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ベレニス、、、ライジーア、、、モレラ、、、ポーの描く女性像たちは。みな、死美人の風貌、(試論)

作者: 舜風人







エドガー・アラン・ポーの描く女性たちは






みな




薄倖の




かそけき




命の実感のないような




亡霊のような存在である。






それは




何よりも




実在の


ポーの




処女妻




ヴァージニアの容貌を




体現した小説上のポオのアニマとしての




幻想女性なのであろう。






あの、絶筆である譚詩、、




美しい




アナベル・リーにしても、






夭折の影を色濃くひきずっているし






モレラも




ベレニスも






ライジーアも




夭折者の




そして病身の




乙女たちそのものなのである。






だが何たる皮肉であろうか?




ポーは




現実には、、アメリカの粗雑な




あのアメリカの開拓時代に生きていたのである。




西部男のヤンキー魂と




たくましい?西武の




庶民の女性が跋扈する、ポオの生きていた現実の時代から




遠く離れてポオは


イギリス留学時代に感じた老大国のおそらくは18世紀の




ゴシックロマンスにでも酔いしれていたのであろうか。




ポオのいわゆるゴシックもの系の小説は




まさにゴシックロマンスの延長線上にあるからである。




そういう精神風土の中に生きていて現実の粗野極まるアメリカなど見たくもなかったであろう。




そうだ




まさにこの人は、、ポオは




生まれる時代を間違えていたのだ。




運命の皮肉で


こんな西部劇時代のアメリカに産まれてしまったが




本来ならばゴシックロマンス、はなやかなりし




18世紀のイギリスにでも、こそ生まれればよかった人だったのだから。






肉体は開拓時代のアメリカにあっても




彼の心は遥か


旧大陸の北ドイツの荒れ果てた古城でもさまよっていたのかもしれない。




或いはドイツの古い中世の趣の旧都の


古びた館に心は、さまよって、、、




彼の思い描くのは




処女妻ヴァージニアの幻想であり




永遠の処女妻の




夭折の幻想でしかない。




ポオが生きていた当時の、現実のアメリカのガサツな無文化から逃れるように




彼はアルコールに逃れてさまよい、その酩酊が生んだのが




ポーの幻覚に満ちたあの




ベレニスであり




モレラであり




ライジーアだったのだろう。








つまり、、ポオの幻覚と酩酊とが描き出す




これらの幻想の乙女たちは




なんら現実的な肉体も持たないし




いっそ、現実感すら皆無である。




まさに亡霊でしかないような




透明感と非存在感だから。






彼女たちはまさか、、、、




肉感的なあの、ロリータではないし




男をたぶらかして金銭を巻き上げるような小悪魔少女でもない。




それとは真逆な




生きてる時からすでに、、




透明な幽霊のような、、非肉感存在。






あくまでも




はかなくて




病身でやつれて、、、




日影の隠花植物のような存在




おそらく現実には




処女妻ヴァージニアの


病身と夭折が




ぬぐいきれないトラウマとなってポオの一切の女性像を




仕切ってしまったのであろう。




そして、、




それしか




ポーにとっては




描くことはできなかったのだろう。




それは生身の肉体をもった健康な当時のアメリカ女ではありえず、




その全く正反対の座標軸であるところの




幻想の、、、幻影の、、、




あくまでも




仮想の?




死の幻想ドール?




であったのだろう。




実際、ポー自身も常に死の影を引きずっていた、、。




彼の思いはいつだって生よりも




むしろより多く




死の側面に依拠し続けていたのだから。






彼の妄想も




彼の酩酊も




そして彼の性的不能も?






そしていつもその幻想ドールは




死によって




むしばまれていた、、、。




生まれながらの経帷子にくるまれていたであろうような、、、






というか死のお人形?




デスドール?だったのだ。




彼の描く女性像はみんな、、、そうだった。












モレラは




生きているうちからすでに死んでいた?し、、、?




亡くなる前に生んだ、たった一人の娘は




やがて病に伏してなくなってしまう、、。




しかし




死したモレラの棺を




再び開いたとき




それは、、、、死というそれ自体が白いベールにくるまれて出現するしかなかったのだから。
















或いは、、




ベレニスは




墓暴きの狂想に取りつかれた男によって




ベレニスの死の世界からもたらされた




唯一の




シンボルは




白い歯だったのだから、、、。












そして






ライジーア、、、






漆黒の髪と、、、




漆黒の目をした




ライジーアは




病身で、、、やつれはて




やがてのことに、、、、




はかなくも、亡くなってしまうだろう、、、。






その悲しみはただ、、もう、、、酒とアヘンで




紛らわすしかなかったのだが






やがて古い町で






時は流れて、、、




彼の前に金髪の




少女が現れる、






彼は一目で




恋に落ち結婚する。






だが、、、




彼女もまた




必然のように病気に伏せり、、、、あえなく他界、、、






しかし、




霊安室で




彼が棺のふたを開けてみると、、、




なんと、、






髪の毛はいつの間にか、、漆黒に




変わっているのだった、、、。






いったい?






彼女は




冥界からよみがえってきた






ライジーアその人だったのではなかったのか?












死美人




いや




デスドールとしての






モレラ








ライジーア








ベレニス





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