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しばらくするとシーラが串焼きを買って戻ってきた。
「はいにゃ。」
と串焼きを2本受け取った。
「おつりにゃ。」
と言って銅貨1枚を渡してきたので、
「それは、とっておいて。」
と言ってシーラに戻した。
「ありがとにゃ。」
と言って串焼きを食べ始めた。
僕も串焼きを食べ始めた。
「売れたなあ。」
と引き出しの中をみた。
銅貨がたくさん入っていた。
何気なくステータスを見てみると
『召喚術(自動販売機)Lv.2』
と表示されていた。
「何が出るのかな?」
「召喚 自動販売機」
自動販売機を再召喚してみた。
出てきた自動販売機は、大きさは変わっていなかった。
しかし、前にはなかったボタンが2つついていた。
青いボタンと赤いボタンだ。
コップを自動販売機におき、銅貨を1枚入れた。
今までは、これで水が出てきたのだ。
今回は、何も出てこない。代わりにボタンがうっすらと光っていた。
そこで、僕は青いボタンを押してみた。
するとコップに水が注がれた。
コップの水を飲むと、冷たい水だった。
コップの中の水を飲み干し、再度、コップを自動販売機に置いた。
銅貨1枚を入れ、今度は、赤いボタンを押してみた。
するとコップに透明の液体が注がれ、湯気が出ている。
「もしかして、お湯?」
僕は、そっとコップの中に液体に口をつける。
「熱い!」
唇が少し火傷したような感じがした。
「すごい、お湯だ。」
「どうしたにゃ?」
とシーラが聞いてきた。
僕は、お湯が入ったコップをシーラに渡す。
「熱いから気をつけて。」
シーラをコップを受け取ると恐る恐る口西した。
「熱いにゃ。」
と一口飲んですぐに舌を出した。
「すごいにゃ。火も使わないのにお湯がでるにゃ。」
「そうだね。これからは、冷たい水と熱い」お湯が出るようになるよ。でもお湯って売れるのかな?」
「売れるにゃ。」
「本当?」
「本当にゃ。売るにゃ。」
「美味しくて冷たい水があるにゃ。熱いお湯もあるにゃ。」
とシーラが露店の前で大声を上げた。
すると、周りいた人が
「熱いお湯もあるのか?」
と聞いてきた。
「あるにゃ。これにゃ。」
とさっき僕が渡したコップをその人が渡した。
「本当にお湯だ。」
すると近くにいた女性が
「この鍋にお湯をいっぱい入れてくれないかい?」
と聞いてきた。
「はいにゃ。」
とシーラはその鍋を受け取る。
シーラは、僕にその鍋をよこし、
「鍋いっぱいだってにゃ。」
と言ってきた。
今の自動販売機には、この鍋が入らない。
どうしたものかと思っていると、自動販売機の商品出口がグニョンと大きくなり、鍋が置けるようになった。
また、赤いボタンが新たに2つ増えていた。
とりあえず、鍋を自動販売機に置き、銅貨1枚を入れ、初めからあった赤いボタンを押した。
コップ1杯程度のお湯が鍋に注がれた。
「これでは、足りないですよね?」
「そうね。鍋に半分は欲しいわ。」
ということで、新しくできた赤いボタンをよくみた。
すると、ボタンには、小さく
『押している間、お湯が出ます。』
と書かれていた。
なので、銅貨を1枚入れ、その赤いボタンを押した。
すると鍋にお湯注がれ、鍋の4分の1が満たされた。
ボタンを押したまま、銅貨を1枚追加で入れた。
鍋の半分のお湯が満たされることになった。
「これでいいですか?」
「ええ、ありがとう。それでおいくらになるのかしら?」
「銅貨3枚で結構です。」
「安いわね。これで煮炊きすれば、すぐにできるし、薪も節約できるし助かるわ。」
と銅貨3枚を渡すと、鍋を受け取り、嬉しそうに帰っていった。
それをみていた女性たちは、
「それじゃあ、私たちも。」
と言ってその場から立ち去っていった。
そして、手に鍋を持って帰ってきた。
次々と鍋にお湯を入れてお金をもらった。
気がつくと夕日がさしていた。
「今日は、ここまでにしょう。」
と言って、シーラに終わりを告げた。
「今日は、おしまいにゃ。またにゃ。」
二人で露店を引き、商業ギルドへ戻った。




