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THE BLACK KNIGHT  作者: じゃみるぽん
一章・物語の始まり
8/183

【1章・新たな歯車】2

因みに白金貨1枚---1000万円

金貨1枚---10万円

銀貨1枚---1000円

銅貨1枚---100円


程だと考えていただければ


 アルスは家庭教師と王国の歴史について勉強していた。アトランティス王国は他の国に比べて古い国らしい、西に獣王国、北にエスト神聖王国、東に虚無の大森林、虚無の大森林を超えた先にストロヴァルス帝国、エスト神聖王国の北にオニキス共和国となっており、南に海と、三方向に囲まれている厄介な土地にある




最近、エストとストロヴァルスの話をよく聞くが何かあったのだろうか





 アトランティス王国は騎士団が六つある特殊な国である。近衛騎士団は主に王族の護衛を担当し、王国騎士は国境警備から街の治安維持までこなしている


 嘗ての騎士団は一つだったらしいが先々代の王が自分を守る専用の騎士団が欲しいと言い、それから近衛騎士団が設立されて今に至る。この制度は未だ議論されている



 虚無の大森林は大昔魔王がいた土地として有名で未だ魔物が蔓延る危険な森だ、何回か王国騎士団が魔物殲滅を掲げ大森林に入った事があるらしいが達成された事は無い


 王国騎士が決して弱い訳ではなく大森林の中の魔物が異常なのだ、最近は亜種個体が増え危険度が増し、冒険者の死亡も増えているらしい



 王国の歴史を学んでいて王国の前にあった国の話がまったく出てこないことを質問すると、家庭教師も分からないと言っていた。アトランティス王国の前の国の文献が現状存在しないらしい


家庭教師は恐らく王家が消したと言っていたがアルスはこの教師が消されないか心配になるのだった



▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢



勉強が終わったアルスはいつものように雷魔法での移動『迅雷』の移動距離を伸ばす練習をしていた


 『迅雷』は雷を体に纏い、自分自身が高速で移動する技であり、発動中は雷魔法を常に体内と体外に張り巡らせる必要があり持続が難しく、使用者の魔力量が大きく影響する技である



 時空間魔法の『空間移動』の方がより長距離を移動できるが魔力消費量が多い、いざという時のために『迅雷』を長い時間持続できる様にしなければならない


『中・身体強化』を使い屋敷の周りで走り込みを行う


時空間からアロンダイトを取りだし素振りと旧王国流剣術の型を確認する



▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢



すっかり日も暮れヴィオラとユリスとアルスの部屋で談笑していると



「そう言えばアルス様、最近ユリスと王都に行ったらすごい噂を聴きましたよ」


「すごい噂?」


「どこかの公爵の病み上がり乙女を結界魔法で守り抜いた紫の貴公子っていう話」


「なにっ!?」

(あそこに居たどこかの貴族が言いふらしたのか?)


「守り抜いたって……一撃防いだだけだぞ」


「それでも十分すごいですよ、ね、ユリス」

「えぇ、かっこいいです」



「それにあと、数ヶ月で学園ですね、勉強は順調ですか?」


「そうだな…まぁ、学年で一桁くらいの成績が取れればいいだろう?」




「なんで1位を目指さないんですか?」




「ヴィオラ、今年は王家の方が二人に、剣聖スキル持ち、精霊魔法を持った人が入学するんだよ」



「ユリスは良く知ってるな」


「少し調べました」




「へぇー、流石だねー」




「有難うございます、あとヴィオラ何か忘れてるよ」



「……あー!そうだった!アーバンドレイク侯爵家のセレスティーナ=ディズヌフ=アーバンドレイク様からデー……護衛の依頼が本日届きました! 」


(今デートって言おうとしたな、セレスティーナ様に気がある事に気づいたのか?)



