必殺技、レイガーン。
俺が生前にも無かったほどの雄叫びを上げたあの日から、およそ1週間が経った。
俺は親友と共にヤマちゃんのパパの情報をあらゆる手段で集め、仲間を消された仇を討つべく「ヤマパパ恨めしや部隊」を編成した。
またその間も筑婆山にいる俺達の仲間は消され続けていたらしく、把握している限りで30近い友霊が、成仏などしたくもないのにさせられていたようだ。
ちくしょう…ヤマパパ、絶対に、許せねぇ。
俺たち「ヤマパパ恨めしや部隊」の怒りは既に頂点を越え、思い半ばで消されてしまった彼らの無念を晴らすべく特訓の日々を送っている。
霊媒師があの魔のコーナーへやってくるのは3日後の夜だという。
それまでに俺たちは強くならなきゃいかなかった。
そしていま時刻は夜中の2時、正に俺たちは激しい特訓の最中である。
「タクミ!! レイガーンは使えるようになったか!?」
「だめだ!! なんも出ねぇっ!!」
「くそ!! 漫画なんて何の参考にもならねぇな!!」
かれこれ5日、親友が無駄にはぁはぁと息を切らしながら手からレイガーンを出そうと頑張っていたが、どう足掻いても何かビームみたいなモノが出ることは一切無かった。
そう、親友は5日という貴重な時間をただただ無駄に浪費したのだ。
「おいしんご!!
俺!! 強くなってるのかっ!!」
「いや!! 多分何も変わってねぇ!!」
「だよな!! クソッ!!」
もはや勝利は絶望的だった。
「はぁ…はぁ…無理ゲー!!」
「こんなん、出るわけ、ねぇ!!」
周りを見ると、他のヤマパパ恨めしや部隊の皆も、レイガーンの特訓にひたすら打ち込み続け、無駄に霊力を擦り減らし疲弊してしまっていた。
そもそも何故こんなことになってしまったのか。
それは…
「レイガーン…出せたら…モテたろうな〜。」
「それな〜。」
それはコイツらがみんなアホだったからだ。
幽霊達はお茶目さん。