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Night gamer  作者: 利糸
3/3

リスタート

 その日のことは、それ以上覚えてない。

 ただ、家に帰って部屋に閉じこもった。食事を抜くことなんて初めてだった。

 お腹は空かなかったし、眠くもなかった。


 暗い部屋の中で、三角座りで壁に寄りかかって時間が過ぎていった。

 次の朝が来ても、学校に行く気には当然なれなかった。


 その後も休みが続き、1週間も経つと両親は心配して、何度も話を聞いて学校に行くように説得したが、もう嫌だった。


 部屋の扉に鍵をかけて、PCの電源をつけた。


 ……このゲーム…面白いのかな?

 あまり、ゲームはしたことがなかった……でも時間はある。


 そうして、始まったゲームにハマって……学校のことは忘れて…忘れたように思わせていた。









 だから、あいつらのいる学校に戻る気はない。

 学校はこの事情を知らなかったから…俺が復学しやすいようにとしたのか、京が同じクラスにいた。

『ごめん。無理』

『京くんたちのことなら大丈夫です』

 …なんで知ってる……?

『…どうして大丈夫なんだ?』

『明日、文化祭なんですよ。彼らと会わないで学校に来れますよ』


 ………もう…そんな時期だったか……

 うちの学校は、一学期の終わりあたりに文化祭をする


 けど…もう学校に行く自分が想像できなかった。

 校内で彼らと会う可能性もある。


『…行けたら行くよ』

 100%行かないという意味を込めてチャットを打ち込んだ。これで伝わるだろう。

『分かりました。じゃあ明日の8時、C棟の一階で待ってます』


 ……いや、全然伝わってない!

『ごめん!用事できたから行けなくなった!』

 慌ててメッセージを打ち直したが、メッセージを相手が閲覧したマークがつかなかった。



 ……まぁ…あいつが勝手に勘違いしてるだけだし…

 自分に言い聞かせてそのゲームを閉じて、気休めの音ゲーを始めた。



 …!

 やばい…

「推しのPick upきてる…」

 ガチャに推しを発見し、慌てて持っているコインを全て使い100連したが、一向に当たらなかった。

 しかし、イベントの終了も迫っていて、俺は夜10時からコイン稼ぎをして、天井(ソシャゲに置いて、一定の回数ガチャを引くとPick upなどがもらえること)をした頃には、朝の2時を回っていた。


 ……もう明日は起きれそうにないな。仕方ない。

 昼アラームをかけて眠った。






 翌朝

 アラームの音で目が覚めた。

 …ん?アラーム?


 確か昨日の夜、昼の12時にかけていたはずだけど、まだ朝早くのようだ……

「7時……!」

 昨日の夜、寝ぼけながらかけた時に、昼に寝落ちする時の午後7時のアラームをいじって、午前7時になるようにセットしてしまっていたらしい。


 …もう一回寝るか…


 しかし、一度起きると寝づらく、仕方がないので久しぶりにリビングに行った。


「あら…悠……おはよう」

「悠…早起きだな…」

「うん…偶然…」

「朝ごはん食べない…?」

「……食べる」

 昨日の夜から何も食べていなかった。

「…じゃあ…ゼリーを………えっ?」

 母さんが驚いた顔でこちらを見る。


「食べさせて。朝ごはん」

「わ…分かった…今用意するね」

 母さんは急いでリビングに行った。


 父さんは少し涙を流していた。

「どうしたの父さん…」

「いや…悠と久しぶりに話せたからな…」


 …確かに父さんは、仕事が忙しく全然話せていなかった。突然、息子が学校に行かなくなったと聞くと心配だろう。


「悠…できたわよ」

 トーストとスクランブルエッグ、サラダの軽い朝食が出た。


 カップラーメンとか栄養ゼリーしか飲んでなかったからか、そんな普通のレシピがとても美味しく、すぐに食べ終わった。


「ごちそうさまでした」

 そして、俺は部屋に戻った。


「健康に気をつけなさいよ」

「あぁ…しっかり睡眠も取れよ」

「…分かったよ」


 部屋に戻ると再び鍵をかけた。



 …別に早く起きれてるからって…行かなくたっていいだろ……



 そして、バトルロワイヤルゲームを起動した。


<重要なお知らせ>

 新シーズンへのアップデートのため、本日は終日プレイ不可能となっております。ご了承ください。


 ……久しぶりのアップデートだな…

 遊べないのはしんどいけど、仕方がないな…

 代わりに音ゲーを起動した。


<メンテナンスのお知らせ>

 本日、朝7:00〜昼12:00までの間、メンテナンス、不具合解消のため、全モードのプレイを停止しています。メンテナンスは長引く可能性もあります。ご協力お願いします。



 ………こんな同時に……



 ……バトロワゲームのチャットが目に入った。



 …俺は、部屋の隅に落ちていた制服を拾い上げて、埃を落とした。

 同じく、数ヶ月開けていないリュックから、教科書を全て出して、財布と学生証などを入れて背負った。



 部屋の扉を開けて外に出る。


「…悠?……どこに行くの……?」

「学校」

「…」

 母さんが信じられないという表情をした後、少し涙を流す。


「いってきます」

「いってらっしゃい」


 あんなに嫌だったはずなのに…もう、そんなに嫌ではない。


 俺は、学校へと晴天の中歩いていった。

初めまして、あるいはこんにちは!

高1の作家の利糸りいとと申します。

今回、初の短編作品を投稿させていただきました。


今の自分のメイン連載「少年は、全てを捨て復讐者となる。〜Another world〜」もぜひ読んでください!

今後も本編の投稿に加えて、今回のようなジャンルがバラバラな短編も不定期投稿していきます。


そして最後になりましたが、当作、「Night gamer」を最後まで読んでいただき本当にありがとうございました!

今後もよろしくお願い致します!

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