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未到の懲悪  作者: 弥万記
七章 結界の真実
52/61

49;任務遂行過程

○鬼ヶ島潜入報告書:滋岳妃姫

 長月の三日月の翌日(九月四日)の夜行後、情交と共に作戦の遂行。約四十五日後の夜行に須佐の村へ行くように指定。森林に囲まれ身を隠しやすい村を選択。事前調査後、術者を派遣されたし。


◎陰陽寮からの返答

 須佐の村へ調査と派遣を貴殿の隊へ任務依頼を行う。体調を考慮し引き続き任務されたし。


○鬼ヶ島潜入報告書:滋岳妃姫

 鬼の子の妊娠は確認できず。須佐の村に派遣作戦は中止されたし。再び折りの合う日を選定し作戦を遂行する。


◎陰陽寮からの返答

貴殿の隊に任務の中止を伝達。この作戦の延期を指示。一筋縄では行かない様ではあるが、無理はせず任務を進めること。陰陽寮からの作戦も同時で進行中。貴殿の結界の中で唯一、問題なく動ける現代最強の侍・・・鬼一法山に妖刀の精度を向上させている。当初五年はかかると考えられていた妖刀の使役も、現段階で順調に進んでいるとのこと。


○鬼ヶ島潜入報告書:滋岳妃姫

 水無月の九日月の翌日(六月十日)の夜行後、再び情交と共に作戦を遂行。次は、県廉の村に行くよう指定。ここも死角が多く、奇襲をかけるには向いていると判断。事前調査と、術者を派遣されたし。


◎陰陽寮からの返答

 県廉の村への調査と派遣を貴殿の隊へ依頼する。追記・・・鬼一法山、妖刀の完全な使役に成功。一年を待たずして戦地へ赴くことは可能であるとのこと。


○鬼ヶ島潜入報告書:滋岳妃姫

 この度も・・・鬼の子の妊娠は確認できず。県廉の村に派遣作戦は中止されたし。再び折りの合う日を選定し作戦を遂行する。


◎陰陽寮からの返答

 貴殿の隊に任務の中止を伝達。この作戦の延期を指示。その作戦と同時に、命を失わずとも、追憶の域の使用を確立する方法を模索せよ。


○鬼ヶ島潜入報告書:滋岳妃姫

 命を落とさぬ限り、追憶の域の発動は不可能と判断。命令とあらば、この命を投げうってでも術を展開する次第・・・その時はご命令を。追記、酒羅丸の妻に占い師の雅友世(みやびともよ)が追加。この作戦への理解と協力の承諾あり。主に集落で村人の管理と情報操作を担当させる。


◎陰陽寮からの返答

 鬼殲滅の可能性を下げないため、このままこの二つの作戦を継続させる。だが、もし貴殿の身に何か起これば、即座に鬼一法山を鬼ヶ島へ潜入開始する。占い師の追加を確認。引き続き任務を継続せよ。


○鬼ヶ島潜入報告書:滋岳妃姫

 仲間達にもこの第二案は周知済み。滋岳の死後、仲間達の支援の下、鬼ヶ島に潜入されたし。また、その際は呪術師の藤崎千子に作戦の指揮を一任する。


◎陰陽寮からの返答

 藤崎千子への一任を確認。鬼一法山には引き続き妖刀の使役精度の向上に努める。


○鬼ヶ島潜入報告書:滋岳妃姫

 正月の夜行後、情交と共に作戦の遂行。四度目の夜行に空海の村へ行くように指定。ここも森林に囲まれ身を隠しやすい村を選択。事前調査後、術者を派遣されたし。次こそ・・・任務を成功させる次第・・・


◎陰陽寮からの返答

 空海の村への調査と派遣を貴殿の隊へ依頼する。任務の成功を祈りつつ準備を行う。追記・・・鬼一法山の妖刀の使役完了。任務遂行の準備は整う。


○鬼ヶ島潜入報告書:滋岳妃姫

 作戦の成功。情交から十日後、我が身に鬼との子を授かることを確認。出産予定、空海の村への夜行から三、四日は誤差があると考えられる。それ以前には産み落とさないよう体調管理は徹底する。夜行の情報は以前提示した、狒々との共闘をされたし。その調整は一任する。


◎陰陽寮からの返答

 作戦の成功を確認。この任務は人類の勝利が懸かっている・・・第二案は用意しているがそれは無いと思い、尽力を尽くされよ。引き続き体調には考慮し万全を尽くすように。追記・・・既に狒々とも協定済み。鬼ヶ島付近で待機させている。また、追憶の域の発動箇所と替玉の結界を作成し攪乱せよ。


○鬼ヶ島潜入報告書:滋岳妃姫

 替玉の結界作成完了。夜行二度失敗し、鬼ヶ島の雰囲気は予想通り殺伐としている。明日、三度目の夜行予定。引き続き夜行の失敗を。妊娠経過報告・・・時期的にも出産はその次の夜行時・・・予定通りと考えられる。我が隊への作戦は奇襲と徹空徹護を主体とした鬼の足止めからの撤退。撤退指示は、鬼ヶ島から呪術師の九條未来による拈華微笑の術を行使し三善との連絡を繋げる。


◎陰陽寮からの返答

 鬼ヶ島の術士による術の使役は最大の功績と言えよう。今後も、勘付かれることが無いよう任務を継続せよ。追記・・・狒々の作戦は無事に機能している。


○鬼ヶ島潜入報告書:滋岳妃姫

 予想通り、鬼達は三度の夜行失敗の原因を探り集落へ酒羅丸自ら出向く。大津玉成の証言では我々の作戦は鬼には露呈していない。村人への情報操作が功を奏した様子であった。しかし、雉・・・ハヤテの存在を村人が証言・・・これが吉と出るか凶と出るかは今後の鬼の出方を確認。作戦は決行・・・約十日後が運命の夜行当日となる。結界は威波羅の根城周囲に確立予定。自身の死後、子の里親を依頼。当日、夜行時に妊婦を偽装すると潜入できる確立増大する。我が隊含め、各人準備されたし。

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