第2話「勇者がいっぱい」
勇者の側近ユニがブツブツとつぶやいている。
いや〜、まいったな〜。お金ないなあ。
今回の魔王討伐でお金使っちゃったし、引き分けだからギルドから一円も報酬出ないし〜。
ま、最初からわかってたんだけどね〜。
また公共バンクに資金借りに行くか〜。
まあ、パーテイ組むためにこれまでたっくさん借金して来て、今や雪だるま式なんですけどね。
手も足も出ない。うん、本当に雪だるまだ。
でも、この世界に雪だるまの風習はないけど。
借金だらけで実にやばい。借主は勇者だけど側近にも半分の責任あるし。
まして戦闘をクリアして勝てばオッケーなんですけどね。
でももし、負けたらそれは最悪この世の地獄。勇者の側近職を失業して、自分も借金背負って首も回らない。
だから引き分け継続なら、うまくいけば延々自転車操業でやっていける。
てか、この世界に自転車はないけど。
だから何とか引き分けをず〜っと継続して行けば、ず〜と側近続けられて失業の心配もない。
程よいところで側近の後継見つけて移譲しちゃえば、後はのほほんとスローライフの人生を送れる!
仕方ないからまずは、資金がないから公共バンクでお金借りるためにギルドへ証書もらいに行こう。
ギルドに行くと職あぶれた猛者たちがいっぱい、くだを巻いている。
「よう、勇者の側近、自分を雇わないか? 自分、勇者補だよ。」
そういってギルド発行の身分証明書を見せてくる。
「ねえ、勇者の側近、私を雇ってよ。私は準勇者よ。」
そういってギルド発行の身分証明書を見せてくる。
「ちょっと、勇者の側近、我を雇ってください。我は勇者見習いです。」
そういってギルド発行の身分証明書を見せてくる。
「ねえちょっと、勇者の側近、俺を雇ってください。俺も勇者なんだが。」
そういってギルド発行の身分証明書を見せてくる。
ユニ「それ、偽造証書だよ。」
偽勇者「え?」
ユニ「だから偽造。早くここから出た方がいいわよ。」
そう言って、ユニはたくさんの側近は猛者からの申し出を無視して、ギルドのカウンターへと進んで行く。
ユニ「すみませ〜ん、勇者の側近ユニと申す者ですが、討伐資金を借りるための証書作りたいんですけど〜。」
よくいる受付「あ、はいはい。いつもの勇者様の側近様ですね。」
台帳をパラパラ、指をペロベロ。
よくいる受付「えっと〜、勇者様の証書申請はこれで5回目ですね〜。」
ハンコをボン。
よくいる受付「はい。ギルドの証書です。これで公共バンクで遠征資金を借りれますよ〜。」
ユニ「ありがとうございますー。」
証書申請これで5回目。10回申請するとポイントが一つつく。
5ポイント貯めるとなんかで特典があるみたいだ。『無敵の剣と無敵の盾』ハッピーセットとか。
ま、雪だるま式に借金が増えて行くのは怖いけど、延々引き分けに持ち込んで、
程よいところで新人側近見つめてちゃっちゃと業務移譲すれば、自分は安泰、ってわけ。