次々と浮かんでくる。
僕の仕掛けはもう無い。
僕の手持ちにある煙玉とかかんしゃく玉。改造したエアガンを使っても剣舞にとっては無意味だろう 。
何で僕は気絶させられる為に足を動かしているんだ?僕は「ドM」か?・・・・・
みたいな考えが次から次へと浮かんでくる。僕はそんな考えを誤魔化すように早くこの闘いを終わらせる為に走った。
痛む。
体のあちらこちらが痛い。それでも頭の中を空っぽにするには走ることが一番。
「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。」
叫ぶ。叫び走る。そして、制服のポケットに手を入れ中から煙玉を取り出した。火を点けそれを剣舞に向かって投げる。最後の悪あがきだ。
「ん?煙玉か?」
剣舞は飛んできた煙玉に警戒するわけでもなく余裕にその煙玉を向かい入れた。
シュー。
音を発て剣舞の周りを灰色の煙が覆い隠す。
僕は胸ポケットから自前のエアガンを取りだし目前の煙に向かって乱射した。
このエアガンは改造を少ししており弾幅を少し広げパチンコの玉を発射できるようにした。バネもパチンコの玉を発射できるようにとより強く強化した。
そんな重い鉄の塊が「パンッ。パンッ。」と薄暗い色をした煙に向かっていく。
しかし、、、、。
その煙の中にはもう誰もいなかった。
「よくやったな。」
そんな言葉が耳に聞こえたかと思うと首元に素早い手刀を静かに入れられ僕はその場に静かに倒れた。
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剣舞は煙玉が地につくと同時に動いた。
剣舞は、第一手の手刀は自分が攻撃しに行くと自分で砂ぼこりとかで 教えたことから避けられたのだと推測した。
だから健生が煙玉を投げてきた時、剣舞は次で終わりだな。と思ったのだ。
加速するためにどうしても舞う砂は煙玉の煙で隠してくれる。
そして現在。
剣舞は三回の攻撃を健生に仕掛けてようやく健生を倒すことに成功した。
「フー。終わった。終わった。後はこいつを保健室にでも寝かしておくかな。」
剣舞が目下で気を失っている健生を見下ろしそう言った。
その時。
「ん?」
健生の指先が動いたような気がしたのだ。
「気のせいか?」
そりゃそうだろな。確かに手は抜いたが気絶させる分の力は入れたからな。
たったの二週間ではそんなに力や忍耐力は上がらないだろう。特別なトレーニングでもしない限り。
「…ま、まだ。」
そう思った矢先に健生の小さな声が耳に入る。
「マジか?」
剣舞は健生の意識がまだ失われていないことに驚嘆の声を漏らした。
「まだ・・おわ・・りじゃない・・・ぞ。」
健生はゆっくりと息を切らしながら立ち上がった。その姿はボロボロでヨロヨロで目も半目であった。
何故。自分はここまで粘ることが出来るのか?
何故。自分はこんなになっても立ち上がれるのか?
健生には分からなかった。
ただ一つ。ただ一つのの言葉が頭から離れない。
だから、健生は立ち上がった。
そして、また吹っ飛ばされフェンスに叩きこまれる。
しかし、健生はまたも立ち上がる。何度も何度も立っては吹っ飛ばされるを繰り返した。




