第9話「二刀流ソロ勇者現る」
ギルドのドアをドーン!
驚くみんなの視線の先に、二刀流ソロ勇者がバーン!
モブ1「おおお! あれわ!」
モブ2「よもや、東の国の危機をすべて回避し平和をもたらしたと言う、勇者!」
モブ3「噂の二刀流ソロ勇者!」
色めき立つギルドの面々。
二刀流ソロ勇者の周りを側近の妖精が優雅に舞う。
いつもの受付「い、いらっしゃいませ。」
二刀流ソロ勇者は、ふっと小息を吐きさわやかに髪をなでる。
二刀流ソロ勇者「魔王を討伐したいのだが、依頼はあるかね?」
さわやかなイケメンの二刀流ソロ勇者のやさしい眼差しに、いつもの受付は顔を赤くする。
いつもの受付「え、え、あ、はい! しばしお待ちください。」
妖精側近「ねえ〜、こっちでクエスト依頼、しなきゃいけないの〜?」
二刀流ソロ勇者「だってしょうがないじゃないか。東の国は俺が平定したし。」
きらっ! ぴかっ! 二刀流ソロ勇者のきれいでさわやかな白い歯がピカりんと光る。
妖精側近「まあ、あなたなら、一瞬でこっちの魔王軍もぼこぼこよねー。」
二刀流ソロ勇者の出現は一瞬であたりに広まった。
それを聞きつけた『出待ち入り待ち追っかけ三姉妹』が早くもギルド内へと駆けつける。
出待ち「きゃー素敵~!」
入り待ち「二刀流ソロ勇者様最高~!」
追っかけ「私を見て~!」
二刀流ソロ勇者「ふっ。よろしくね。」
その噂は当然?の如く、勇者の側近ユニと魔王の側近ゾンの耳のもなぜだか速攻で届いてしまう。
ユニ「どうしよう。」
ゾン「どうしよう。」
ユニ「このまま決着がつくのはやばいわ。」
ゾン「なんとかして、二刀流ソロ勇者の参戦を阻止しないと。」
ユニ「決着がついちゃうと、どちらかが失業よ!」
ゾン「これは早く手を打たないと!」
側近であるユニやゾンのスローライフ実現の前に、早くも暗雲が立ち込めるのであった。