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転生村出身ですが何か?  作者: 咲ク
第一章
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第一話 何やかんやありまして



”魂は巡る。愛しい我が子はいつか多くの喜びと共に祝福され、また皆の元に還るだろう”



昔から私の住んでる村には不思議な事が起きる。

ある人は井戸の水を汲んでいた時。

またある人はいつもの買い物に出ていた時。


”それは突然に起こるのだ”


ーーあれ、どうしたんだろう。


どうして見た事ない景色と、知らない人の顔。

私はどうしてここにいるのだろう。



「レイラーー!!」


(あ、シドだ)


私の幼馴染。何かと面倒見がいい。

今日は凄く晴れた洗濯日和。数日間溜まりに溜まっていた洗濯物との格闘を終えて一息付いていたところだ。


「おーい、聞こえてるなら返事ぐらいしろよなぁ」

「ごめんって……」

「ロイド探してたぜ。もうお昼近いだろ?」

「あっ!!忘れてた!!今日帝都に行くんだった!!」

「やべーじゃん!!もうすぐサム爺出るだろ??」

「こうなったら……シド!!後は任せた!!」

「はぁぁぁーー??」


持っていた籠をシドに渡して脱兎の如く走り去る……。


「まったく……。お土産忘れんなよーー!!」


「まかせろーい!!」


私は”レイラ・ライシアン”17歳。アルファトス帝国の外れにあるレイテ村で生まれた。徴兵をしている父と弟のロイドと一緒に3人で暮らしている。

お母さんは昔から身体が弱く、ロイドの出産の時に亡くなってしまった。

幼かった私はあまりその事を覚えていない。

でも、母がいない事を感じさせられないぐらい父や幼馴染、村の人達によくして貰った。だから全く問題はなく今も幸せに生活出来ていると思う。


サム爺さんは商人で、帝都とうちの村を往復して色々な物を持ってきてくれる。1ヵ月に1度だけ帝都と私が住んでいる村のレイテ村と往復してくれる。

私が住んでいる村は帝都からはかなり離れているからこの機会を逃したらなかなか行けないのだ。


「サム爺さーーん!!」

「おぉ、レイラ待っておったぞ」

「ごめん!洗濯物凄く溜まってたのよ」

「今日はシドは行かんのかい?」

「シドには後片付け任せた!!」

「それじゃシドにはとびっきりのお土産が必要じゃな」

「わかってますよぉーー」

「じゃあ、行くかの」

「はーい!!」


サム爺さんの荷馬車はお世辞にも乗り心地は良くない。でもそれを感じさせないぐらい、サム爺さんの話は面白い。

今日は弟のロイドの15歳の誕生日プレゼントを買いに行くのだ。

ロイドは本にしか興味がないと言っても過言ではないぐらい本の虫で、私はどちらかというと文字を読むのは得意ではない。

何をするにも本を持ち歩く可愛い弟の為にも、今日は絶対ロイドの喜びそうな本を見つけてあげなきゃ!!



荷馬車に乗って私のお尻の感覚はどこに行ったと思うぐらいになった頃、帝都の大きな門が見えてきた。

「相変わらず凄いな……」

「レイラ、夕刻にはまた出るからその門の前で待ち合わせにしよう」

「はーい!ありがとう、サム爺!!」


荷馬車を降りて通行証を出す。門番さんは顔見知り。


「おっ?レイラじゃないか!ひっさしぶりじゃねぇか。サム爺と来たのか?」

「ライアンさん久しぶり〜〜!!」

ライアンさんは元々レイテ村の出身で、帝都で門番として働いている。奥さんも村の出身で今は村から離れて暮らしている。幼い頃から知っている人がここにいるので安心してここまで来れる。

「さてはロイドへのプレゼント探しだなーー?」

「当ったりーー!!」

「今日は人も多いから気を付けろよーー」

「はーーい!!」

レイテ村出身の人はいい人ばっかりだ。離れていても村出身の人は大きな家族の様で頼りになる。

(あっ!!急がなきゃ!!)


帝都はとっても栄えている。どこに行っても人で溢れているし、色んなお店がある。

以前家族と来た時にロイドが凄く気に入っていた本屋があった。早くそこに行って選んだら、出店でなんか食べよう。

通りを曲がった先にパン屋さんがあってその隣に小さな本屋さんがある。

通りを曲がった先でふと、止まる。


(あれ?)


以前来た時は普通に空いていたはずの本屋に何やら張り紙が。


「臨時休業中〜〜!?」


(これはまずい、私はここしか知らないし……)


店の前で呆然としていたところ、誰かが私の背後からやってきた。

「休業か……」

そう言って立ち去ろうとする人に声を掛けることにした。


「あの!ここ以外で本が売っているお店を知りませんか?」

声をかけたら大きなローブを被った人がこちらを見る。

(背……大きいな……)

歳は20歳半ばだろうか、真っ黒な髪に真っ黒な瞳。スラっとした男の人だなぁ。

「お前……。ここに何しに来た?」

(えっ!?)

「いや……。本を買いに来たんですけど休みみたいで」

「お前が読むのか?」

「わ・た・し・の弟のプレゼントを買いに来たんですっ!!」

(……この人何なの?初めて会った人に対してひどくない??)


「まぁ、そうだろうな。お前には知性を感じない」


(はぁぁぁぁぁ??)


「そうですか!もう結構です。あなたの様な失礼な人に聞いた私が悪かったわ。じゃあ」

(さっさと他の人に聞こう。サム爺さんとの約束まであと少ししかない)


「おい、何処へ行くんだ?」

(はい???)

「いや、だから!!本を買いに来たんです。無いなら他の所へ行くんです!ほっといてください!」

「何を怒っているのかわからないが、ここより珍しい本屋など無いぞ」

(じゃあどうすればいいのよ〜〜)

「でも空いてないじゃ無いですか!私時間がないんです。だからこうして話している時間も勿体無いの!!」

(出店も楽しみにしてたのに〜〜!!)

「ふむ、じゃあ開ければいいじゃないか」

「開ければって、閉まってるにだから勝手に……ってえええええーーーー!?!?!?」


ガッシャーーンっと大きな音がしたと思ったらこの男は本屋の窓を持っている剣を取り出し割ってしまった。

そして何事無かった様に窓から店へと入ってしまった……。


(信じられない……!!ガラス高いのに!!)


慌てて店の方へ向かうと、何やら店の人と思われる人と話している。


「シュレン……。店の張り紙見なかったのか?窓を割る事は無いだろう〜〜」

ボサボサの長い髪を一つに結んでいて、何というか疲れ切った表情をしている。

「ふん……。対して意味もないのに休んでいるからだ。」

ローブの男は悪びれる事もなく腕を組んでいる。

「だからってこれはないだろうよっ!!修理代出して貰うからな……んで、そちらのお嬢さんはお友達?」

(……!?)

「あっ……す、すみません!!なんかこの人勝手に……!!わ、私、今さっき店の前でこの人初めて会ったばっかりで、ほんと知らないんです〜〜!!」

「あはは!何だよ。シュレンにこんな可愛いお友達が出来たのかと思ったよ」

「ふん……」

(この人、ふんふんばっかで何なのよ!!)

「まぁ〜、割れた窓越しも何だから入っておいで。今、ドア開けるから」

そう言うと本屋の男は店に案内してくれた……。


小説始めてみました。よろしくお願いします。

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