嘘と真実
「本当に1人で運んだのか?」
「僕だって男ですよ、それなりに力はあります」
「なんであの時気付いたんだ?」
「刑事さんには隠しきれないオーラがあるんです」
“本当の事を言う”って自分から言ったのに、あいつは俺に嘘を吐いていた。
この程度の証拠だけでそうと決め付けるのは、ただの思い込みで早とちりしていると思われだろう。
自分でもそう思う。
というより、早とちりであってほしい。
でも、防犯カメラで見た雨合羽の人物が落とした物と助手席に座る人物の腕と一緒に映っていた物には見覚えがあった。
それは誰が持っていてもおかしく無い物だし、白石が持っていてもおかしくは無い物だ。
そして俺がもう一つスッキリしない事、それは白石を捕まえた日、何故あいつは突然方向転換して走り出したのかと言う疑問だ。
その疑問に対する白石の答えには納得出来ていない、だが、俺の推測が正しいなら、この答えで納得はできる。
土砂のように重く濁った感情が胸に渦巻いていく。
俺は重い体を引きずって署に向かった。
顔見知りや同僚は休暇中の筈なのに署内にいる俺に気付き視線を送るも、俺の放つピリついた空気を感じ取り、話しかけるのを躊躇っていた。
俺はあいつに聞きに来ただけだ。
本当の事を、聞くだけ。
真実が知りたい、でも、俺の勘違いであって欲しいとも願っている。
昼休憩中の部署内はほっと一息付いた和やかな静かさが漂っていた。
弁当を食べているやつの背後に近づく。
俺に気付くと振り向いて笑顔に切り替わる直前の顔を見せた。
俺は思わず握った拳を振り下ろした。
「何してんだ、大澤!」
「どうしたんだよ!」
周りは一斉に立ち上がり、俺を制止する。
「お前、今まで俺たちが必死で捜査してたのを裏で笑って見てたのか?」
話を聞くだけのつもりが感情が先走ってしまい、声が震える。
「なんであんな事したんだよ!今まで何人の女を殴って来た!」
殴られたそいつは頰に手を当てながら座り込んでいる。
「なんであいつに手ぇ貸した!」
「なんとか言えよ!なぁ、」
頼む、否定してくれ
「中山ぁっ!!」




