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第13話・ランクについてとお別れ

「それでは冒険者ギルドについて、ご説明させていただきます。まず冒険者ギルドは、世界規模で運営されている組織となります。それぞれの国に1つの本部があり、それぞれの町に支部が置かれています。冒険者ギルドでは、冒険者に対して依頼の斡旋、素材の買取、ポーションなどのアイテム類の販売、お酒などの飲食の提供を行なっています」


受付嬢は一息つくと、再び話し始めた。


「依頼についてですが、討伐や採取、納品の他にも、護送に護衛、探索など、様々なものがございます。依頼ごとにランクが付けられており、それぞれ……っと、その前に冒険者ランクのご説明をします。お手元の冒険者証をご覧ください」


そう言われて、手に持っているカードにセレネは目を向けた。

鈍い銅色をしているカードには、自分の名前の他に、『G』というアルファベットが明記されている。


「冒険者ランクは、下から順番に、G、F、E、D、C、B、A、S、SS、SSSの10個のランクがあります。。そして、Gランクは初級。F、E、Dランクは下級。C、Bランクは中級。A、Sランクは上級。SSランクは最上級。そして、SSSランクは特級と区分が分けられています。この区分ごとに冒険者証の見た目が異なっており、初級は鉄、下級は銅、中級は銀、上級は金、最上級がミスリスです。特級に関しましては、未だ解明されていない、漆黒の未知の金属が素材となっています。そして、セレネ様の冒険者証には『G』と記載されている通り、セレネ様の現在のランクはGランクとなります。昇級するためには、依頼を一定数こなしていただく必要がございます。また、中級からは、昇級する際に昇級試験が課されます。昇級する為には、その試験に合格していただく必要がございます」


そう言い切ると、受付嬢は手元にあった書類の中から何かを探し始める。

数十秒後、2枚の紙を手に取った受付嬢は、話を再開した。


「そして、先ほど途中で話を変えてしまったのですが、依頼にはそれぞれ推奨ランクというものが付けられています。これは、その依頼を受けるに当たっての、最低限のランクを示しています。そして、依頼のランク付けの目安になっているのは、モンスターのランクです。これは口頭での説明よりも……こちらの資料をご覧ください」


そう言って受付嬢は、1枚の紙をセレネに手渡した。


———————————————

【モンスターのランクについて】

冒険者ギルドによって定められた、モンスターの脅威度を可視化するための目安


・G:攻撃性がなく、子供でも討伐可能なレベル。

・F:危険性はあるが、成人済みの一般人でも討伐可能レベル。

・E:危険性があり、戦闘経験のある冒険者で討伐可能レベル。

・D:危険性が高く、戦闘経験のある冒険者でも討伐に失敗する可能性のあるレベル。

・C:危険性が高く、複数人での討伐が望ましいレベル。

・B:危険性がとても高く、複数人での討伐でも討伐に失敗する可能性のあるレベル。

・A:町が消滅する可能性のあるレベル。別名・災害級。

・S:国が滅亡する可能性のあるレベル。別名・厄災級

・SS:大陸が滅亡する可能性のあるレベル。別名・伝説級。

・SSS:世界が滅亡する可能性のあるレベル。別名・神話級。


———————————————


(これを見た感じ……冒険者のランクとモンスターのランクは同等じゃなさそう……)


セレネが資料にざっと目を通すと、唐突に『ピコンッ』という電子音が耳元で鳴った。

すると、目の前に小さな画面が表示される。


〈ランクの存在への認識を確認しました。ステータス・鑑定の項目が変更されます〉


「……?」


急に現れた画面をセレネが凝視していると、受付嬢から声をかけられる。


「どうかされましたか? あ……もしかしていると、異邦人の方が持っているスキルですか?」


(スキル……? 表示される画面って、現地人はスキルだと思ってるんだ。へぇ……)


新たな情報を得たセレネは、それを頭の片隅に仕舞っておこうとして、ふとそのことに関して疑問を抱いた。


「そう……この世界の人は、どうやってステータスの確認……するの?」


「ステータスの確認ですね。私たちこの世界の人々は、鑑定のスキルを持つ方に鑑定していただいたり、鑑定スキルの魔導具などを使用したりして確認しています。もちろん、冒険者ギルドにもステータスを確認するための魔導具があり、有料ではございますが冒険者の方のみ使用出来ることになっています」


セレネがゆったりと尋ねると、受付嬢はそう返答した。


少し間が空いてから、受付嬢が口を開く。


「ランクについては大丈夫でしょうか?」


受付嬢がそう聞くと、こくりとセレネは頷いた。


「それでは、説明は以上となります。何か、ご不明な点やご質問などはございますか?」


「大丈夫。説明ありがとう」


返答を聞いた受付嬢は、小さくではあるが、セレネに微笑んでみせた。


「承知いたしました。それでは、最後に王国の地図をお渡しいたします」


そう言って受付嬢が取り出したのは、A4ほどのサイズの地図であった。

セレネに地図を渡すと、再び話し出す。


「本日担当させていただきました、受付嬢のリンと申します。これからの、セレネ様のご活躍を期待しています」


そう言い終わると、リンはセレネに向かって深く頭を下げた。

地図を受け取ったセレネは、そのまま後ろを向いて出口の方に歩き出す。


お互いに無言のまま、セレネは冒険者ギルドの外へと出て行った。






冒険者ギルドから出たセレネは、肩の上で小さくいびきをかいているナビィの額を中指で弾いた。

パチンッと良い音がすると同時に、ナビィが「いたーい!」と叫びながら飛び起きる。


「ちょっと! なにするのよ!」


「勝手に人の肩で寝てるのが悪い」


セレネの正論にぐうの音も出なかったのか、ナビィは頬を膨らませて睨みつけることしかできなかった。


「それで? 次は何するの?」


そう尋ねると、ナビィは顎に手を当てながら唸り出す。


「あ、そうだ思い出した! 冒険者登録が出来たら、次は町の外に出てモンスターと戦って……たたかって……あれ? もうセレネちゃんバリバリ戦ってるじゃん……」


「……もうないの?」


「うん……チュートリアル終わってる……わたしの役割もう終わりなの〜!? がっくし………」


そう言うと、ナビィは翅をパタパタさせながら、手足を無気力にだらんとさせて項垂れた。


「それじゃあセレネちゃん……役割終わっちゃったからもうお別れだよー……」


「そう……色々とありがとね」


「うーん、最後まで冷たいよセレネちゃーん」


喋りながら、ナビィはセレネの周囲をぐるぐると飛び回る。

そして、セレネの顔の前でピタっと止まった。


「またね、セレネちゃん。この世界を、たっくさん思う存分に楽しんでね!」


そう言って、ナビィがその場でくるりと回転すると、光の粒子となって消え去った。


ナビィを見送ったセレネは、少ししてから口を開く。


「……またね、ナビィ」


セレネの唇の端が、小さく上がった。


ちょっとして穏やかな風が吹くと、セレネはまた、ゆっくりと歩き出した。

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