「そうか…何時だ?」


「明日です」


「明日!?」


「明日です」




「……分かった、付き合わせてすまない今日は帰っていいぞ、明日の為に剣の手入れをしなければ」





「「承知しました、いい夜を」」





▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢



翌日アルスは一人でアーバンドレイク公爵家に向かっていた


(護衛か……何処に行くのだろうか)



馬車が止まる




(着いたかな…)




馬車を降り、大勢のメイドに出迎えられる


「「「ようこそ!!アルス=シス=エルロランテ様」」」


「此方こそ出迎えていただき有難うございます」

「自分の事はアルスと呼んでいただければ」


「「「承知しました」」」



 メイドに連れられて屋敷の中に入っていく応接室だろうかアルスは中で待機していると部屋に入り数分でまた扉が開く 



「おはようございます!アルス様、今日は宜しくお願いします!!」


「はい、此方こそ宜しくお願いします!セレスティーナ様」


「わ、私の事はせ、セレスとお呼びください…」


「了解しました、セレス様」


「セ・レ・ス」


ムッとした顔でセレスティーナがアルスに言う



「…了解しました、セレス…」


「まだ硬いですね…公の場以外は普通に話しましょう」


「……分かったよ、セレス」



「それでいいです!」

笑顔で頬を紅潮させて言うセレスティーナにこれでいいのか不安になるアルス



「……では、俺の事はアルスと」



「はい!勿論呼ばせて頂きます!アルス」


 アルスは感じた事ない心拍数の上昇を感じる。心拍数の上昇の理由に心当たりがあるアルスは何とか気持ちを落ち着かせ言う



「では行きましょう、アルス」


「あぁ」



公爵家の馬車に乗りセレスティーナに行き先を尋ねる


「王都の教会よ」


「教会かー……何故?」



「私って洗礼の儀式をまだ受けてないのよ、あと少しで学園が始まるのにスキルが無いのはあんまりでしょ?」



「なるほど……でもスキルによっては練習が必要になるだろ?」



「そ、そこは………勿論手伝ってくれるわよね?」


「あ、あぁ、勿論」






意外と無計画だったセレスティーナにお願いされ承諾するも何かありそうな未来にアルスは思いを馳せるのであった




▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢




「「ようこそ、セレスティーナ=ディズヌフ=アーバンドレイク様」」




数人の司祭によって出迎えられたセレスティーナアルスにとっては洗礼の儀式ぶりの教会だどこか懐かしさを感じる



(ハデスはどうしてるかな……)



セレスティーナが洗礼の儀式中アルスは自分の洗礼を担当してくれた司祭と話していた


「アルス様、時空間魔法はどうですか?」


「そうですね…まぁ王都と自分の屋敷程度なら数回移動できるようにはなりましたよ」


「おぉー!それは凄い、『空間知覚』や『空間収納』はどうですか?」



「ある程度使えますよ、常に百メートルは知覚できるように頑張ってます、集中すれば……んー、分かりませんね今やるべきでは無いでしょうし」


(時空間魔法士が歴史上少ないのにやけに詳しいな……)


『鑑定』


(鑑定無効か、視るのは無理か)






「そうですね….これからも頑張ってください」



司祭と会話が終わった頃セレスティーナが出てきた


「どうだった?」


「どうやら、風の精霊魔法スキルらしいわ」


アルスは鑑定を使う

『鑑定』


°°°°°°°°°°°°

《セレスティーナ=ディズヌフ=アーバンドレイク》


[スキル]

【風・精霊魔法】


°°°°°°°°°°°°





「えぇ!?凄いじゃないか」

(俺の周り精霊魔法スキル持ちが多すぎじゃないか?)



「えぇ、あと……」


「あと?」



「シルフィード様が“話がしたい”と」



「え?シルフィード?それって風の四大精霊じゃ?」


「えぇ、洗礼の儀式中に契約したわ」



(儀式中に契約とは……精霊とは何なんだろうか)



