決戦の日。
「いよいよだな、しんご。」
「あぁ。」
不毛で無駄に激しい特訓が延々と続く中、俺達ヤマパパ恨めしや部隊は遂に決戦の日を迎えた。
あの後も諦めずに寝る間も惜しんで頑張り続けたが、結局レイガーンは誰も使えなかった。
努力なんて実際なんの価値も無いのだと、死後この身を持ってようやく俺達は知ることとなった。
けど、総勢40人はいるこの精鋭部隊ならヤマパパの悪しき野望を見事打ち砕く事が出来るだろう。
なにより散っていった友霊達の為にも、俺たちは負けるわけにはいかないんだ!!
ブーーーン……
俺たちが魔のカーブのガードレールの影に身を固めて隠れていると、ヘッドライトの眩しい明かりと共に、白いハイエースが緩やかなカーブの先から現れた。
その車は不自然に魔のカーブの手前で停まると、ハザードを焚きはじめる。
間違いない……。
きっとこの車の中に、ヤマちゃんのパパがいる。
全員が息を殺して見守る中、遂に車のドアがバカッと開き、中からカメラを持った数名とお坊さんみたいな格好のハゲが降りてきた。
「あのハゲだな。」
隣にいる親友が小さく零す。
あれが、ヤマちゃんのパパか。
俺達の罠に掛かって無様に死んだ息子の仇討ち、そういうつもりなんだろうが。
因みにヤマちゃんは当然この作戦には参加していない。
彼にとっては腐っても父親、自分の父をやっつけるなんて事は流石に出来ない、幽霊にだって道理というものがあるのだ。
俺たちはソレを解っていたから、決して誰もヤマちゃんを咎めることはしなかった。
「おい、こっちに来るぞ。」
迷うことなくコチラへ向かってくるヤマちゃんのパパに、ヤマパパ恨めしや部隊のメンバーがざわつき始める。
俺達の位置は、既にバレてるってことか……。
「ふっ……。」
それならもう、小細工は不要だな。
俺は拳を振り上げて立ち上がり雄叫びを上げた。
「お前らァァァああああ!!!
行くぞぉぉおおおおおおお!!!」
闘いのゴング鳴り響く。
遂に闘いはじまる。