1-7 商業ギルド
アマンダの雑貨店を出て、シーラについていくこと数分。大通の角目にある木造4階建の建物に着いた。
金属製の扉があり、その上には、コインと天秤が書かれている看板が付いていた。
「ここが商業ギルドにゃ。入るにゃ。」
と言ってシーラは中に入っていった。僕も遅れず中に入っていった。
中は、比較的すっきりとしている。左手にはカウンターがあり、右手には4人がけテーブルが5つあった。また、壁には掲示板があり、何かいろいろ情報が貼られているようである。
シーラはカウンターにいる女性の1人に近づくと
「ギルドに加盟したい人がいるにゃ。」
と僕の方を指差しながら言った。
するとカウンターにいた女性が僕の方を、見て
「ようこそ、商業ギルドへ。わたしの名前は、キャシーといいます。商業ギルドへの加入ということでよろしいでしょうか?」
と話かけてきた。
「はい。アキといいます。加入にあたって、色々と話をお聞きしたいのですが。」
と僕が言うと、
「わかりました。では、あちらで座ってお話しましょう。」
と言ってカウンターから出て行った。
僕はキャシーさんの後を追った。
「私もついていくにゃ。」
とシーラもついてきた。
ついていった先は、簡単な打ち合わせができる会議室のようなものだった。
3人が席につくと
「では、商業ギルドについて簡単にご説明させていただきます。街中で商売するには商業ギルドに必ず加入していただく必要があります。加入せずに商売すると、子供が小遣い稼ぎ程度であればいいのですが、拘束され罰則を受けることになります。登録には登録手数料と年会費が必要となります。また、登録ランクによって、税金をお支払いいただくことになります。」
とキャシーが説明してくれた。
「はい。わかりました。」
「続けて、登録手数料ですが、銀貨1枚となります。また、年会費は、登録ランクによって変わります。一番低いランクであるFランクで銀貨5枚となります。」
「はい。」
「では、どのランクで登録しますか?」
「ランクでできる商売に違いがあるのですか?」
「はい。一番下のFランクでは、店を持つことができません。いわゆる行商というものですね。次にEランクです。これは露店をすることができます。露店の年会費は銀貨10枚となります。税金は、毎月銀貨5枚を頂くことになります。」
「う〜ん。どうしたらいいかな、シーラ。」
「露店にするにゃ。」
「うん、わかった。では、Eランクでお願いします。これが登録料と年会費です。」
と言って、銀貨11枚をテーブルの上に置いた。
「はい。確かにお受け取りしました。では、これに記入ください。」
と言って登録用紙を出してきた。
内容を確認し、名前などを書いていった。
「はい。これでいいですか。」
と登録用紙をキャシーに渡した。
「はい。では、しばらくお待ちください。」
と言って会議室を出て行った。
「これで登録できるね。」
「そうにゃ。ところで露店をどうするにゃ。」
「どうしようかな?何かいいアイデアあるかな?」
「食べものを売っている露店の近くで露店をするにゃ。そうすれば水が売れるにゃ。」
「なるほど。じゃあ、露店はどう用意すればいいのかな?」
「商業ギルドでもレンタルしていますよ。」
キャシーさんが部屋に戻ってきた。
「はい、これが登録証です。再発行はできますが、高額な手数料がかかるので、無くさないでくださいね。」
と言ってキャシーさんが登録証を渡してくれた。
登録証は、首から下げられるように左上に穴が空いており、金属製であった。右上には、「E」と大きく書いてあり、中央には、名前が書かれていた。裏面の中央には、何か魔法陣のようなものが書かれていた。
「この魔法陣に右手の人差し指をつけてもらえますか?」
とキャシーさんが言ったので、
「はい。」
と行って右手の人差し指をその魔法陣につけた。すると一瞬登録証がピカッと光った。
「はい、これで登録完了です。露店のレンタルですよね。では、見てもらえますか。こちらです。」
と言ってキャシーさんは会議室を出て行った。
僕たちも後を追った。