「シルフィード様とはどう話をすれば?」


「手を握ったら会話できるらしいわ」

「だから…はいっ」


セレスティーナが手を差し出す


「分かった…じゃあ」



アルスは手をセレスティーナの手に重ねる



▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢



気付いたらアルスは真っ白な世界に居た


「やぁ、アルス=シス=エルロランテ」



目の前に中性的な子供が居た、白い服に緑の髪がとても似合っている身長は140cmくらいだろう



「ここは精神世界のような所か?」


「精霊にタメ口とは…まぁ、いい、そうだよここは君とボクしかいない世界だよ」


「では遠慮なく行かせてもらう、シルフィードはなんで俺を呼んだんだ?」



「それは君に興味があったからね」


「俺に?」


「そう、君にボクは元々セレスティーナの素質を見込んで精霊魔法を授け、契約したけどセレスティーナの周りに凄いやつがいるなぁと思って」


「素質か…凄いなセレスは……」

「周りの凄いやつが俺だと?」


「素質と言っても多分先祖に風の精霊魔法を使える人が居たのかな?多分その影響が強く出たんだと思うよ」


「君以外に誰がいるんだよ、雷魔法、結界魔法、時空間魔法どれも鍛えこまれてるね、魔力量だけ揃えば精霊に対抗出来るくらいだよ」



「本当か!?」


(凄いことを聞けた、自分のこれまでの努力が実を結んだのか……)



「ハハハ調子に乗らないことだね、あくまでも“対抗出来る”だけ、まだまだ勝つには到底及ばない」


「それに一番の注目ポイントがあるでしょ?……………君神器持ってるじゃん」


「分かるのか?」


「あぁ、精霊は古い存在でねアロンダイトだっけそれ、見たことあるんだよねー」


「隠したいんだったら鞘変えるべきだね」



「何故俺がアロンダイトを隠したいと?」



「そりゃ、神器って持ってるだけで王になった人間だって昔に居たんだよ?今の国でもいい待遇を受けれるんじゃないか?それをしていない所を見るとね」



(なるほど……神器持ちの王か…少なくとも現存する王ではないな)



「鞘ってどんな物なら良いのでしょう?」


「急にかしこまるね君」


「頼み事をする時は相手を敬えと父上に教えられたからな、それにシルフィードは信頼できそうだ」



「ハハハいいだろう、そうだね………君の国の東に森があるだろう?」


「あぁ、虚無の大森林と呼ばれている」



「虚無ね、なかなかいいネーミングセンスだ、そこにシークレットカメレオンっているだろう?」


「シークレットカメレオン?あれって絶滅したんじゃ?」


「ハハハあのカメレオンは隠れるのが上手いからね隠密スキルと隠蔽スキルを持ってる珍しい魔物だよ?そうそう見つからないよ」


(なるほど、隠密と隠蔽を持っているのか)


「戦闘能力は無いし、見つけられれば勝ちだね」



「分かった、ありがとうシルフィード」



「おいおいおい、何今から帰る雰囲気出してんだよ」



「帰れないのか?」




「まだ、話あるよシークレットカメレオン見つけたいのは分かったから手短に言うよ」


「セレスティーナを宜しくボクはまだ顕現出来ないから契約したとはいえ直接的に守ることが出来ない、精霊魔法持ちは命を狙われる事も多い、守ってくれるかい?」



「当然だ、全身全霊で守ると誓うよ」



「ありがとう、話は以上だよ」



▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢



 目を開けたらセレスティーナが目の前にいた精神世界から帰ってきたのだろう目を開けたのに気付いたセレスティーナはアルスに何があったのか聞いた。神器の事を言うわけにいかずセレスティーナを宜しく、と言われた事を言った



セレスティーナは顔を紅潮させ、次は買い物がしたいと言った



(セレスと買い物に来たのはいいが何を買うのだろう)


「ありました!“ベルツ商会”です!」



ベルツ商会とはオニキス共和国に本店を構えているとても大きい商会だ


 王国には支部があるが支部とは思えないほどに大きい、世界の珍しい物や生活品や、消耗品、薬など様々な物を販売している



「「「いらっしゃいませー」」」


内装はとても綺麗だ、硝子ケースの中にある商品であろう物も店の内装に劣らずとても綺麗で値段も納得できる


「セレスは何か欲しいものがあったの?」


「実は見に来ただけなんだけど…」


(そうか……長年外に出ていなかったから気になるのは仕方ないか、ベルツ商会は影響力もすごいから屋敷の中にもベルツ商会の話は入ってくるだろうな)


