プロローグ
俺こと苛波無道は人生の分岐点に置かされている。
そう思ったのがついさっき、両親の葬式が終わった後のことだった。
といっても死体なぞなく、遺影の前で皆そろって別れ告げるという簡単なものだったが。
それに両親と言っても血が繋がっているわけではない。
俺は孤児だった。
あの老夫婦に拾われるまではただひたすらに他人の物を盗む、壊す、といった今思えば赤面ものの恥ずかしい以外何者でもないことをやっていた。
あの二人は50過ぎても「夢はロックスター。」といってお偉いさん相手に略奪、テロ、と頭のネジが一本残らず融解してしまったかのように――実際そうっだたのだろう――生きていたのに・・・!
とまあ、それはどうでもいいとしてだ。
そんな過激で苛烈な狂人人生に半ば道連れのように振り回された俺としてはあの二人の死を聞いたときは驚いたが小型ステルス宇宙船で数多の惑星の政治家たちがが話し合う超大型宇宙船に突っ込んでテロを起こして死んだと聞いて納得してしまった。
おかげで今現在、今世紀最大の混乱が宇宙規模で発生している。
あのテロリストをお前たちが引き入れた、いやお前たちだ、と惑星間で責任の擦り付け合い――つまり戦争である――がいたるところで勃発しているのだ。
傭兵家業をやっている者たちとすればありがたいことだが、よくも最後の最後にでかい置き土産を置いてってくれたものだ。
しかしである。
コレに困ったのは何を隠そうその息子である俺である。
理由をあげるなら現在俺はどの惑星でもあの二人の息子であるというだけで指名手配されている身とかそのせいで身を隠すことになったなど色々とあるが一番の理由は先を越されたということにあった。
うん、実は俺もやろうと思ったんだよね。
ただ俺の場合あれよりもっと派手にやろうと準備に手間取ったせいで親に先を越されてしまったの感がなんともいなめない。
しかし既に後の祭りである。
あれよりも人々を混乱させるのは俺が生きている間では無理だろう。
混乱とは平和なときに起きてなんぼである。
混乱の最中に起こしてもすぐに薄れてしまう。
こうなればどうしようもない、このままダラダラと余生を過ごすかと思ってた矢先。
ソレは起こった。
近未来からわざわざ別世界に飛ばされるというアイデアをなぜ採用したのか今でも疑問です。