プロローグ
暖かい目で見てください!
罰剣の和香
プロローグ
「君のすべきことは復讐ですかね?わかりましたか?」
暗闇の中で男が言う。私が目を開けた時、その男から最初の言葉だった。その男は私の目の前にいる。周囲を見渡しても闇、闇、闇。世界が真っ黒になっていた。
私は誰なのだろう?なぜ、復讐をしなければいけないのだろう?私が誰かを恨んでいたのか。それともその男が、私に復讐をしてほしいのだろうか。
「なぜ?」
そう私は答える。今の私には記憶がない。思い出そうとしても何も、思い出すことができない。まるで一部の記憶だけが抜けたように。自分がどこから生まれ、なぜここにいるのか。
「なぜ?可笑しなこと言いますねぇ」
男は笑う。まるで狂ったように短く笑う。そして思い出したような顔をする。
「ああ、思い出しました!今のあなたには記憶がないんでしたね!」
「では、あなたの記憶を一時的に返しましょう」
男は私の目の前に来る。そして右手を私の頭の上で止まる。
「忌まわしきその記憶、汝の元へ戻りたまえ……『記憶返却』」
「ッ!!」
なんだ、これは?今まで何もなかった私の心が満たされていくような感じがした。
「さぁ、思い出してみなさい」
すぐに浮かんだものは赤い世界。
「あ、あああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
そこに横たわる人間だったもの。私の友人が、家族が、みんな死んでいた世界。私の生まれた町はみんな燃えてしまった。
最後に生きていた私の愛する人。その人が目の前で私をかばい、死んでいった。
「ひははは!思い出したんですねぇ!」
「ああ、思い出したとも……だが私も死んだはずだった」
そう、愛する人が死んだ後、私も死んだはずだ。両手と両足を切断されられ、心臓が見えるくらいまで抉り取られ、最後には首と心臓を切られたはずだった。
「今のあなたは魂の存在。肉体はもう死んでいましたからね」
男は続けて私に聞く。
「あなたは死ぬ前に、両手や両足を切られている時に何を願いましたか?今なら思い出せるはずですよね?」
思い出せる。それは私が神に祈った。
いや、呪った!神を呪い、私を殺したものを呪い、家族も、友人も愛する人も奪った奴らを呪った!そして、この世界も!
「私は世界に対して呪い続け死んでいった!」
私は叫んだ!それを聞いた男は笑った。大声で。
「ひはははっーーーーー!そう!それがあなたのすべきこと!この世界に復讐することなんですよ!!」
しかし、冷静に考えてみる。私は死んでいるのだ。今更どうやって復讐をすればいいのか?それを聞き取ったかのように笑っていた男が答えた。
「新たに肉体を与えます。しかし、記憶がないほうがスムーズに進むと思ったんですが、復讐する意味がわからないと意味がないですからね。これはただ殺しじゃない」
男は両手を広げ叫ぶ。
「これは罪を執行する行為!いわばあなたは執行者!あなたに力を与えたく今ここにいるというわけです!」
執行者。ただの復讐ではなく刑を執行するということか。
「今は最終判断です。そしてあなたは合格しました。さあ……あとは体ができてから行きなさい。それまではここで何を殺すか考えておいてください」
急に私の視界がぼやける。体ができるまで眠れということなのだろうか。
「お前の……名は……?」
最後に問う。薄れゆく意識の中での会話。
「私は第4の復讐人。今はそれでいいでしょう。おやすみなさい……執行者『メルギドス』!」
これが男とあったのが最後だった。深い眠りと共に恨みを持っていく……。
あとがきときいて飛んで来た零沢と申します。
初めて自分で文を書き、こうして小説を投稿しました。
中学レベルな文ですが暖かく見守って・・・見てください
以上