「そうか、俺も実はベルツ商会自体あまり来たこと無くてさ一緒に来れて嬉しいよ」



「そう?」


「うん!」




店員さんの暖かい視線を感じながら商品を吟味していく



「あー!これー噂の香水ね!!」


「此方はオニキス共和国の王女様もご愛用されている香水でございます」


「買うわ!」


「ありがとうございます」



「俺が出そうか?」




「なんでアルスが出すのよ、私の買い物よ私が払うに決まっているじゃない、それに表向きは護衛よ護衛にお金を出させる主人なんて最低だわ」



「そ、そうかすまなかった」



アルスは一人店内を周り商品を見ていく



(ん?これ………………なんの皮だろう)



 アルスはひとつの商品が目に留まる、商品の皮はただの黒い皮だが金額が10金貨と他の商品と比べて明らかに高いアルスは店員を呼びこの皮について尋ねると


「そちらは絶滅したシークレットカメレオンの皮になります」


「…なんだとっ!?」


(まさかここで見つかるとは……虚無の大森林でシークレットカメレオンを狩る手間が省けたのは良かったが、何せ値段が高い…払えない金額では無いが世間一般的には”絶滅”したとされているからか…本当は絶滅してないのを知ったらもう少し値段は下がっただろうな………)



「購入します」


「本当ですか!?ありがとうございます!!」



「あと、あそこの硝子ケースの物もプレゼント用でお願いします」



「承知しました、プレゼントは一緒に来られた方に贈るのですか?」




「勿論!」









お互い気に入ったものを買った後セレスティーナが行きたいと言った武器屋に行く事にした



「実は私自分専用の武器を持っていないのよ!」



「そうなのか?」



「えぇ、最近武術の方も特訓しているのだけど、ずっと家にあるのを使っているのよ…」



「へぇー、どんな武器を使うんだ?」



「剣よ」



「なるほど、良い剣があるといいな」





ガチャッ



「ん?いらっしゃーい、なにかお探しかな?お二人さん」


「剣を探しに来ました」



「剣か……そうだな良いのがあるぞ!」


店主はそう言って店の奥から何の変哲もない剣を出してくる。柄が白いくらいしか特徴がない剣だ


「実はこれな…俺が酔っ払った時に作った剣でな間違えて白龍の素材を使っちまったやつなんだ」


「「えぇ!?は、白龍?」」


アルスとセレスティーナの声が重なる


「白龍の素材ってとても貴重じゃないですかっ!!」


「でも、高すぎて買う人がいなくてな……どうだ?」


「……どれ程でしょうか?」


セレスティーナが聞く






「……今回は条件を付けるが無料だ!」


「隣の坊ちゃんが何か面白いこと企んでそうだからな、その内容によって決める!」


(え?俺?確かに貴重な白龍の素材で作ったって店主が言った時、シークレットカメレオンの素材で鞘作れるのか考えたけど………そんな顔に出てたのか?)



「…そうですね、先程白龍の素材でこの剣を作ったと言っていたので……えーと「グラムだ、俺の名前だろ?」はい、グラムさんが俺の持っている素材で剣の鞘を作ってくれないかなーと」



「ほぅ……」


「アルスは何の素材を持っているの?」


何か考えているグラムと気になったのかセレスティーナが聞いてくる



「これだよ」




アルスは机の上にシークレットカメレオンの皮を置く



「ほぅほぅ、これは珍しいね、作れないことはないぞ…」

「金属部分の素材はこちらで決めさせて貰うぞ、剣を見せてくれ」



アルスはアロンダイトをグラムに渡す



「これもまた良い剣だな!…………一時間で作ってやろう」

「あ、嬢ちゃんこの剣は持っていけ、無料だ」




そう言って、あっという間に店の奥に入っていく



「この後どうする?」


アルスが聞く



「アルスの鞘が出来るまで一時間よね…あ、そうだわ」





「少しお話をしましょう?」

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