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シーとまれびと  作者: ユッキー


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第3章



 それから1年ほどが経った翌年の12月、オレは通院していた心療内科の中性的な男性開業医から、要長期療養(うつ病のため)との診断書をもらって職場に提出し1カ月間の休暇をもらった。10種類もの薬を長期服用していたため顔はむくみ血色も悪く、やはり注射を打たなければ全身から冷や汗のような汗が滲み、じっとしていることもできず悶え苦しんでいた。結局、3年間通院しても何もかわらなかった。それでも中性的な男性開業医は、基本的に同じ注射と多種類の薬の服用による治療をかえることはなかった。 ──薬をやめたらさらに症状がひどくなるおそれがあるとの診断で── もう限界だと思った。長期療養のための診断書をお願いすると中性的な男性開業医は、フフフと嘲けるような薄笑い浮かべたがすんなりと診断書を書いてくれた。

 オレは今まで東京に住んだことがなかったので、1カ月間、シーと一緒に初めて東京で暮らそうと考えた。その間、注射も薬も絶って通院もしない。ひとつの賭けだったかもしれない。

 舞浜にあるオーシャンビューが素晴らしいペット同伴可の大型ホテルに長期間の予約をとった。


 シーは海を見たことがなかった。シーは実の母犬のことを覚えていないだろう。折口信夫(おりくちしのぶ)の『(はは)の国へ、常世(とこよ)へ』の一節 ── 遥かな波路の果に、わが魂のふるさとのある様な気がしてならなかつた── からオレは勝手に、海の遥か彼方に妣の国と常世があるのだろうと思い描いていた。海と母を同義語にとらえていた。どうせ長く滞在するなら海が眺められる方がいい。しばらくシーと一緒に東京で海を眺めながら暮らそうと思った。



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